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恐るべし200Wの出力を誇る超重量級アンプが遂に手に入りました。
重さ約40Kg!一度床に置くと「おいおい、冗談はやめてくれ。誰が床に接着したんだ?」と怒りたくなるような重さです。
コンクリートの塊を持ち上げるつもりで愛情を持って接しなければ腰を破壊します。
JBLの重い12インチスピーカーを搭載したコンボタイプのWEST
Mini-1 よりも重いヘッドアンプです。
そして私にとっては5台め(当サイトにとっては8台め)にして、初めて。
「最初から音が出て、音以外に煙や火花やニオイや落雷音が出ない。」という、奇跡的な一台です。
そして、遂に、初めて登場となった“ブラックパネル”仕様です。
GRAND FUNK は、MARK も MEL
も皆ブラックパネルなんで、コレはウレシイ!
当然、汚れがコビリ付いていましたので、AVALON−Rの経験を生かし、先ずはメンテ&クリーニングです。今回は拭いている途中と拭き上がり写真をご用意しました。こんなにも汚れているのです。
クモの巣とか、ちゃんと掃除しておかないと、日本には居ないハズの虫さん達が私の部屋で繁殖する事になりかねません。
海外から古いアンプを仕入れた時の鉄則です。
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半分拭いたトコ
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全部拭いたトコ
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WESTの詳細はAVALON-Rのメンテナンス日記で解説させて頂いておりますのでそちらをご覧き、今回はFILLMOREで発覚した「新事実」を追加します。両方読んで頂くと、世界中のドコに行っても、「おお!日本人はなんてWESTに詳しいんだ。」となれるハズです。(メッセンジャーでも同じコト言いました。でもほんとうです。)
ちなみに先日、アメリカから遊びに来た友人(バリバリのアメリカ人で、素晴らしいビンテージギターをたくさん所有されている方です)は、私の部屋でWESTアンプを見て「これはアメリカ製か?」と言いました。。。。WEST。タマラナイ魅力があります。。。
それでは、各部の写真をご覧ください。先ずは重さ。(ナント言ってもこのアンプの第一印象というか個性というか。。。)もっのすごい苦戦&格闘の末、まさに「引きずり出した」シャーシの写真をご覧ください。
この巨大な2個のトランス。
左右に各1個ずつ振って配置するなどという重量に対する配慮は一切なく、思いっきり一緒に置かれています。
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スピーカージャック部には4-8-16Ωの切り替えスイッチが付いていますが、この写真。よーく見ると巨大なトランスがブ厚い鉄板シャーシにズブズブと沈み込んで、トランス周辺のシャーシがスリ鉢状に変形しているのがわかります。
フロントのブラックパネルを外した状態の写真でもトランス天面と木ワクシャーシ天井のスキ間がイビツなのが御覧頂けます。
つまり、トランスは今もシャーシに沈み続けているワケです。
ブルーのWESTがGFR(MEL?)の為にモディファイされたモノであると解析しましたが、あのアンプのシャーシが作り直されているのには理由があったワケです。つぶれちゃった。んですね。きっと。
そしてパワー管の配置からも、あのブルーのアンプがデイヴ・ウェスト氏が設計した FILLMORE とは異なる。という事実が見えてきます。
恐らく鍵となるのは製作者の Sonny Maker氏でしょう。
この辺はまだまだ推理の余地があってワクワクします。
サテ、このFILLMORE。全体のコンディションも良く、裏面のジャックには初めて PREAMP-IN と PREAMP-OUT
のパネルが付いていて、長年ナゾであったジャックの正体が判明しました。
パワー管は巨大な6550が4本です。
強烈に芯の太いBIG SOUNDを放ちます。
リアのコードをグルグル束ねておく為のやたらでっかい突起は、これがないと重いシャーシを箱から引きずり出せない。という重要な役目がある事に、このアンプによって気付きました。
フロントの化粧面は、例によってシールなのですが、このアンプの貼られ方は今までで一番雑です。そしてAVALON−Rでは、「AVALON」が貼り付けられていたように、このアンプもナント「FILLMORE」の文字すべてが、いわゆる“修正シール”です。たぶん剥がすとAVALONって出てくると思われます。
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う〜ん。なんとコンビニエントな事でしょう。
こっちがフラッグシップだと思うのですが、たくさん売れる方を優先するのは、モノ作りの鉄則といえば鉄則です。
