Traveler

This is Not Veleno. My friend and I made this.
Materials are wood. This is the design which I respect.

その長い経歴の中でMARK FARNER師匠が開発に関わった楽器といえば、意外にもPEAVEY社と共同開発した真空管アンプの銘器「Roadmaster」のみで、ギターに関してはカナリ異種ではあるものの、基本的に市販品。と思っていたのですが、最後の最後に登場となったコイツを忘れてました。これこそがMARK師匠がデザインした唯一のギターです。

と、申しましても写真のこのギターは、友達のギタールシアー君に作ってもらったレプリカです。
本物は10本くらいしか作らなかったらしく、マボロシなんですね。

MARK師匠がこれを作ったのは73年頃でアルミギターで有名なVelenoとの共同制作だったそうです。当時ガレージメーカーであるVelenoギターは流通手段がなかったので、いわゆるバックステージやリハーサル会場に忍び込んでは、ギンギラに目立つギターのセールスプロモーションをしていたそうです。MARK師匠を筆頭に有名ミュージシャンがこぞって購入したそうですが、その中で御大B.B.King氏は丁重に断ったようで、「旅行用の小さいギターなら欲しかったんだけどねえ」と、言ったとか言わないとか。なので一説にはB.B.KingがVelenoに開発させたかのように語られていますが、このすんごいアイデアのギターは、MARK師匠のアイデアで製品化されたというのが真相。(らしい)

どこが凄いか。というと、普通のミニギターは、当然スケールが短くなるので練習用といっても、本番で弾くギターとはタッチが違いすぎてしまうワケなんですが、コイツはナント、ギブソンスケールなんです。でもそのままだとネックが長くて持ち運び不便。なので「3カポ設定」として、ナットが3フレット。つまり、6弦開放は“G”で、5弦開放は“C”で・・・。普通のギターのスケールで、普通のギターのテンションで、3フレットから下が無い。という。

コレ、画期的アイデアです!!!って、作ってみてわかったんですけど。(笑)

例えば。MARK師匠は歌うんでギターの指板をチラ見しないんですが、スケールが違うと指板を見ながら(探しながら)弾くことになるので、それでは練習にならないんですね。たぶん。
なのでスケールは合わせる必要があるし、ポジションマークは無し。(なのは、そーゆー事か?) とか.
ちなみにMARK師匠がこのギターを弾いている写真は、当然ありません。ホテルとか飛行機の中とかで使うギターですから。

しかし、シリアル#001を所有されていた事は雑誌の取材で明らかになっていまして、左の写真がその記事の写真です。
左の植木鉢に立てかけてあるのが#001です。
右は恐らく日本には1本しかない#007の記事で、ヘッドの形状もボディの形状もパーツも#001とは異なります。私の調査(?)では最初の2〜3本だけが#001シェイプだったようで、「これぢゃハイポジションに手が入らねえぞ」と形状変更したようです。(←作ってみてわかったんですけど。入んない。。。)


ヘッドも#001は、有名なV型ヘッドの「アレ」をちょん切って作ったんですね。もしかしたら最初はホントにV型ヘッドだったのかもしれません。「小さいほーが運びやすいんで、悪いけど切り落としてよ。」って言われた。。。メーカーの identity というか、デザイナー的こだわりを無視して。。。泣く泣くちょん切った。。。ような気がしてならない。。。参考にした#001のヘッド写真がなぜか左右非対称(テカ、いびつ)だったので、忠実にトレースして完コピしたのですが、Vヘッド(本物ね)と見比べたら、マチガイナクちょん切った形状だったワケで。

最初のうちは「売れんのかよっ?」って、在庫ネックを流用してたんでしょう。で、「うれちゃうカモ〜」って専用ヘッド形状を作った。がっ。生産台数は10本程度で。。。

あ。そうそう。この#007は超有名コレクターの方が所有されてるのでその存在までも有名なのですが、これ、私、買い損なったんです。


#007は元々Velenoオリジナルギター(普通のVヘッドのアレ)の#78とセットでL.A.の中古楽器屋に売りに出てたのを私の兄が見つけて、その#78を親友のSohn氏が購入したんです。
その時に店からこの#007も買ってよ。とオファーがあって、「う〜ん、高いなあ。。。」と、悩んでたらナント日本の方に買われちゃったワケです。いいなあ。。。。弾いてみたいなあ。。。。

おっと、脱線。(いつもの)

