厚見玲衣 Plays MOON DANCER &TACHYONwritten by Eiji Farner
2013年5月18日、33年の時を経て再集結したムーンダンサーと、
第 I 章 吉祥寺幻想
この日。GBの長い階段を下りた扉の向こう側に広がった美しき幻想に彩られた空間に足を踏み入れた誰もが、彼らの音楽の持つ魔法を体験し、特別な魔力を持つ楽器のサウンドに魅せられた事でしょう。 ライヴは2部構成となっており、前半がムーンダンサー、 先ず登場したのはムーンダンサー。
MOON DANCER
Keyboard, Vocal : 厚見玲衣 今回のライヴを主催し実現させた厚見玲衣さんが1979年にデビューしたバンドがこのムーンダンサーです。 これこそが、厚見玲衣スタイルだとボクは思っています。 驚くべきことに20歳くらいのデビュー時(当時は厚見 麗)に、すでに確立していたオリジナルスタイルであって、1979年当時も2013年の今現在も、世界中に唯一無二のスタイルです。 山ほど積上げたヴィンテージキーボードの城、それらの機材の一台一台のポテンシャルを極限まで引き出し(←ここ重要!)、凄まじいテクニックとサウンドを伴い縦横無尽に弾きまくりながら。。。。歌う! そうしたキャリアの中で、もっとも永い間封印されてきたのが 今回のライヴが実現したことで、
ムーンダンサーのオリジナルメンバーである沢村さん、下田さんは18才くらいの時に結成したバンド(SIREN!)から厚見さんと活動を共にしてメジャーデビューを果たし、バンドが解散して30年以上経った今も各自が音楽家として活躍されています。 1979年。ある日、テレビの歌謡曲番組をぼーっと眺めてたら。 で、34年経って、この日のライヴです。 あのときの魅力、魔法のような輝きが 同窓会的な懐古の情ではなく、まるで時空を飛び越えたかのような、あまりにもリアルな世界がそこにはありました。 甘〜いっ! 今回サポートされたドラマーの土屋さんはヘッドフォンをしていませんでした。 この日のライヴを体験した皆さんも、たぶんこれを読んで頂いて、なぁーるほどっ、だからああまでグッときたのか!ってヒザを叩いているのではないでしょうか。(笑)
と。分かったようなレポートを書いてますが。
実はボク自身も34年経って、ムーンダンサーの楽曲がレコーディング技術や電子楽器のテクノロジーで作られているのではなく、全て人間の手(メンバーの手足)によって演奏されていたという事を知ったのです。(^^;;
サテそれでは。 全景ご覧ください。
一台一台を解説していく前に、34年前の機材を取材した
これはボクが34年間読みまくったバイブルみたいな本です。
「なぁんてお金持ちなバンドなんだ!」 って。(笑) で。この記事に載っている当時の機材がほぼそのまま、
この “粋な計らい” に、タイヘンワタクシゴトながら、 じーん。 当時の機材を詳細に知っていて、このライヴを見に来られた方は少なかったかもしれません。ですが、誰もがこの日のサウンドを聴けば、この場所に持ち込まれた全ての機材ひとつひとつが意味を持っていた事に気づかれ、こう思ったハズなのです。 「全ての楽器は、使う理由と意味がある。」
KORG PE-2000
ムーンダンサーのストリングス系サウンドといえばコレです。 この日、メロトロンが2台も用意されているにもかかわらず、あえて全てのストリングス系サウンドは、この KORG ポリフォニックアンサンブル PE-2000で演奏されました。 すでにお気づきでしょうが、ここから始まる全ての楽器解説に、
KORG 800DV これも国産シンセサイザー黎明期の名器です。 「いろいろ試したけど代替えになるシンセは無かった」と、故障のリスクを覚悟でバックアップ用と2台の800DVを用意したのですが。。。案の定、本番当日のリハーサル時点で御機嫌ナナメとなり、本番中に故障してしまいました。 ちなみにPE-2000もバックアップ用と2台用意していたのですが、1台は直前のリハーサル中に故障してしまったのでバックアップで本番を乗り切りました。 故障するリスクの高い国産ヴィンテージシンセサイザーを2台ずつ準備して臨んだことからも、この2台がムーンダンサーの音楽に如何に重要かという事が伺い知れます。 厚見さんといえばミニモーグのイメージが強烈ですが、ムーンダンサーの厚見 麗 といえば、800DVなのです。
