NOVATRON M400S ![](images/v10.jpg)
written by Eiji Farner
![](images/V-tron/V1.JPG)
さて。世界中から物凄い反響(お叱り?)を頂いた、驚愕のひな壇。
ぢゃなくて。
Mark II “ヒナトロン”の公開から早くも5年もの月日が経とうとしています。
脅威のコンディションを誇る黒いノヴァトロンM400S(最終型)と、
Mark II “ヒナトロン”。。。
そしてちょっと恥ずかしい白いM400S“モトカノトロン”。
![](images/markII-2.JPG)
![](images/m400s.jpg)
これだけでも正にメロトロン・マニアックなのですが、
ムフ。
新たなる4台めのメロトロンの登場です。
正にメロトロン・マニアックの名にふさわしい超レアな
オリジナル・ソフトケースに身を包まれた姿はコチラ。
![](images/case1.JPG)
この“お宝”ソフトケースのエピソードはコチラ。
http://grandfunk-maniac.org/mellotron/case
サテ。そんな“元カノ”の服を着たメロトロン、
さっそくマッパに脱がしてみましょう!
じゃーん。おー!美白肌っ。
メロトロンといえば、白。
ツェッペリンもグランドファンクもクリムゾンも、とにかく
メロトロンといえば圧倒的に白。
なのでっ。
すでに黒いメロトロンとMarkIIを所有している厚見玲衣さんが、
買っちゃいました。白いメロトロン。
正確に表記すると、白いノヴァトロンです。(※注釈参照)
(※)一般的には、通称メロトロンと呼ばれるこの楽器ですが、なぜメロトロンとノヴァトロンのふたつの名前があるのかというと、イギリスの本家Streetly Electronics社はメロトロンの商標を1977年に失い、1977年から1986年に倒産する最期まで商標権を取り戻せなかった為にMellotronの上にNovatronとシールを貼って販売していたという経緯があります。但し、アメリカでは商標権を買収した別会社が、その本家のMellotronをほとんどそのままMellotronとして販売してたりで、一概にその時期のM400Sが全てNovatronではない、という非常に複雑な事情があるのです。
で。この白いノヴァトロン。
おそらく日本で5本の指(3本と言いたいんだけど遠慮しての5本)
に入るくらい、コンディションが素晴らしいのです。
ちなみに、当サイトで公開している黒いメロトロンは3本どころか、
恐らく最高の一台ですので、この2台がこうして揃うということは、
ほんとうに凄い事なのです。
![](images/V-tron/DSCN4524.jpg)
この黒いメロトロンも、正確に表記すると、元々はノヴァトロンの
ネームが貼られていたのを、ネームシールを剥がしてみたら
下から操作パネルに印刷されたメロトロンのネームが出てきたという、
つまり黒いノヴァトロン改め、いまや黒いメロトロンなワケで、
だんだんややこしくなってきたな。(笑)
よし。ここではシロトロンとクロトロンと仮に名づけます。
仮名なので、
シロトロン(仮)と、クロトロン(仮)と記することにします。
こっちがノヴァトロンのネームシールが貼られているシロトロン(仮)。
![](images/V-tron/NOVATRON%20name.JPG)
こっちが、そのシールを、そーっと剥がしてみたら、下から
メロトロンのネームが出てきた。というエピソードの証拠写真。
![](images/V-tron/MELLOTRON%20name.JPG)
2台有ると、なにか不調に陥ってもテープユニットに問題があるのか、
本体に問題があるのかを確認できるので実は「たいへん便利」なのです。
![](images/V-tron/V2.jpg)
巨大なテープユニット交換の儀式が、まるで豆腐屋の朝の仕込みくらい
ガッチャンガッチャンってすごい手間なんだけど、
そこんトコを差し引いても
頻繁に発生するこのヴィンテージ楽器の
不調部分が
正確に把握できる
っていうのは
凄いことでして、
「たいへんだけどたいへん便利」なのです。
で。取材したこの日は、贅沢にも2台並べてのコンディション確認。
今回用意されたテープユニットは5台。
これが、テープユニットの純正ハードケースです。
![](images/V-tron/Tape%20Case2.JPG)
年代によってケースのデザインが微妙に違います。
で。いろいろやってみたら、生きていたのはたったの2セット。
過半数割れです。(笑)
生きている最高のコンディションのテープユニットのケースは
意表をついてダンボール箱(コケンにかかわるので写真無し)
だったりしまして、立派なケースに入っている方が
全然ダメだったりするところがマニア心をくすぐります。
ようく見ると、スプリングの長さがやたら短いユニットも有って。。。
ははぁん、スプリングの在庫が足りなくて節約しよったな。。。
などという、ジョークみたいな事情(神秘?)が垣間見えたりもします。
![](images/V-tron/Tape%20Unit%20Eco.JPG)
こうしてたくさんのテープユニットが有るっていうのも贅沢の
極みですが、
実はこの他にも厚見さんの御自宅には10セット以上
のテープユニットがあるというのですから驚きです。
今どき切手の半分くらいのメモリーカードが常識。とか言っている方には
永遠に味わえない神秘の世界なのです。
と、ここで突如、問題発生!
