Vintage Drum Maniac

Written by Eiji Farner

世の中、いろんなマニアの方が居ます。
ギターマニア、アンプマニア、ヴィンテージ・キーボードマニア、
フェイバリットミュージシャンナリキリマニア(笑)、etc,etc,

そしてコレは、2012年正月に都内某所で行われたヴィンテージ・ドラムマニアの集会レポートです。
ヒト呼んで、ヴィンテージ・ドラム・サミット。
先ずは、この光景を御覧ください。

 

オタクだらけのこの日本に於いて。
「ほう。このくらいの数なら、オレも持ってるよ。」と思った方も居らっしゃるでしょう。
が、しかし。

よぉーく、御覧ください。

一見すると床にコロがっているいるよーにしか見えない(←実は価値を分からず、とりあえずコロがしたんだけど。)これらのスネアのどれもが博物館に展示されるべき歴史的な価値を持ったスネアなのです。

ヴィンテージ楽器の“ほんとうの価値”を、書物で読んだ知識ではなく、自分の耳と目で体感しないと気が済まないヤッカイなヤマイにムシバまれた、Grand Funk Maniac の面々に、この素敵な体験ZONEを提供してくださったのは、ヴィンテージ楽器研究の権威(←注:ケンイと読みます。オタクとは読みません。)の、ハードロック・キーボーディスト厚見玲衣さんでした。

そしてこのメクルメク、驚愕のドラムコレクションを提供してくださったのは、
某中学校のPTAで知り合った Fukada さん。

ご自分のスネアなのに、こんなにいっぱい引っ張り出したのは久々らしく、写真を取りまくるFukadaさん。(笑)

そしてこの日、これらのヴィンテージドラムを試奏してくださったのは、
TIMチョ&宴ROCKSで壮絶なプレイを披露して世界中のハードロックファンのドギモを抜いた城戸紘志さんです。

TIMチョ&宴ROCKSの結成秘話もまた、某中学校のPTA。(詳しくはコチラ

その結果、Grand Funk ManiacMountain Maniac に続く、ディストーションベースサイト・Tim Bogert Maniac が立ち上がった事は今や知らない方は居ないでしょう。

Facebook も mixi も、もはや古いっ。

時代はPTAコミュ二ティなのです。(笑)

おそるべし、PTA。

 

おっと。逸れそう。。。

では早速、この日持ち込まれた驚愕のドラム達を御覧ください。

with SLINGERLAND AA PEDAL/40s

and SLINGERAND/50s CASE

SLINGERLAND/50s

5"x14"

Blue&Silver Duco

 

SONOR Set/62s

20"x13"/13"x8"/16"x14"

3ply BeechWood with Rainforcement

Cymbals
K. Zildjan 22" Ride(Medium~Heavy)
TOSCO 14" HiHat Cymbal

Hardware
HiHat Stand SONOR 60s

 

SONOR/63~4s

4.75"x14"

RED STRATA

5ply Beech Wood

 

SONOR/60s

4.75"x14"

Blue Aqua

3ply Beech Wood

 

ROGERS(Eagle Badge)/50s

5"x14"

Blue Sparkle

5ply Maple Wood

 

ROGERS Power TONE/67s

5"x14"

Heavy Brass

 

SONOR/10s (100年前!)

4.75"x12"(?)

Brass

 

SONOR/60s

4.75"x14"

Heavy Brass

 

 

LEEDY/20s

6"x14"

Natural

Solid Maple Wood+Rainforcement

 

LEEDY/40s

7"x14"

Solid Maple+Rainforcement

 

SONOR/60s

6.5"x14"

Heavy Brass

 

SONOR/50s

6"x13"

Yellow Stripe

3ply Beech Wood+Rainforcement

 

50年代 SONORのロゴエンブレム!

 

SLINGERLAND/20s

12"x24"

Maple+Rainforcement

SLINGERLAND

40s RadioKing CalfSkin Drum Head 24"

(本物の牛の皮で出来た70年前のヘッド)

 

厚見玲衣さん所有のLudwig ティンバレスを

タムとしてセットアップした

“Mountain仕様”(笑)

 

SONOR/60s

Drum Throne

 

Duplex/20s

Cymbal Holder+Tilter

 

LUDWIG

SnareDrum Cace

 

WFL

SpeedKing Drum Pedal

 

LEFT
WFL/50s

SpeedKing Drum Pedal

 

RIGHT
Ludwig/20s

Early Drum Pedal

これらの国宝級ドラムは、Fukada Collecion のホンの一部分だそうです。
凄まじい質と量のヴィンテージコレクションの中からチョイスした氷山の一角という。。。うひー。
他では見ることの出来ない、正真正銘の“お宝”画像です。

 

我らがラディックオタク、ドンイチ君の
'65年スーパーセンシティブ 410(14×5)と、'71年スプラフォニック 400(14×5)も
持ち込みました。

地獄絵図という言葉がありますが、
この光景は天国絵図とでも申しましょうか。(笑)

それぞれ一台ずつの歴史的価値、職人による造りの素晴らしさ、サウンドの素晴らしさを語ってしまうと、本一冊くらいになってしまうので、ここでは泣く泣くカットです。
しかし、この日体験したサウンドと得た知識の中で、目からウロコが落ちた“誰もしらない真実”について、いくつか披露させて頂きます。

先ず、今回の体験で身を持って再認識することになった、全ての楽器マニアに、自信を持って伝えたい事実は、

「あれもできます、これもできますというオールマイティな楽器は、
ひとつのジャンルの音楽を極めることは出来ない。」

という事でした。

これはロックにしか使えない。これはジャズにしか使えない。
という事ではありません。

このスネアサウンドこそがロック!であり、
このスネアサウンドこそがJAZZそのもの!

