1971年の E Pluribus Funk レコーディング&ツアーのみで使用したのが、
Gibson Les Paul Custom です。
このギターを改造し、ステージに登場したMARK FARNER仕様は、
こうなっています!
SG Custom MARK FARNER's MOD
アルバムではほぼ全編、リアPUサウンドで、
それまでのトレードマークであったMESSENGER のフロントPUサウンドから、
大変身したトレブリーな音色に、恐らく当時のファンは
ドギモを抜かれた事でしょう。
デビュー時からのトレードマークであった MESSENGER から、
突然このギターに持ち替えた理由は後のインタビューで語られています。
ぬわんと、'71年春〜夏にかけての全米ツアー終了後の追加日程となった、
日本公演が MESSENGER 引退のキッカケだったのでした。
あの、伝説となった嵐の後楽園&大阪球場公演です。
期待で破裂しそうなファンの声援の応える為に大雨の中、
臆する事なくMESSENGERをかき鳴らした代償が、
大切なメインギターの寿命を奪ってしまったのでした。
金属ネック、紙テープでのFホールマスキング、ハンドペインティング、
そういうギターを大雨の中で使ったワケですから。
1971.7.17 Live at Japan. "Korakuen baseball stadium"
MESSENGER guitar
in the heavy storm
僕自身の所有するMESSENGERを、どう眺めても
到底雨ざらしに耐えられるようなギターとは思えませんし、
そんなド根性ありません。
伝説となった「嵐の後楽園球場」ライヴは、MARK FARNERのファンに対する
強烈且つ実直な想いが成しえた奇蹟だったワケです。
デビュー以来、2年間。ライヴもレコーディングもこれ1本を愛用し続け、
酷使され続けてきたギターです。
この時も来日直前のShea StudiumコンサートではノーマルだったリアPUが、
後楽園ではGibson UPに交換されていました。
MARK尊師はMESSENGERのフロントPUしか使わないのですが、
そのフロントPUに問題が発生した為に、リアPUを移植したものと推察されます。
移植後のリアPU部分が“空き地”になってしまうので、
ダミーとしてのGibson PUが取り付けられたのはこの時と推察されます。
ツアー中であった為に、恐らくMARK尊師自身の手で無理矢理穴をコジ開けて、
Gibson PUを取り付けたように見えます。
(詳しくは
MESSENGER ページ参照 )
http://grandfunk-maniac.org/mark/Mark_MOD.htm
推測ですが、BEAT UP のやり過ぎ&雨ざらしにより、
’71年秋〜のツアー中にMESSENGER が不調となり、
SG Customに換えたのではなかろうか。と。
E Pluribus Funk ツアー中の写真で、MESSENGERを使っている写真があります。
伸びたクチ髭と赤い衣装が後楽園以前との見分けポイントです。
なので、深刻な事件はツアー中に起きたのでしょう。
で。SGです。
後のインタビューでハンブルパイのSteve Marriottから購入したと語られています。
1971年秋のツアーでGFRのオープニングアクトがハンブルパイだったので、
ツアー中に譲り受けたのでしょう。
Steve Marriottが白い SG Customを弾いている写真は見つからないのですが、
当時のメンバーだったPeter Framptonが使っている画像がありました。
この SG Customが、Steve Marriottを経由してMARK尊師に売られたワケです。
恐らくは、Peter Frampton もSteve Marriottから借りていたのでしょう。
テイルピース部分がシルバーですが、カバーはゴールドで、
既にアームは外されています。
ネック付け根のピックガードもボディのピックガードもありません。
誰も使っていないMESSENGERですら、
ペンキでミドリ色に塗ったアウトサイダーMARK尊師が、
一緒にツアーしているハンブルパイが使ってたギターを、
ある日、突然使い出すんですから、そのまま使うとは思えませんので、
PickUpカバーを外してツマミを白に交換して、イメージチェンジをした。
といのが、私の推測(妄想)です。
さすがに人生初となるGibson をペンキでミドリにっていうのは
チュウチョがあったのかな。(笑)
2002年末に発売されたサバイバルのデジタルリマスター盤に収録されている
ボーナストラックのFootstonpin' Music を聴くと、当初のレコーディングが
いつもの MESSENGERで着手されていた様子が確認できます。
MARK尊師のプレイ中、最もテクニカルと言われる I Come Tamblin' を聴けば、
MESSENGER とは次元の違う弾きやすさのギターを入手して、
全て録り直したのも理解できます。
で。この SG Custom。
おそらくマネージャーのテリーナイトとの裁判で差し押さえられてしまい、
次のアルバム Phoenix ではすでに手元に残ってなかったようです。
その時期に幾多のエンドース誘いが有ったそうで、
その中からアウトサイダーMARK尊師は、
これまた誰も使っていない
Micro-Frets に行くワケです。
http://grandfunk-maniac.org/mark/MicroFrets.htm
ちなみに白い
SG Custom を抱いたMARK尊師の写真は、ほとんど存在しません。
従って、このギターをMARKが使っていたこと自体、あまり知られていません。
裁判の一件で、当時の機材だけでなく、この時期のPhotoも全て
テリーナイトによってお蔵入り&差し押さえとなってしまったのでしょう。
ボクが最初にSG Custom らしき白いギターを使っている事に気づいたのは、
オフィシャルで世に出たこのアルバムの付録ポスターでした。
この部分ね。
ドンも 「あー!」って叫んでますけど、ボクも叫びました。
白いSG?