Micromoog Synthesizer
そしてこのマイクロモーグもまたムーンダンサー厚見 麗 のイメージです。 で、このマイクロモーグを使って「薔薇心中」ライヴバージョンの中間部分で繰り広げられるトランス世界を作り出すのです。 ちなみに、これが当時使っていたのと同じリボンコントローラー。
上の写真の mini moog 鍵盤の上に置いてある、この棒みたいな部分が
ここまで使い込んでもらえたら
NOVATRON 400SM
今回はPE2000にメインストリングスの座を奪われた悲しきノヴァトロンです。
Taku Sawamura's Classic Guitar
よくあるパターンで、某有名バンドの再結成ライヴに期待胸膨らませて行ったら、いちばん楽しみにしていた代表曲が、ダッサイ再結成ヴァージョンとやらにアレンジされていて、がっかりする事ってありますデショ。 当時のアレンジにアーティスト自身が納得出来てませんでしたっていう主張?(とすると、そのアレンジに惹かれたファンごと否定してるよーなモン?) なのか、歳とって当時の情熱をもはや再現できないのか、時代に流され続けてセンス悪くなったのか(笑)。。。いずれにしても楽曲に惹かれたファンごと、過去の自分を否定しているようにも感じられて、(←個人的主観ですよ。反論受け付けてましぇーん) ライヴ見ながら舌打ちしたことって、ありません?(笑)
ほいじゃ、なんでアコギとノヴァトロンの2013年ライヴヴァージョンは誰が聴いてもグっときちゃったのかと考えるに、答えは「よりレコードの再現に近づいたから。」 で、また想うワケ。 「ああ、思春期に惹かれた音楽を、今も誇りを持って
サテ。 Taku Sawamura's Custom Stratocaster
ムーンダンサーを隅々まで聴いてきたので、もちろん沢村さんの素晴らしさは 知っているつもりでいましたが、あ・え・て!沢村さんのファンの方からは、何を今更と言われてしまうのを承知の上で、 恥を忍んで声高らかに申し上げます。 こおぉぉぉんなにも、凄いギタリストだとは!!!!!
テクニックも感性も音楽性もサウンドもナニモカモが。ほんとうにすごくて素晴らしくって、リハーサル取材中にボクは何度も泣かされてしまいました。
聞き手の琴線に直接触れてくるようなギターなんだけれど、ジミヘンとか厚見さんみたいにグワシって掴みかかってくるんぢゃなくて、優しくそーっとそーっと触れてくるというか。(笑)
そのそーっとが、深いし、鮮明な光を伴って力強いんで、気づいたらツツーって。
全ての楽曲のギターソロの旋律が、美しいまでに起承転結をもって聞き手をフワっと引き込むんで、ぼーっとして聴いてるとツツー。(笑)
ボク個人的にはハードロックの Grand Funk Railroad がフェバリットアーティストなだけに、いわゆるブルーノートというかペンタトニックスケールというか、典型的なブルース起源の匂いのするロックギターフレーズにのみグっとくる体質なのですが、そのボクが。 ちなみに。 いったいどんなスケール(音階)を使って誰も考えつかないようなドラマチックなメロディを弾いているのか、そーっと近づいて指使いを見てみたら。。。なんと一般的なペンタトニックスケールの中で弾いていたとう。 つまり、スケールとかそういう事じゃなくて、沢村さんの選ぶ音の並び(メロディ)こそが独創的魅力に溢れていたという事だったワケです。
ギタースタイルは全く似ていないけれど、ハードロック黄金時代に天才オルガニスト・ジョンロードと組んでブルースロックの匂いをあえて払拭してクラッシック音楽の匂いをまとったハードロックギタリストとして世界を魅了したRブラックモアや、奇才Fマーキュリーと組んでオペラの匂いをまとい独自の音楽的世界観を構築したBメイと通ずるモノを感じるのです。 厚見さんと沢村さんのコンビネーションに。
叫ぶように歌う厚見さんと、ささやくように歌う沢村さんのヴォーカルスタイルは、ある意味で対局のように見えます。 ところがこの御二人がひとたびハモると。 ああまで絶妙な響きを伴い、見事にひとつの情景を映し出すのは、この日のライヴを見た誰もが感じたことでしょう。 沢村さんのまとった空気のカラーが透明に近い白であるならば、この日厚見さんの放射した強烈な“気”は、黒光りするガンメタ。(笑) 相反するようでいて、御二人が並んで放つ白と黒のコントラストの美しさは、赤や青に彩られた色鮮やかなステージ照明の中でも圧倒的な存在でした。
