written by Eiji Farner


「音楽を演奏して観客の心を動かし本当の意味で感動させるなんて、
どんなに小手先のテクニックがあってもできないんだよ。
唯一、全身全霊を込めて演奏する以外にない。
それは芸術やスポーツ、クラッシック音楽であろうと
ロックミュージックであろうと、総てに共通している事なんだよ。」

という事を知って以来、常にそういう意識でライヴ演奏を観るようになって
しまったもので、以来ボクの中では良い演奏と感動する演奏の垣根は
遥かにかけ離れてしまいました。

全身全霊って、つまり命を賭けると言う事?

命賭けって大袈裟なように思うでしょうが、一切の妥協しない生き様、
己のプライドを掲げ、例えば言葉通り体力の限界に挑むような
熱演であったり、新しい物事へリスクを背負って挑戦したり、
膨大な時間を費やし準備する事であったり、
お金の負担であったり、
重量級機材の運搬を惜しまず最高のサウンドを用意する事であったり。



ステージ上に並べてある機材を見た途端、本気度が伝わってくる
ライヴもあれば、何曲演奏してギャラいくらって
そういうライヴを見せられてるのねって気付いてしまうライヴもあります。



日常の生活から抜け出してライヴ演奏に身を置くワケで、
演者もお客さんも楽しめればそれでいいじゃんって、
それもアリと言えばアリです。



でもそれがライヴの醍醐味だと思ってしまうのは、
せっかく音楽を好きになった人生を選べたのに、そこにあるべき真価の
半分も知らずに終えてしまうという事なんじゃないか、
とボクは常々思っています。

で。そんなボクの私見を。

強烈な衝撃を伴って確信させてもらう事となったライヴが、またしても!

2017年5月20日、ヤマハ銀座スタジオ

  



― Set List ―

1. Sixty Years On  - Elton John -
2. Take Me To The Pilot  - Elton John -
3. Venus  - The Shocking Blue -
4. Superstar  - Delaney & Bonnie / Carpenters -
5. Mean Mistreater  - Grand Funk Railroad -
6. Moon Child 〜 I Talk To The Wind  - King Crimson -
7. 〜 Birdman  - McDonald and Giles -
8. A Salty Dog  - Procol Harum -
9. In The Wake Of Poseidon  - King Crimson -
10. Thank You  - Led Zeppelin -
11. Child In Time  - Deep Purple -
12. 神話  - Tachyon -
13. Shock Waves  - Vow Wow -
14. アラベスク  - Moon Dancer -

< Encore I >

15. Cry No More  - Vow Wow -
16. Starless  - King Crimson -

< Encore II >
17. Same Town  - Vow Wow -





技術を極め、圧倒的な表現力に最上のサウンドを伴う演奏と。

強烈なまでに琴線に突き刺さるヴォーカルと。

歌いながら演奏するという、歌とも演奏ともジャンルの異なる超絶なる技術と。

数多の名曲を自らの世界観に内包してしまうアーティストパワーと。



その総てを目の前で披露されて、ボクは気づかされるのです。

ボクはいま、この日の為に命を賭けて準備された景色を
体験させてもらえているのか!と。

トテツモナイ引き出しを、こんなにもたくさん、
今まで隠し持っていたなんて!(笑)




この日のライヴに入場できた幸運の持ち主はたった112人。
選ばれし112人が体験したライヴは、世界中の誰にも真似出来ない、
恐らく人類史でたった一人だけ到達できてしまった、
神に選ばれた芸術家の創造した世界でした。

あの日のジミヘンドリックスやあの頃のツェッペリン、
あの日のパープル、グランドファンク。
神に遣わされそういう境地に到達したアーティストは主にハードロック創成期に
何人か居て、彼らは神格化され伝説となり
瞬時にして世界に知れ渡ったワケですが、
背景にある時代の持つエネルギーやFes会場に宿る“場”のパワー、
メンバー間に生まれるケミストリーによる処も大きかったと言えます。