で、下の写真は、この白いギターがSGであると確信を持つに至った
貴重な一枚で Thailand で発売された GFRのEP盤です。
インターネット時代になると、オフィシャルではないオーディエンス撮影写真など
いくつか出廻り始め、2004年にテリーナイトが亡くなった後は、
プロカメラマンが撮ったと思われる未公開写真が見られるようになりました。
実はそれまで、このSG Custom のPUレイアウトがどうなっているのか、
謎だったのです。
分かっていたのは、上の
Thailand EP盤で、
少なくともフロントPUの金属カバーが外れていることと、
ポスター写真からテールピースがサイドウェイバイブローラであること。
で、先ずは Sideways Vibrola です。
カバーを外すと、中はこうなってます。
ボディへの取り付けはネジ3本。
このSideways Vibrola。
見ての通りオカシナ位置にベアリング支点が2ヶ所ありまして、
つまりアームの動く方向が根本的にオカシイのです。
たぶん誰も使いこなすことが出来ないと思います。
てゆーか、このアーム。ツマミやSWを操作するのに、むしろすごい邪魔。(笑)
なので、MARK尊師も上の写真のようにアームを取り去ってしまったのでしょう。
で、残されたズシリと重たい構造部分が、
史上最重量級の、ブランコ形テールピースとなるワケですが、
このヘヴィウェイトなブランコ形テールピースが。。。実は。
バツグンの鳴りになるのです!
なんで、こんな設計ミスみたいなアームユニットをGibsonが採用したのか。
って、ずーっと思っていたのですが、
ボディ厚の薄い構造のSGシェイプだからこそ、このSideways Vibrolaでなければ、
ブ厚い先代モデル(Les Paul)と同等の鳴りにならなかったのでしょう。
つ・ま・り、
Sideways Vibrolaは、装着したギターの鳴りがものすごく良くなる、
魔法のテールピースなのです!
で。
この超レアな、魔法のテールピースが手に入ったので、
先ずはレプリカのSG Custom を製作しました。
このページの冒頭の写真は、実はそのレプリカです。
さすがに本物のGibsonは高価すぎて、手が出せなかったのです。(^^;;
PickUpのレイアウトが最期まで謎でしたので、2005年時点で集まった資料で
『これがMARK仕様のハズだぁー!』 と、
イチカバチカの大改造を施したのがコレ。
がっ、遂に!この本を発掘して!!!
ぬわんと、センターPUが無いっ!
で、このように!
ちなみに、センターPUを外すと、空いたキャビティに弦の振動が響いて、
まるでアコースティックギターのように、生音の音量が大きくなります。
これにはビックリ。
そこに気付いて、あえてこの仕様にされたのでしょう。
さすがMARK尊師です。
更に、印象的な白いツマミは、この写真で確信に至り、
で、このように!(≧▽≦)
ちなみにこのツマミだけ、
テリーナイトに差し押さえられる前に回収できたようで、
今現在、ぬわんと
MESSENGER に取り付けられています!
カクシテ。白いSGの存在に気づいて研究し続けることウン十年、
2015年にようやく完成したMARK's MOD SG Custom。
こうなると。。。
本物のGibson の、SG Customのボディだけって、
安く手に入らないかなぁ〜って、
そんなのあるワケないのに毎日妄想していたら、、、じゃーん!
格安ボディ。しかも嬉しいことに白!
まるで希望を叶えてくれるが如くストップテイルピースのスタッド穴も無い!('∀`)
Gibson の、SG Custom のボディだけって、
実はこっそり15年以上、検索し続けて初めて見つけたのです。
というコトは、MESSENGER や WEST より見つからなかった。という。(笑)
で、レプリカの部品をこのように載せ換えて。
遂に本物のの、MARK's MOD SG Custom が完成です。
出来上がったギターは、ご覧の通り
Gibson 社の最高級品としての面影はなくなり、
えらいチープな印象となってしまいましたが、
これを称して WILD と言うんだな。
などと、ひとり悦に入っております。
これまで研究に身を投じてくれたあげく裸にされてしまったレプリカ君も、
家中から余っていたパーツをかき集めて組立直して復活させました。
こうして並べてみると、MARK's MOD SG Custom が
いかに個性的であるかがよく解ります。
Magic Markie マークファーナーの手にかかれば、
最もポピュラーな
Gibson SG までもが、
唯一無二、誰にも似ていないギターになるのです。
そのユニークなサウンドは、史上最高の名作アルバム、
E Pluribus Funk で御堪能ください。
≪ 謝辞 ≫
今から10年くらい前、まだMARK尊師の使っていた白いSG情報が全く無く、
チラっと写っている写真でさえも、とても珍しく入手困難だった時代に、
多くの情報を提供してくれた友人のおかげでこの場所に辿り着くことがました。
Great Thanks! Mr,Hiropee Oshima