2011年07月31日 南林間 Hideaway

演奏風景深夜に及んだ前日の打ち上げの疲れから、「おにょろべっちょろ」を朝から連発する鳴瀬喜博氏(この時点ではTIMチョにあらず)でしたが、ライヴが始まりTIMチョと化した瞬間から、この日も凄まじきティム・ボガート・スタイルを炸裂させ、その無尽蔵とも思えるパワーにはFUZZ 炸裂のベースソロ以上に人々を惹きつけ圧倒する強烈なモノがありました。

ちなみに「おにょろべっちょろ」とは、鳴瀬喜博氏が疲れたときに言う「ナルチョ語」でして、これを読んでくださっている方は明日から、疲れたときには「おにょろべっちょろ」と言うようにしてください。

言霊の持つパワーは、ヘトヘトになっても強烈なパフォーマンスを繰り広げるTIMチョ氏のように、貴方に不思議なパワーを蘇らせてくれるでしょう。宗教っぽいな。(笑) あ、そもそもティム・ボガート教か。

演奏風景この日の会場となった南林間アリーナこと HIDEAWAY は、アリーナ・コンサートとしてはこれまでで最も狭い会場だったのですが、前夜の噂を聞きつけ日本中から集結したハードロック・ファンによって超満員となりました。客席(半数は立ち見)の中には前夜、爆音ベースを浴びた顔の腫れがまだ引いてないリピーターもたくさんいらしており、「こんな凄いバンド、もう一公演も見逃したくない!」という会話は店内じゅうに、じゃなかった、アリーナじゅうに聞こえていました。

何人かのお客さんが、「なぜ南林間なんですか?」と尋ねてきたのですが、その答えは会場を訪れ爆音に身を委ねた全員がすぐに理解されたと思います。

来られなかった方のために説明しますと。あきらかに店の(←もういいや)のキャパを越えた爆音での演奏は、防音になっていない普通のガラスの自動ドアを貫き、店の外までダダ漏れだったんですね。どのくらい漏れているかというと、リハーサル中に携帯電話がかかってきたので、会話するために店から外へ出たのですが、外へ出てもまったく会話が聞こえない。(笑)

っていうか、店は駅前ロータリーに面しているんですが、そのロータリーでは、会話ができないのです!

「こ、こ、これは、やばいでしょ!」

演奏風景もう、店の目の前にある駅前交番のお巡りさんと絶対に目が合わないようにしながら店に逃げ込んだのですが・・・あれ?

苦情が来ない。何時間経っても、更に音量を上げても・・・苦情が来ないのです。もう、駅前ロータリーどころか、街中から苦情が来てもおかしくない状況なのに・・・って!

ハタと。ようやく気が付いたのです。

この街は、全員がハードロックが好きなんだ!ということを。

ティム・ボガートが世界に示したハードロック・ベースを継承したTIMチョさんが、ツアー最終日になぜ南林間の地を選んだのか?! この街は、街全体がティム・ボガート愛に溢れているからだったのです。

これを読んでくださっていて、まだ聖地・南林間を訪れたことのないハードロック・ファンの方は、どうぞ巡礼に訪れてください。そして駅前ロータリーの角を入った酒屋で、清酒を一杯召してください。酒屋の店頭に置かれたヴィンテージのラジカセから流れるサウンドに酔いしれれば、きっとこう思うハズです。ロック史に語り継がれる「フィルモアの奇蹟」を生んだのがフィルモア・イーストならば、ここはまさに南フィルモアだ。と。

あれ? ライブのレビューになってないな。(笑)

演奏風景ツアー最終公演でもあったこの日のライヴもまたもや凄まじい迫力に溢れておりました。中でも特に感動的だったシーンは、Tonight I'll Be Staying Here With You で北島さんが奏でたギターソロでした。それはまるでジェフベックのようでもあり、しかしベックファンの誰も聞いたことがない、北島健二氏オリジナルのアドリブソロだったのです。完璧に起承転結が構築されていながら、ボクは初めて聞くそのギターソロに驚きを隠せませんでした。

ギターソロとかアドリブというのは、あたりまえですが音楽理論に基づいて、曲の伴奏に合ったメロディを構築するのですが、この日の北島さんのソロは、その典型的なロックスタイルギター(ペンタトニック・スケール)と、音楽理論からハミ出すギリギリの不可思議な音を交互にくり出し、「あー、危ない!」と思わせた次の瞬間、王道のメロディに戻り 「うわ、カッコイイ!」と思わせ、また次の瞬間に、「えっえっえっ?」って思わせ、また王道メロディに戻すという、スリルと驚き、じらしと安心、何よりもグイグイと引き込んまれてしまう求心力に満ちたギターソロだったのです。

こ、こ、このギターソロは・・・ジェフベックより凄い!

ジェフベックを敬愛するボクが、正直にそう思いました。

「北島さんっ!あのソロは、ペンタトニックは分かったんですが、あとの半分はどうやっていたのですか?」
「へ? 憶えてないなー。なんとなく、自分らしく弾けたとは思っていたけどね。」
「自分らしくって、まるでジェフベックがまだ弾いたことがないジェフベックのアドリブみたいでした!」
「ほいじゃ録音しとけばよかったな。」って!!!!

アリーナ席最後列からのリハーサル風景

このツアーで体験したTIMチョ&宴ROCKS のライヴの毎回ごとに、このバンドは必ず凄い景色を見せてくれました。これこそが、TIMチョさんの提唱するティム・ボガート・スタイルなんだと、少しだけ分かったようでもあったのですが、ツアー最終日にして、それがまだまだ奥深い世界のホンの一端であるということを北島さんに教えていただけました。

メンバーの皆さん、「おにょろべっちょろ」 お疲れ様でした。素晴らしいハードロック・ベースの世界を体験させてくださって、大感謝しています!

Written by Eiji Farner

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