これほどまでに技術も音楽性も相性もピッタリな御二人が、 この日起きた幾多の奇蹟の “はじめの一歩” が何であったのか。 ライヴを見た誰もが知り得たのではないでしょうか。
Nobuhisa Shimoda's Fender Precision Bass
そして、3人めのムーンダンサー、下田展久さん。
「あの本」 に載っていた写真の、足元に置かれた赤い MXR Dyna Comp は今回もラインブースターとして用いられました。そしてここぞというアクセントにオートワウを使うことで、記憶の中のサウンドは見事に再現されたのです。 「すごいベーシストがK高校に居る!」 という噂を聞いた高校生の厚見さんがスカウト(?)しに行って、後に一学年後輩だった沢村さんが呼び出され(笑)、御3人は出逢ったそうです。 ムーンダンサーの凝りに凝った楽曲(と、言っても一聴するとそのポップセンスで、ものすごく凝ったアレンジになっているとは感じさせないトコがまた凄い!) は、このメンバーでなければ作り出せなかったということを今回のライヴで再確認したのはボクだけではないハズです。 前述の厚見さんと沢村さんのコーラスに関しても、 “ムーンダンサーの世界” になるのです。
第 II 章 神 話
第1部終幕アラベスクのあまりにも美しい情景と余韻に 第2部タキオンの登場です。 TACHYON タキオンはムーンダンサー解散後に
とゆーことは、今回のライヴではベーシストが下田さんからグレッグさんに交代するダケか。。。と思った方が居らしたとすれば、その考えは第2部開演後の一瞬で吹き飛んだハズです。 「Gregg Lee!From TACHYON!」のコールでステージに登場したグレッグさんがハイパーイマジネーションのシンプルな4分音符をボッボッボッっと弾き始めた瞬間に、ガラリと一変した景色に誰もが「ベーシストが変わると、こうもバンドのカラーは変わるのか!」と感じた事でしょう。 つ・ま・り、これって。 いかに下田展久というベーシストが創り上げる世界観が個性的であるかという事の証明であって、それと同時に、いかにグレッグ・リーというベーシストの個性が際立っているか。という事なのです。 数多のバンドで数多のベーシストがライヴの途中で交代しても、景色まではそうそう変えることなんて出来ないですから。 Rei Atsumi’s HAMMOND “Chopped” C3 Organ
第 I 章ムーンダンサー機材の解説で、「ハモンドオルガンからだろうが!なんでハモンドの解説がねえんだよ!」と怒ってた方も、 これまでに語ってないムーンダンサーとタキオンの違いって、わかります? ムーンダンサーでは幾多のシンセサイザーを縦横無尽に使い分けていた厚見さんが、タキオンではオルガンとピアノしか弾かないのです。 両バンドの中核である厚見さんが、シンセサイジスト(って言葉あるのかな?)の引き出しを封印して、ピアニスト、オルガニストとして、ガイジンのリズム隊と結成したのがタキオンなのです。 なので、まずはハモンドの解説なのです。 サテ、このハモンドオルガンC3。 ですが、もしも。武道館のステージが地下2階にあって、しかも急な階段しか搬入口が無いとなれば、THE WHOスタッフはコッチを借りに来たかもしれません。
ちなみに。リハーサル段階での“簡易”セットはこうでした。
これならわずか120〜130kg。 今回のライヴが決まった経緯は、すでに先行公開している 「NORTH のドラムを手に入れたから演ることにした。」 テナワケで。今回は気合い入れて、
ハモンドの奥にはバックライトに照らされたレスリースピーカーが浮かび上がっています。 このC3。実はトテツモないオルガンなのです。