ト・コ・ロ・が。

この日のライヴは、たった一人で全てを準備し、たった一人で全てを創りあげて、
時代のエネルギーも場のパワーも何も無い、ガランとした空間に、
あの世界観を作り上げてしまったのです。

このトーリ。



がらーん。
あるのは程度なリバーブ感を伴う空気だけ。

それが。



視覚と聴覚だけでなく、吸込む空気までもを支配して、
そこにある総ては、まさしく

厚見玲衣の世界。

総てをたった一人で成すという前人未到の神業。
「Soloリサイタル初めてやるんだよー」なんてモンじゃなかった。

60歳の記念に自分の好きな曲、影響を受けた曲を
一曲ずつ解説しながら。。。って、
その解説の面白さと深さもまた最高だったので、
演奏+歌唱+演奏しながら歌う技術+アーティストパワー+プロデューサー
+なんでも知ってるスナフキン力+噺家っていう引き出し7段積み。



思春期から還暦に至る自己紹介を鍵盤の前で
いつものDenny's で語るように楽しく世間話してるが如く自然体でありながら、
ひとたび鍵盤に触れた瞬間に、命を削るかのような圧倒的な気を放ち、神々しい。



年齢を重ね、肉体的にも精神的にもかつての演奏技術を
再現出来なくなったミュージシャンの名を挙げたらキリがありません。

何故なら、それは普通の事であって、
それを見てガッカリしたとかって評する自分は、
50代60代になった時に20代30代の頃に得意だった事をひとつでも
同じように再現出来ているか自問自答してみれば、
その特異性に気付かされてしまう。

 

この日、観たライヴは、Keepしている凄さの遥か先にある、
「更に進化」という驚愕の未来。



左手でベースラインを弾き、右手で和音を奏でる事で、
両手でひとつのメロディを演奏するギターよりも幅広い表現が出来るのが
キーボードの特長なんだけど。。。

その左手ベースが。

 

完全に独立して縦横無尽にハネ廻る。
左手ベースだけでも、そこらのベーシストが裸足で逃げ出すグルーヴを生み出し。

そのベースラインを弾きながら右手で凄まじいソロを奏でる。







グランドピアノとは別の楽器として用意されたエレクトリック・ピアノは、
エレクトリックだからこそ可能なピアノサウンドとストリングスを重ねたり、
ピアノサウンドとクワイヤ(Choir = 合唱コーラス) を重ねての重厚な
アンサンブルサウンドを演出する為に用意されました。



で。音を重ねるだけなら道具があれば誰でも出来るんだけど。。。

厚見さんの演奏を聴いたとき、毎々驚かされるのは、
そのストリングスやクワイヤの重なり具合が、やたらドラマチックに押し引きして
時に楽曲のイメージを作り上げ、時に歌にピッタリと寄り添い、
まるで弦楽奏者やコーラス隊が居るかのように感じるのです。

よーく見たら。。。ピアノを弾きながら、歌いながら、足下で。



左右のペダルを常に微調整して、ストリングスやクワイヤのミックス加減を
歌いながら曲の表情に合わせて調整している!
これまた神業の足技。




この日、披露された“厚見玲衣”を、ここで一回整理しましょ。

演奏+歌唱+演奏しながら歌う技術+アーティストパワー+プロデューサー
+なんでも知ってるスナフキン力+噺家。ここまでで引き出し7段積み。
で。それに加えて、+左手ベーシスト+左足弦楽奏者
+右足コーラス隊+両足でアンサンブル調整しながら弾きながら歌う技術。
引き出し11段積み。

総てをたった一人で成すという前人未到の神業。

と、最初に読んだ時に大袈裟に思われた方。

それがですね、まだあるんです。

それは最後の最後、ダブルアンコール、
「ここからはオマケ。遊び。」と言って披露したVow Wowの名曲、
Same Town で。

この日、一曲だけ、シンセサイザーをメインにした演奏となったのが、
このSame Townでした。



ここまでは、左手でベースラインを弾いて、右手でリフや和音を弾いて歌う
スタイルでしたが、この曲では、右手は高速アルペジオを
シーケンサー(自動演奏)のように引き続け、
左手で曲のリフとなる和音を弾きながら歌っていました。

人間がシーケンサーみたいに正確な高速アルペジオを弾き続けるのって、
リックウェイクマンとか他にも達人は居るんだけど、
それ、しながら歌うキーボーディストって、居たっけ?