一台一台のスネアのサウンドやタッチが演奏者の感性に融合して、おのずとJAZZYなプレイを呼び起こすと同時に、よりJAZZYなビートを生み出したかと思えば、突如として、“あの時代の” ハードロックの空気感をも再現されてしまうのですから、そんなシーンを次々と目の当たりした我々は全員一致でこう思いました。

ドラムの音色こそがビートの色だということ!

そしてなにより、

恐るべし、城戸紘志さん!

この日、初めて体験した、本物の牛の皮で出来た昔のヘッドが持つ独特の倍音や空気の振動とか、量産を前提としない職人の“粋な工夫”が施されたヴィンテージスタンドやキックペダルとか、素材も構造も設計理念もナニモカモが見落とせない“お宝”だらけであり、それがこれだけの量で炸裂したのですから、ほんとうに凄い経験になりました。

Fukadaさん、城戸さん、厚見さん、

ほんとうにありがとうございました!

さて。
前述の通り、全ての機材について記述できませんので、特に衝撃的だった、SONOR に対するサウンドイメージについてボクの“個人的な”感想を述べて、第一回ヴィンテージドラムサミット閉会の言葉とさせて頂きます。

SONOR といえば、1980年代に大流行し、今も尚、“王道” となっているタイトなドラムサウンドの象徴であり、その高額な価格設定からまるでドラム界のロールスロイスみたいなイメージですが。

実は。
ボクはぜんぜん好きじゃない!(爆)

なぜなら、80年代以降のタイトなドラムサウンドでは、ボクがツェッペリンやグランドファンクから浴びた、あの興奮が感じられないからです。

聴きやすくて格好良く聴こえる曲のレコード(CD)製作現場で、レコーディング用のマイクに綺麗に音が乗るように、ちっこい音で、ゲートリバーヴとセットで流行の音。みたいなイメージを勝手に持っていまして、そんなのちっともハードロックぢゃねーじゃん。と、ど素人が生意気にも思っていたワケです。

この日まで!!!!

なんでSONOR がもてはやされるのか知らなかったボクだったのですが、この日体験した創始期のヴィンテージ SONOR サウンドは、全ての概念をひっくり返してくれました。

ヴィンテージSONOR サウンドの、なんとワイルドな事!

凄まじい迫力と美しい倍音が炸裂して、まさに興奮を呼び起されるそのサウンドは、80年代のSONORイメージとは全く異なっていました。

これにはもう、全員がブットんだのは察しのトーリ。
その光景を見て笑顔満面なFukadaさん曰く、

「これこそが、SONOR なんです!」 と。

ブッキラボウな表現ですが、我らが神器たる60年代〜70年代のヴィンテージ Ludwig スネアが。。。。まるでヴィンテージSONORサウンドを手本に、一生懸命追いつこうとしている後発メーカーの量産品かのようにさえ見えてしまうのですから、如何にヴィンテージSONOR が素晴らしいか。
この、ど素人文章で少しでも伝われば。と願っています。

と言って。

博物館にでも行かなければ、世界中のメーカーが目指した“本物のサウンド”を体験する術は無いんですけどね。(笑)

SONOR社は1875年に打楽器メーカーとしてスタートしたそうです。
凄まじいまでの理想的サウンドを世界に示し続けてきたSONOR社だからこそ、130年もの悠久(というより激動)の時を超えて尚、レコーディングとか音楽ビジネスという“今”の時代に適した現在のSONORへと進化して、そのサウンドもまた世界に受け入れられたという事を知り得たのもまた、ボクにとっては大きな勉強になりました。

この体験を通して、史実を知ったボク達は孫子の代にまでこれを伝えていかねばなりません。

むかしむかし、日本にはまだ電気が無かった明治時代。。。
いちばん最初のドラムメーカーが作った、いちばん最初のドラムが、

いちばん凄いサウンドじゃった。。。

あらためて、Fukadaさん。。。

こんなにもたくさんの。。。。。って、重症ですっ!

出会えて、ほんとうによかった!(笑)

あ。そーだ!

オーナーのFukadaさんがこれらのヴィンテージドラムを時々持ち出して、
BlueSwingというブルース&スウィングセッションを開催しているそうです。
スケジュールは、Fukadaさん主催の「首都圏開催のブルースセッション/ライブ情報サイト」
JamPortのカレンダーに掲載されています。
下記バナーをクリックしてインフォメーションを得てください。

ヴィンテージSONOR の持つ
“ ドラムの歴史をスタートさせた本物のサウンド ”
を、世界で唯一体験するにはそれしかありませんよ!

Written by Eiji Farner

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