シンセサイジニストとしての引き出しを封印したのに、 我々観客は 「さっきからオルガンしか弾かないな。 音色のバラエティが減ったな。」 とは、 誰も感じなかったハズなのです。 なぜなら「中近東幻想」のソロパートでは、ゆすったり蹴り飛ばしたりして内蔵リヴァーブをガシャンガシャンするわ、電源スイッチをOFFにしてトーンホイール音源を回しているモーターの回転を落として、まるでストラトキャスターのアームダウンのようにグゥ〜ンって音程を落としておいて、すかさず電源ONにしてモーター回転数を復帰させることで、ウィ〜ンって音程が上がってくるように操作したり、そこにレスリースピーカーの回転を早めたり遅めたり細かく操作しながら、ヴォリュームペダルを使って音量を上げたり下げたり。 すなわち、「音程」と「音量」と「音の広がり」を上下・左右・前後に自在に操ってしまう厚見さんの弾くオルガンは、どんなシンセサイザーよりも多彩なサウンドを放ち、多彩な音の世界を創り出すのです。なのでシンセサイザーを封印している事に誰も違和感を感じなかったワケ。 まるで、ストラトキャスターを使ってのフィードバック奏法やトレモロアームを駆使してギターの弾き方・サウンドの概念までも変えてしまった天才・ジミヘンドリックスのようです。そういうスタイルならばキースエマーソンこそがオリジネーター ではないかという声が聞こえてきそうですが、 厚見玲衣は歌うので“オルガン界のジミヘン”なのです。
そして、シンセサイザーを封印した厚見さんに応えるが如く、 Gibson Les Paul まるでゴールドトップのようなカラーですが、 ムーンダンサーでの歪んだストラトによるエッジの効いた 今回の取材中に目撃した、この山のように積み上げられた この中から。 ボロボロになったハードケースを手に取って そりゃもう見ただけで泣きそうになったんですけど、 そりゃ、記憶がとろけて涙も落ちますって。(笑)
そ・し・て!満を持して!Mr,タキオン、グレッグ・リーさんの登場です。 華やかなオーラをまとい、 厚見さん、沢村さん、下田さん、グレッグさん、皆さんが長い音楽活動の中でこれまでに封印されてきた“若き日のスタイル”を解き放ったこの日、かつてタキオンを見た事があるであろうお客さんが、グレッグさんが「あのステップ」を踏んだ瞬間に歓声をあげられて大きな拍手をされている姿は感動的でした。 音楽というタイムマシンが時空を飛び越えるには、 実は。。。リハーサルではしきりに 「もう“いい歳”だから、恥ずかしいよぉ。」と躊躇されていたんですが。(笑) ぜったい、昔のタキオンを知るお客さんが来てますから、 ぜったい喜びますよって、説得したりもしたんですが。。。 ←ノンステップのリハ
もうね、一曲めから、説得まったく不要のステップ全開で。(爆!) そんなグレッグさんの優しさ、繊細さ、明るさが
曲の中盤で繰り広げられた長いベースソロを静かに盛り上げるピアノ伴奏は、やがてどちらからともなく互いの繰り出す音の景観に響応し圧巻のコール&レスポンスと昇華していったのです。 ムーンダンサーが記憶の音を再現し、アルバムの演奏をリアルに再現したのに対し、タキオンの演奏はアルバムの曲にライヴならではの即興を加え、凄まじきライヴヴァージョンとして繰り広げられていたのです。 ムーンダンサーとタキオン、どっちが良かったか。 終演後、スタッフ側に居たボクの問い掛けに対し、
「比べられないよ!どっちも素晴らしかったから!」
ライヴアルバムがカッコいいバンドといえば、すぐに思いつくのが
つ・ま・り。ライヴアルバムが必要なバンドだと、 ここで声を大にして訴えたいっ!(^^)
あ。そーいえば。
第 II 部のラストを飾った、「 It Ended as Friends 」 (哀しみの友人達 ? )は、タキオンの未発表曲でした。 この日も、おそらく初めてこの曲を聴いたであろう多くの観客が、この曲の持つ圧倒的な迫力に息を呑み、美しさに心を奪われ、ドラマチックに展開する曲の世界観の中で気が付いたら涙を流していました。
あまりにも美しい余韻を残した It Ended as Friends 。 ほとんどの観客が初めて聞いた曲にもかかわらず、
誰も居なくなったステージ上で、この曲を弾き終えた厚見玲衣氏
この曲を聴ける場所に導かれたこと、 心からそう思ったのはボクだけではないと思ってます。
第 III 章 It Reunion as Friends
鳴り止まない喝采の中、アンコールに登場したのは、 これがその、白いメロトロン。 つまり。前述の黒いノヴァトロンと、白いメロトロンの2台が、 どうしても並べてみたかったので、 V字に並べてみたりして。(笑) この日、1曲だけ演奏されたアンコール曲は、ザ・タイガースの「美しき愛の掟」でした。 まさに、The 厚見玲衣 STYLE! そこに下田さんが美しいメロトロンを重ね、 まさに時空を超える魔法の扉が開いて、遂に。 世界一美しい音色を持つ、この楽器を。。。 mini moog
皆さん、シンセサイザーの音で、泣いたことってあります?