12段!


で、右手でオルガンソロを弾きまくる。(@_@)

左手は縦横無尽に駆けるシンセベース。


この時、誰もが気付いたハズです。

曲が圧倒的にカッコイイ!

ソングライティングこそ、最も尊い才の引き出しであって、
悪魔も天使も裸足で逃げ出す、13段積み!

(あ。悪魔も天使も元々靴履いてないか。)



と。ここまでで、誰もが気付く事なんだけど、(←御本人以外)
こんなに凄まじい境地に到達したアーティストとなってしまうと、
厚見玲衣の世界について行けるミュージシャンって、居るんだろうか!?と。


そんな想いに。



1stアンコールに登場した、
この日のスペシャルゲスト、山本恭司!



披露されたプログレッシヴロックのアンセム Starless は、
御二人の盟友、今年1月に旅立ったジョン・ウエットン氏へのレクイエム。

初のフルコーラスヴァージョンに誰もが衝撃を受けたのですが、
実は事前のリハもなく、この日いきなりにして、
最高のコンビネーションを魅せてくれました!

そして、またも強烈な体験を伴って教えてもらえました。



なあんだ。
引き出しの数、数えてもあんまり意味無いんじゃん。

一人で総てを成した偉業は前人未到なんだけど、

対話である音楽に於いて、

無限なんじゃん!


恭司さんと、たった2人でもこれ程までに広がった世界。。。そして、



112人の観客との対話もまた音楽の姿。

このシーン、この時の、
選ばれし全員が共有したあの興奮こそが!

全霊を込めて繰り広げられた、




  




Happy Birthday & Congraturations !
We appreciate the way you live !


written by Eiji Farner


≪ 追記 ≫

と、ここまでが。
112人の厚見玲衣メイニアックスを代表して書かせて頂いたレポートなんですが。
メイニアックスメンバーから、
いちばん重要な引き出しが抜けてるぢゃないですかっ!
っていう御指摘を写真付き頂き、以下追加します。

これをご覧頂けば、みなさんヒザをポンと叩いて拳をグっとされるでしょう。

 

 

 

弾いている“御姿”が、
世界一、最高にカッコイイんです〜(≧▽≦)!



Additional 5 photo and the message
by Masahiro Takahashi




たしかにっ!(≧▽≦)








≪ Bonus Track ≫


準備まで全部ひとりで。って書きましたが。
この日の公演を創りあげた最強サポーターが居たことを
112人の観衆は知っています。

この日最も観客の心をワシづかみにした“演目”。。。

開演前のアナウンス!

事前に録音せず、アナウンスまでも“LIVE”にこだわり、
笑いをコラエきった、厚見親娘のっ!
記録がここにっ



https://youtu.be/GPWly3rHsZc








シングル

sesdek〜Sixty Years on〜

(Blue)

(Red)








≪ フライヤー ≫







厚見玲衣 (ex-MOON DANCER,TACHYON,VOW WOW)、
ロックキーボ―ド人生初のソロ・リサイタル!

再び奇蹟は起きるのか?!



2017年5月20日(土)

OPEN 17:00 / START 18:00

ヤマハ銀座スタジオ
https://www.yamahaginza.com/access/



≪出演≫
厚見玲衣 (grand piano,key,vo)




≪主催≫
アツミック・ルースター・オーガニゼイション




Ticket information

チケット料金 
6,000円 (税込)
全席自由 (整理番号順入場)

2017/01/10(火)10:00〜 
チケット発売開始 (イープラス限定)




チケット問合せ 0570-06-9911
  





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