トランスには、このアンプが作られたのが1972年6月1日と記載されています。製作者のイニシャルはP.H.さん。で、5日にOKになったようですが、その他は雑なカキコミで読めません。
でっかいトランスの外ケース蓋には WEST 0-200
と書いてありますので、このでっかいトランスが200W専用だった事が伺い知れます。
このFILLMORE。写真で見る「後楽園のMEL's
WEST」や私のブルーWESTよりも背が低いんです。
50WのAVALON や 100WのGRANDE と同じ背丈です。
その為に、ブラックパネルをネジ止めする木ワク(鴨居)が、トランス部だけ無いのです。
左上のフロントのブラックパネルを外した写真を御覧ください。
鴨居がトランス部で終了しており、つまりブラックパネルは正面右側だけでネジ止めされていて、左側は宙に浮いているワケです。
なので、本来は箱の背丈を高くして、鴨居をトランス部にもちゃんと付けなきゃーイケナイはずなんです。
たぶん。最初はチャンとそうしてたのが、72年頃には生産効率を上げる為に全機種の箱を共通にしちゃったのではなかろうか。と。トナレバ背丈が高い方に合わせるより、低い方がナニカと良いぞ。と。判断されたのではないでしょうか。
そのあたりの製品から垣間見えるハンドメイドらしいWESTの素晴らしい個性が、恐らくGRAND
FUNKのメンバーとのコラボレーションに於いても生きていたんだろうな。などと勝手に想いふけっているワケです。
不思議な事になぜかこのアンプだけがサイドのハンドルが逆側(トランス側)に付いています。AVALONのサイド・ハンドルは全て左側です。
アンプを立てて置く時に当然重いトランスを下にしたほうが安定するのですが、このFILLMOREは重いトランスが上に来ます。
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「間違えたにチガイナイ。いい加減だな。」と、最初は思ったのですが、違いました。超重いアンプシャーシは、普通に置いた状態では箱に収納できない!んです。ズリズリと引きずって押し込めば入る。などという甘いモンではないのです。置いたら最後、ズシリと重くズラせない!んです。
で。アンプを立てた状態で押し込むワケですが、トランスを下側にしてしまうとビクともしない。トランスが腰の高さにあって、踏ん張って持ち上げながらでないと、押し込めないんです。
なのでトランスは上。
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もしもハンドルがAVALONと同じ左側だと、トランスを上にした状態で、ハンドルが下になるので床に安定して「立てられない」ので、ハンドルも上。モンクあっか。入らないんだから仕方ないだろっ。って聞こえてきました。英語で。
後楽園のステージ写真を見ると、恐ろしい事に15インチスピーカーを縦に2発収納したスピーカーBOX(これだけで小型冷蔵庫サイズ)を2段積みにして、2メートル以上の高さとなったスピーカーBOXの上に、このFILMOREヘッドを置いてあります。グランドファンクも凄いケド、彼らのローディも凄いパワーです。
74年頃からは、さすがに持ち上げるのをやめて床に置くようにしたようです。
サテ、私事ですが、ここで謝辞です。
この超ヘビーなアンプの輸入に際して、輸送トラブルが有り送料の2重払いを強要されました。
輸送業者のミス(犯罪?)だったのですが、このアンプを譲ってくださった
Bruce氏とそのフィアンセDianeさんが万全のサポートをしてくださり、無事に問題を解決できました。
なにせ送料はアンプ本体に匹敵するような金額(つまり重過ぎるワケ)でしたので、ほんとうに助かりました。
そして何より、この歴史的にも貴重なアンプを素晴らしいコンディションで保ち、遥か日本へと譲ってくださった御2人に心から感謝しています。
Great Thanks Bruce & Diane
!
Thank you very much for your help and kind support.
You gave me the most wonderful amplifier and impression.
ARIGATOU!
Sohn's
FILLMORE 200W Head Amplifier
当サイト14台めとなるWESTアンプ。これはメル・サウンドをぶっ放す200WattのFillmoreです。
が。しかし、ぶっ壊れています。
いつものように(笑)
真空管は粉々、サビだらけ、クモの巣だらけ。歴代最強の汚さです。
ウルトラ重いので掃除をイメージするだけで目眩します。
が。これは良い音がしそうです。 こーゆーガレージに放置されたままのWESTはフルオリジナルだったりしますので。(笑)
この超ウルトラヘビー重量のアンプのハンドルを紛失させた前オーナーは、いったいどうやって運んだんでしょう。
どうやって移動させりゃいいんだ!?
う〜ん、これはホントに治るんだろうかっ?(爆)
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