ボクはあります。
第 IV 章 NORTH MANIAC II
これが。巷で噂の NORTH です。
ポカンと開いた口が。まるで。。。こんなカンジに。(笑) ズドドド ドゥン!
そしてこの日使ったスネアは、1974年製 Ludwig Super Sensitive 410。
NORTHの放つ深いサウンドの中に埋もれる事なくブリリアントな輝きを放ったこのスネアは極限までハイピッチにチューニングすることでムーンダンサーとタキオンの楽曲に強烈なアクセントを与えていました。
サテ。 誰も持っていないドラムのマイキングに関するノウハウは、 これだけは実際のライヴ会場にセットしてみて、会場の反響などを考慮しながら いったいどこにマイクを立てれば、ステージ上のドラムの音を客席でも聞けるようになるのか。。。とにかくMAKE & TRY しかありません。 「よし、どんなでもいいんで、先ずは思いつくままにマイクを立ててください。音を聞きながら最良のポイントを探しましょう。」 音響担当さんにそうお願いして、最初に試したのは筒の中にマイクを突っ込むセッティングでした。マイクを出来るだけ打面に近づけて、アタック音を集音しつつ湾曲した筒の中の鳴りも同時に“録れるかもしれない”と狙っての挑戦です。 がっ!!!! ここで大事件が発生してしまったのです! たった今まで、ズドドドドゥ〜ンと鳴り響いていたサウンドが、
いっかーん!こんなじゃない! 厚見さんが。。。
楽屋に引きこもってしまったのです!(爆)
「こんな音じゃ、今日はもう演りたくないよ。。。」と言い残し、 もうね、内心は焦りまくりつつも、ここは冷静にならねばと
コンビニのおでん売り場のようなのです!
いっかーん!(>_<)
慌てて刺さった串を全て抜き取って、とにかくいちばん見た目の
スドドドドゥオオォン!
えー!って思った次の瞬間、 「いったいナニをしたのっ!」 あまりの勢いに、おもわず「すっ、すいませんっ」って ホンの数センチ位置を変えると激変するサウンドのスィートスポットを探しながら、無骨なマイクスタンドがNORTHの美しい曲線美を 邪魔しない角度に調整していくと、まるで瀕死の生き物が復活したかのように、NORTHサウンドがみるみる巨大化していったのです! 「これだよ!これ!」 「あれ。起きたんですね。(笑)」 「この音聴いて、寝てなんていられないよ!」 「キマシタね!」 「ようし、リハを始めよう!」
湾曲した筒の中を、
ボクはあります。(笑)
テナワケで、 この日のライヴを見た多くの方々から寄せられた 「いっちばん嬉しい!」 by厚見さん。 なのです。(笑)
あんなにたくさんのキーボードを持ち込んでおいて、 って聞こえてきそうなので、 これは厚見さんの所有する ヴィンテージ Ludwig ドラムセットと 見た目は最っ高の NORTH ですが、調整次第でサウンドは激変してしまう癖のあるドラムです。その調整のノウハウもまた、誰も持っていないからには、こうして最高のサウンドを持つヴィンテージ Ludwig と並べて徹底的に研究する必要がありました。 銀ラメをまとい美しく輝く Ludwig 姫の誘惑を振り切り、ネズミ色の NORTH を美人に磨く。 つ・ま・り、 煩悩との闘いを乗り越えた達成感があったワケ。 ね。嬉しいでしょ。
本物の楽器が持つ特別な力。
一度読んだ事のある方も、是非、読み返してみてください。
第 V 章 Arabesque この日。GBに集まった私達はまぎれもなく
美しい光も誇らしいプライドも。
そしてこの日は。。。
なにもかもが美しかったこの日のライヴの最後のシーンは、
光と魔法、祝福に包まれた空間
音楽の力は素晴らしい。
written by Eiji Farner |