実は周囲の友人に、なんでコレが欲しいの???と散々聞かれたのですが、もちろん理由アリ。
妄想してたんです。
このギターを使って練習や作曲をしたトナレバ、74年以降のプレイスタイルが変わるんぢゃなかろうか。と。ムフ。

例えば、トリオ時代には開放弦を多用してかっちょいいリフやコードを作曲されたMARK師匠が、クレイグフロスト氏加入以降、ハイポジションでのコード押さえが多用されるようにったのは、キーボードと和音構成がぶつからないようにした。と考えるのがスジなのですが、「もしや開放弦が使えない3カポギターで練習したからぢゃなかろーか。」トカ。

大映ビデオの映像(正にVelenoを弾きまくる74年のアレ)を見ていて、ロコモーションとか12フレットあたりでコード弾くんですね。ところがリンゴスターバンドで来日した時、普通に5フレット〜開放交えてコード弾いてるの見て、「アレ?なぜ74年頃はあんなにハイポジなんだ?」って思ったあたりがキッカケで。

74年頃のギターソロとなると、ロコモーションのソロも Shinin'On のソロもほとんどハイポジションですし。
つまり、3カポギターが、あの頃の作曲や、ソロ構成や、バッキングのパターンに色濃く影響を及ぼしているんぢゃなかろーか。と。
で。買い逃したし、それ以降、手に入る見通しは無いし、よっしゃ無いなら作るっきゃねえっ。って、作ったワケです。
で、やっぱし。これは後期GFRの楽曲に大きく影響を及ぼした重要な意味のあるギターでした。弾きながら「おお、そうかナルホド。ふむふむ。」と、ひとりホクソ笑むワケです。
この写真はヴェレノさんに怒られちゃうかな?リスペクトしてるんですよっ、後期GFRのスタイルを築いたギターですから!


製作日記

≪スペック≫

ボディトップ

ジャーマンスプルース
(これが素晴らしく良く鳴る。美しい木目は銀色に塗り潰しちゃいましたが。)

ボディバック

アルダーのチェンバーボディ (中は空洞。Velenoを見習って上下2枚合わせ。)

ネック

メイプル ( 0フレット仕様、上のほうは半分くらい使わないけど24フレット仕様。)

ブリッジ

オリジナル・レプリカ (アルミ削りだし。泣くほど面倒でした。)

ピックアップ

なんだっけ?ダンカンJBだっけ?


で、形状は写真見ながら図面に書いて、“型”(テンプレート)を作って、ボディ形状切り出して、下地磨いて、あたりまでは自力で。教えてもらいながら。
その先の専門的なトコは友達(プロ)にまかせて、横からああしろこうしろ。(してください) と。

以下、作業写真。

【実物大形状図】

まずは資料写真を分析しまくって実物大のサイズ・形状を作図。

【ブリッジ削りだし】

民家です。楽器部屋です。

エンドミル(ドリルの刃)は一本しか持ってないのですごい大変で泣きました。

【上が本物、下がレプリカブリッジ】

素人にしちゃ大変よくできましたっ(涙) えらいぞ俺。

【製作工程@】

木工です。トラスロッドを角材に仕込んで、ボディがそられしい形状に削り出され。

【製作工程A仮組】

組んでみたら、アレ、かっこいいぞ。

【製作工程B塗装】

ウクレレと並べて塗装。

片や銀色。。。やたらギャップあり。

【完成、表】

磨くのに疲れて、中間工程の撮影忘れた。。。

【完成、裏】

裏がやたらカッコイイ。

弦は裏通し。

ヒールはV型。

【サウンドチェック】

作ってくれた友達の長男、日音クンがサウンドチェック。

日音クンお世話になりました。

Great Thanks !
Yamazaki-san, Hion-kun,

【後記】

このギターで、今現在判明しているMARK FARNER師匠が歴代ご愛用された数々の個性的で素晴らしいギター達が一応全て揃ったことになります。
振り返れば、最初にグリーンのメッセンジャーを手に入れて以来、十数年の年月が過ぎていました。
ここに辿り着く事ができたのは、やっぱりたくさんの方々のサポートと素晴らしい出会いに恵まれてきたからと、あらためて感慨深いものがあります。

みなさん、ほんとうにどうもありがとう!

Thank you very much !! All my friends,
and
Grand Funk Railroad,

( さあて、次は何探そうかなっ)

 

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