EijiのVELENO [シリアルNo.#28]

 


一片の曇りもない奇跡的なミントコンディションを保つSohn氏のVELENO [シリアルNo.#78]

このギターは最っ高です。

ネックもボディもアルミニウム製ですので、そのサウンドは金属独特の高音とホロウボディ独特の太い低音で、それが見事に相まって抜けの良い太い音がします。
ホロウボディなので生音が大きく、その音を古いGibson製のPick Upで真空管アンプに送り込む事によって、極上のサウンドが得られます。
しかもネックが極薄なので弾きやすい。
MARK特有のストレッチしたコードフォームも間単に押さえられるので、歌が唄いやすいギターです。
よく「重い」と言われておりますが、たいして重くありません。軽くはないですが普通ですよ。
有名な74年のライブ映像で使用されていますが、あの音そのものが得られます。
あの映像の音は残念ながら Hi 寄りに編集されており、テレビのスピーカーで聞くとギターの音が細く聞こえてしまうので、VELENOの音は細いと誤解されている方がいらっしゃるかもしれませんが、実際には非常にヘビーなウネリの有る音のギターです。あのライブ音源をお手持ちのステレオ(できれば大型スピーカー)で鳴らすとテレビでは消えてしまう“下”の音域が強烈に再生され、このギターの本領が理解して頂けるハズです。

VELENO うんちく

MARKは3本のVELENOを所有していました。

#4、#19、そしてMARKのアイデアで製品化されたトラベルギターです。

#4は残念ながら盗難に遭ったそうですが、1996年にサインをもらいに来たファンが、なんと盗難品 #4をもっており偶然の再会をしたそうです。(そのファンの方には#4が盗難に遭ったギターである事は言わなかったそうです。ほんとうに心の優しい寛大な方です。)

VELENOに関する資料記事で何故か未だに公表されておりませんが、シリアルナンバーがヒトケタ代の最初期のモノとそれ以降のモノではボディシェイプが違うのです。

最初期のモノは、テレキャスターの下半分を対照にした細身のデザインで、ツマミが3個一列に並んでいます。恐らくほんとうにテレキャスターを参考にしたのでしょう。

以降のモノはウェストラインのクビレがネック側に移行した分、ボテっとしたデザインで、ツマミもレスポール風に4個になります。

当然#4は細身で3ツマミ、#19は後者です。

John Veleno 氏が所有する最初期の1台やKISS のエースフレーリー元所有の#5は細身の最初期型ですね。(#5はツマミを増設してありますが)よく雑誌で見かけます。

ところで#1に付いていた「Vヘッドではないネック」の付いた後期型ボディのモノが日本で売りに出ているのを見たことがあります。すごいなぁ。

最初にサンタナの弟に売って、その次にマークボランが2本買って(1本はクラプトンの分)で、その次が恐らく当時全米1位となったGFRに売り込みに行ったのでしょう。
で#4。

#19は映像の中で使用しているあのVELENOですね。

VELENOはガレージメーカーゆえに時期によって使用部品がまちまちだったようです。

#19の場合、Gibson PickUp に黒いエスカッションで、テールピースがシルバーです。透明のピックガードが後に取り付けられるのですが、この時期はまだピックガードとその取り付け穴がありません。

で、写真の#28ですが、たったの9番違いですから完璧にこの仕様です。#19と全く同じ。これもめったに無いギターですから購入時には当然選択肢がない状態でしたので、入手後に同じである事に気付き、大喜びしました。

でもピックガード無しなのでだいぶメッキが剥がれてしまっています。

コンディションは左の写真の #78 VELENOのほうがずーっと良いのです。

カッチョイイ「VELENO #78」をもういっちょ、ご覧いただきます。

背景にオーラが後光となって“輪”を描いているのが見えますか?

床にはVELENO の“光の影”が置かれています。

白く輝く影。

この写真を撮る瞬間、ChangさんとSohnさんと3人で「おぉー!」 「Keep It Shinin' On!!」っと叫んでしまいました。

異次元空間に居るような錯覚すら覚える光の芸術。

それほどにオーラを放つギターです。

Eiji


1986年。ついに発売されたGFRのライヴ映像を夜明けまで繰り返し繰り返し見たあの夜から、19年の歳月が過ぎました。
あの日、夢見た光景がついに実現しました。感無量。。。

 


#28をレストアしまして、はじめてパカっと開けてみたら、中はこうなっていました。

中が空洞になっていることはコンコン叩いて察していましたが、思ったよりも板圧が薄いのと、削り出したフライス盤(切削機械)の刃の跡が残っていて、これはひとつひとつ削りだしていたんだ。と分かった事と、ハウリング防止(?)のために、ウレタンが詰め込まれていた。

という事実を発見しました。

少しでも軽量化しようと、ネック側のジョイント部にも空間が設けられていますし、前後ボディがたわまない為の“支柱”も最小限のサイズとなっています。
その割りに、ボディエンドのストラップピンのネジを受けるブロックがやたらデカイ。(笑)
たぶん、肩から下げたときにヘッドが下がるので、オモリとしてこのようにしたんだな。と、開けてみるといろいろ作り手の苦労が分かるモンです。
ネックジョイントの4本のネジの内、一本だけ、オカシナ事になっていますので、もしかしたらネジ穴を切るのに失敗したのカモしれません。

テレキャスター風のツマミも、実はコレは手作り(削りだし)と分かりましたし、見たこともないポットが使われていたり、見たこともない細〜い線で配線されていたり。(笑)いろんな発見がいっぱいありましたが。
い・ち・ば・ん、ビックリしたのは、ピックアップです。

Gibson社から提供されたPUが採用されているのは知ってましたし、ピックアップカバーも70年代のGibson社のモノだな。と、そこまでは外から見ても分かるので、そう思っていたら。

なんと。中身はPAFでした。
[ Patent Applied For] っていうシールが貼ってあって、
ん?って思ったら
ホントに50年代のPAFだったのです。

たぶん、前オーナーが交換したのか、もしくはGibson社から提供されたPUの中に混ざっていたのでしょう。(PAFがその存在と価値感を広く認知されたのは70年代後半でしたから。)

どーりで。
やたらボクのVELENOは、いい音がするなぁ。と。(笑)

レストア中に撮った写真をあと2枚。

 

なんでも。開けて覗いてみないとわからんもんです。

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