クロトロン(仮)で問題なく動作していたテープユニットが、シロトロン(仮)では「アレ?」ってなって、こりゃシロトロン(仮)本体がおかしいぞ!と、別のテープを入れたらシロトロン(仮)は正常で、ありゃ?って、さっきのテープをもう一度シロトロン(仮)に入れたら、今度OKで、なんだこりゃ?シロトロン(仮)正常じゃん。って思ったら、今度はクロトロン(仮)がご機嫌ナナメになるという。
こりゃ、突然、両方同時に壊れたのか?と、沈みゆく夕陽を眺めながらガックリとうなだれて(真夏日だったんで暑さで消耗しきって)いたら。。。アレ?陽が暮れたら全部直った。
で。すごい事が判明。
メロトロンは、日本の夏に空調の効いてない場所で弾いては
いかんのです!
どうしても弾くならば、夕陽が沈んで、気温と湿度が下がってからっ!
この日の作業場は空調の効いていない楽器倉庫だったので、
ぬわんと、テープが湿気で滑らなくなっていたのです。
ようするにテープレコーダーみたいなモンなので、
テープの“走り”がキモなワケです。
どうです。切手みたいなメモリーカードに、
これほどの日本の四季が感じられますか?(笑)
ちなみにこの日の気温36度。あまりの湿気でカメラのレンズが
曇ってしまい、どれもピンボケだったという。
(ファインダーを覗かないデジカメの盲点!)
![](images/V-tron/V3.JPG)
この日の気候がいかに「メロトロン殺し」な状況であったか、
ムンムン伝わってくるでしょう。(笑)
![](images/V-tron/V4.JPG)
おそるべし、日本の夏!
かくして。夕陽が沈み気温と湿度が下がってみれば、
シロクロトロン(仮)(←2台まとめての仮名)は、
やっぱりどっちも素晴らしいコンディションだったのでした。
この日の撮影した画像がどれもピンボケでしたので、
日を改めて撮影し直したシロクロトロン画像を交え、
“素晴らしきメロトロンの世界”を御覧ください。
まずは、過酷なツアーにも絶えられるツアーケース入りの
クロトロン(仮)。
![](images/V-tron/400T.JPG)
このように、ツアーケースに入れたままフロント面だけ
パカって
はずせる便利な特注ケース入りです。
まるで。
知る人ぞ知るNovatron T550というツアーケース入り仕様のようです。
先のソフトケースとは対照的でありながら、
これはこれでメロトロン・マニアの心をくすぐるデザインです。
ケースから出すの面倒だな〜。レコーディングとかは誰も見てないし、
出さずに弾けたらラクだな〜。
などというオーナー様の省エネ主義(笑)など、
ナンビトもイメージしてはなりませぬっ。
そして、いざ目の前にシロクロトロンが揃い踏みトナルト、
ひな壇が置かれたMark IIの姿とはまた異なるオモムキがあります。
じーん。。。
オーナーにちなんで、V並べ。
じーん。。。
メロトロンが2台。となれば、誰もが思いつくのはキングクリムゾンです。
そしたらこんな写真が見つかりました。
![](images/V-tron/King%20Crimson.jpg)
なんと、シロクロトロンです。くそー、先にやられた〜。
ホンの40年くらい遅かったか。(笑)
よく見ると、メロトロンの上に、今では超レアなピアネットN型が、
これもシロクロに塗られて置いてあります。
ギターとベースもシロクロ。衣装もシロクロ。
お前がクロなら俺はシロ。と、靴の色までシロクロという徹底ぶりです。
つまりシロクロトロン(仮)さえあれば、
クリムゾンにだってなれるのです。
しかもピアネットは、T型とN型を一台ずつ、厚見さんが所有しています。
ピアネットT型は元々黒なので、ピアネットN型をシロに塗りさえすれば!
って提案したんですが。。。
「ステージ上をパンダみたいにするつもりはない。(笑)」
と、あっさり却下。
がっくし。(T T)
と。取材中に更なる大発見!!!!
この、奇跡的とも言える最高のコンディションを誇る
シロクロトロン(仮)。
ぬわんと。
シリアル番号が2番違いの姉妹だったのです!
![](images/V-tron/STREETLY%20ELEC.%20LTD.%20M1846.JPG)
![](images/V-tron/M1846.JPG)
M1844 と M1846
![](images/V-tron/M1846%20&%20M1844%20Panel.JPG)
この金属板は動作中にテープ自体が飛び出して
グチャグチャにならないように押さえる為のアルミカバー板。
このトーリ。
奇跡は次から次へと起こるのです。
今すぐ。
皆さんの家のメロトロンのシリアル番号をチェックしてみてください。
もしもそれが、シリアルナンバー“M1845”であったなら。。。是非。
このメロトロン・マニアックまで
御連絡ください。
![](images/V-tron/DSCN4510.jpg)
written by Eiji Farner
≪取材後書≫
白いノバトロンがシリアルナンバー近い理由が判明!
厚見玲衣氏が日本で最初に黒ノバトロンを個人輸入して、
その後、
そのルートを使ってレオミュージックが正式輸入した
数台のうちの一台がこの白いノヴァトロンだったそう。
で。それを川嶋バナナ氏がレオから新品で買って、
後にそれを厚見氏友人のTakahashiさんが買って、
それを厚見氏が借りたら良かったので買い取った。
との事。
テコトは。。。
あるな、日本に。
M1845 ! (≧▽≦)
メロトロン・マニアック。
めくるめく禁断の宮殿へ、ようこそ。
出口はこちら
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