Written by Eiji Farner
こちらの部屋では、世界屈指のティム・ボガート研究家 鳴瀬喜博教授の“秘宝”を特別展示しています。
先ずは、こちらを御覧ください。
一見すると古びたスクラップブックのように見えてしまいますが、これは鳴瀬教授が40年の歳月を賭して収集してきた「ティム・ボガートに関する世界的にも類を見ない貴重な学術文献の数々をファイリングした資料集」です。
この、「ティム・ボガートに関する世界的にも類を見ない貴重な学術文献の数々をファイリングした資料集」には、'70年代から21世紀の現代まで常に日本のベース界の第一線で活躍し続けてきた鳴瀬教授だからこそ収集成し得た素晴らしい“お宝”の数々が収められています。
ちなみに、一緒に写っている赤いファイルは筆者が幼少の頃から収集してきた資料集なのですが、先日、都内某所(デニーズともいう)で行われた第一回・学術情報交換会(通称:ティム・ボガート・サミット)において、自慢気にこのファイルを持参した筆者は、鳴瀬教授の持参した驚愕の資料を前に裸足で逃げ出すしかできませんでした。
だって、ファイルの表紙にダ円のシールが貼ってあって、そこに「Tim Bogert」って書いてあるんですよ!
無地のチンケなスクラップブックを持参してしまった筆者とは、“愛情の重さ”が、それこそ同じ E でもギターの6弦とベースの4弦くらい違うのは一目瞭然です。
「こりゃトンデモないヘヴィな世界に踏み入ってしまった!」って、ここでようやく気付くワケです。
おっと逸れた。
では、早速。鳴瀬教授の古びたスクラップブックを見て行きましょう。(あ、いけね。)
ぬぁんと。
Beck, Bogert & Appice の'73年の来日公演チケット半券です。
2枚あって、武道館(東京)と、大阪厚生年金会館(大阪) の両方です。
つまり。
若き日の教授は、追っかけたのです!
そして、チケットの下に敷かれているのは、来日公演のチラシです。
このチラシを入手して、チケット発売日を心待ちにし、手に入れたチケットを握り締め、教授は公演日を待ち焦がれたハズなワケで、その間にも大阪行きの交通手段を手配したり、恐らくはこのチラシを手に入れた瞬間から、公演が終了するまでの数週間というのは、鳴瀬青年にとっては生涯忘れえぬ至福のときだったのではないでしょうか。
そのチラシを捨てられずに、このように美しいコンディションを保ったまま保管されていたのですから、サミット会場(デニーズね)が大きなどよめきに包まれたのはご理解いただけるでしょう。
そして、その光景を見て、サミット主催国(地元のデニーズともいう)首脳であるハードロック・キーボーディスト厚見玲衣が一言。
「ふたりともさ、スクラップブックに切り抜き収集しちゃってさ。
オタクだね! ふたりしておんなじことしちゃって。(笑)」
いやいやいやいや。まるで御自身は“そうではない”かのような発言ですが、「切り抜かずに、本のまま、全部保存している」のと、何が違うんでしょう!?(笑)
あ。また逸れた・・・。
次のページを見てみましょう。
でたっ!
サイン入り写真!
ずっと大切に保管していた雑誌の切り抜き写真に、サインをもらっているトコが、マニアの魂を強烈に揺さぶります。鳴瀬教授が、遂に、ティム・ボガート御本人にお会いできたときにいただいたサインだそうです。
今回の取材のために恐る恐るお預かりしたのですが、この素晴らしい世界遺産の放つ圧倒的なオーラに、白い手袋をした手の震えが止まりませんでした。日本武道館と大阪厚生年金会館のステージ上で暴れるティム・ボガートに魅せられ、やがて日本ベース界の頂点まで登り詰めた鳴瀬喜博氏が、「あのぉ、さささ、サインくださいっ」って。
もう、この写真一枚だけで、この “TIM BOGERT MANIAC” っていうサイトが成り立ってしまうくらい、これは何十年もの時空を飛び越えて鳴瀬さんとティム氏を繋いだ“奇蹟”の切り抜きです。
もういちど見てみましょう。
じーん・・・。
で。サインをもらったということは、お会いしたということで、お二人は音楽家同士ですから、「互いの作品を交換しあって、連絡先を交換したんだよ。」とのこと。
それが、コレ。
名刺です。
な・ん・と! ティム・ボガートの名刺。
ここに電話すれば、ティムが出るんです!
訪ねて行けば、ティムが居るんです!
ティムと言っても、ヴァニラファッジ、カクタス、BBA で、凄まじいベースを弾いていた、あのティム・ボガートです。
そんじょそこらのティムとはワケが違う!
いーなー。鳴瀬教授・・・。
他にも教授の古びたスクラップブック(あ、いけね。)には、この40年間に雑誌に載ったティム・ボガートに関する記事がカタッパシから保管されています。
一冊にまとめられているということは、すでにお気付きの方もいるでしょうが、ツェッペリンやジェフ・ベック、ジミヘンや鳴瀬喜博氏を扱った雑誌記事と比較すれば、「へ?全部ひっくるめて、コレしか無いの?」っていうくらい、ティム・ボガートの記事って少ないのです。
だからこそ、丁寧に探し、見つけたら小さな記事でも保存しておく。インターネットが無かった時代には、それしか謎だらけのティム・ボガート・スタイルを解き明かすことも、ティム氏の近況を伺い知ることも出来なかったからです。
インターネットで情報がいくらでも豊富に手に入る時代となった今、まさか、こうして。秘蔵の古びたスクラップブック(もういいや)を、そのインターネット上で“自慢”できる未来が訪れるなんて!
どうです。この教授の満面のドヤ顔。(笑)
コレを読んでくださっている全てのハードロックベース・ファンは、みんな幸せな気持ちになりますよね!
1/2.5世紀もの時空を超えたティムへの敬意と愛情に溢れた鳴瀬教授の“お宝”は、まだまだこれだけではありません。これからも資料室(押入れともいう)から随時発掘され続けますので、お楽しみにっ!
Written by Eiji Farner
余談ですが。一般的に、あるカテゴリーにやたら詳しい人を「○○博士」と呼びますが、博士っていうのは、学校教育法第67条、第68条の2においては、「大学院を修了した者に授与される学位」のことで、ここで言うとティム・ボガート大学院さえ修了すれば誰でも手に入るワケです。
ほいで、「教授」っていうのは、「高等教育を行う教育施設において最上位の教員の階級のこと」でして、つまり高等なる日本ロックベース界でティム・ボガート・スタイルを伝承し続けている鳴瀬喜博氏は「教授」なのです。爆音で現役実践している者だけに与えられるのが「教授(Professor)」の称号なワケです。
それに「博士」だと、文字ヅラが「鳴瀬喜博博士」になってしまって「よし はかはかせ」とか「よしひろひろし」とか読まれそうだし、鳴瀬博士って書くと名前を間違えているかのようでもあるので、こりゃ読みにくいなっていう理由で「教授」と称したワケでは、ももももちろんありません。
だって、もしも福岡県博多市でライヴをされる場合、鳴瀬喜博博士博多口演なるタイトルになってしまい、これじゃ「博」が多すぎるし、といって「博」の文字を無視して読むと演奏よりも面白いMCばっかりな印象になってしまうでしょ。
あ。口演じゃなくて公演か!
てか。ぜんぜんティム・ボガートに関係ないな・・・。(笑)