いつの日か。もしもまたメッセンジャーに出会えたら、大好きなマーク・ファーナーと
同じペイントをほどこした仕様の“ 究極のMARKモデル ”を製作したいな。
というのが、このサイトを立ち上げた時からの夢でした。
そして出会いは突然訪れました。ご覧ください。

これが です。

これは厳密には 「 嵐の後楽園仕様 」 となります。
リアピックアップがGibsonに交換された仕様は、恐らく後楽園で初披露されたのですが、ナントその初披露の後楽園で暴風雨にさらされ「再起不能=即引退」という不運に見舞われました。翌日の大阪球場(この日も雨)と、日本からの帰路のハワイ大学公演で酷使され、恐らくトドメを刺してしまったのではないでしょうか。
多くのBootleg映像で見るメッセンジャーは、ピックアップが交換されておりません。グローバーペグも最も初期には標準装備の古い四角いツマミのいわゆるオールドグローバーが付いています。(2ndアルバムのジャケットで有名なヒザまづいてノケ反っているアノ写真とかは、小さいオールドグローバーです。) つまりビデオの動く画像でGibsonピックアップの付いたメッセンジャーの映像は今のところ発掘されてないワケです。
ところが。書籍や写真などの“印刷物”となると、圧倒的に「後楽園」 と 「ハワイ大学」の写真ばっかり。なんです。まだ太陽が沈んでいない明るさの野外コンサートで、黄色っぽいテント地の屋根の下でメッセンジャーを弾いている写真の多い事、多い事。いろいろな角度からのいろいろな写真が大量に露出しています。よく見ると後楽園でもはいていた白っぽいサイケな柄のパンツを召していらっしゃるので、後楽園〜大阪〜ハワイ大学と連日のハードスケジュールで、たぶん濡れたパンツは乾いてないだろうし、メッセンジャーの紙テープも濡れたまま。っていう風情に見てとれます。(いきなり話しが逸れました)
つまり、圧倒的に露出していて、世間様に知られているMARK仕様=後楽園仕様なワケです。

なので、悩みに悩んだ結果、このギターの仕様は決定致しました。

後楽園の写真は残念ながら、ほぼ全てのカメラマンさんが望遠で撮っているので、荒い画質のものが多いのですが、ハワイ大学はステージ袖や最前列かぶりつきの鮮明な写真が多いので今回の「大改造計画」も、それらの写真なしには完遂できなかったでしょう。
25年以上集めてきた切抜きや古本コレクションが、ここに開花したワケです!

ここで、先ず謝辞です。
下に掲載した2枚の写真は、現在のMARK御本人のメッセンジャーの写真です。
世界で唯一、MARK FARNERのギターコレクションを取材され、我々ファンにその全容を紹介してくださったアメリカの強烈なGFRファンのランディさんへのメッセージです。(面識はないのですが、この方もMARK御使用のギターコレクションを所有されていて、80年代末の不毛の時代にも脈々と活動されていた伝説のGFRコレクター、大々々先輩です。)

Hello, Mr. Randy!
If there was not your coverage article, I was not able to achieve this.
I watched collection of you ten years ago, and I followed you.
I thank you heartily, and I respect you.
Please contact me if you watched this.
Thank you very much.

    
Photo:Vintage Guitar Magazine


 

お 品 書 き
 

- それでは各部の解説です。 -

ヘッド

これが完成した The“Real” Mark Farner MOD のヘッドです。

ペグポストからはみ出した余った弦のヨレ具合まで、Randy氏が取材した時の状態と同じになっています。
恐らく、今現在もオハイオ州クリーヴランドにあるロックンロール・ホール・オブ・フェイムに、このままの状態で展示されている事でしょう。
参考にしたMARK御本人のメッセンジャーのヘッド写真と比較してご覧ください。
追加された1&2弦の丸いストリングガイドは、弦が外れないようにヘリが曲げてあるワッシャです。やたらでっかいマイナスネジで固定されているのが特徴です。
Fender用の丸いストリングガイドが市販されていますが、これはヘリを曲げようとするとポキリと欠けちゃいます(ました)。考えてみたら60年代に手に入るワケがなく、ワッシャを曲げたのでしょう。で、今回はガンバってワッシャを曲げました。

弦巻きはグローバーに交換します。

  

ヘッド角度が浅く、薄すぎるヘッド厚に対してグローバーのペグポストが長い為、もともと1弦と6弦のペグ本体の下にはスペーサー(座布団)が敷いてあります。今回はガンバって座布団も製作しまして、その上にグローバーを取り付けています。

それでもまだペグポストが高いので、このストリングガイドが無いと、1弦はナットの上空を通過してしまいます。
同様に6弦も、たくさん巻きつけなければ通過してしまうワケです。
つまり弦の交換は、その事を知っているスタッフもしくは御本人が行っていたハズ。と推測できます。

標準装備のオールドグローバーはペグポストが短いのでストリングガイドが不要なんですね。なのでMUSICRAFT社としては、このオールドグローバー=ミニタイプ でなければならなかったのでしょう。

で、そうとは知らずに「最近チューニングが甘くなってきたんで交換すっか。」と、新しいグローバーを買ってきたら、弦がナット上空を通過して、恐らくショックをお受けになられた。と。
新グローバーはポストが太いのでペグ穴を広げなければ取り付かない。広げちゃた事より、アルミなので「削る大変さ」の方がウンザリで、意地でもなんとかしよう。そうだ!ストリングガイド付けりゃいーじゃん。6弦はいっぱい巻きつけりゃいーじゃん。と。

で、たぶん。

その後、更なるショックに見舞われたのではないか。と容易に想像できるのです。
なぜならヘッドの厚さ(約 1センチ)の裏側半分はアルミなので、表面からストリングガイドのネジを締めていったら、木でできた表板の厚さはたったの5ミリ。で、ネジはアルミに当たって行き止まり。ばかネジにしちゃって、仕方ないんでやたらでっかいマイナスネジの長さをグラインダーでチョン切って、なんとかストリングガイド取り付けに成功した。と。もう意地で。

この推測。私の1本目の体験です。既にsohn氏の2本を含め、この改造を行うのは4度目ですが、毎回 「ちっきしょー!」 と成ります。ので、たぶん。御本人もそうだったハズですよ。
で、やたらでっかいネジなんだろうなぁ。と。 5ミリしかないからなぁ。。。。悔しいんだよなぁ。想定外が起こると。


ページの先頭へ▲

塗 装

もしもMARK師匠がGibsonやFenderを御使用になっていたならば、今頃、リアルレプリカ・モデルがこれらの大メーカーCustom Shopで製作されていても不思議ではありません。なによりもこの日本で、ショップオリジナルのような形でレプリカモデルが真っ先に発売されているでしょう。
しかし、メッセンジャーがあまりにも資料の少ないギターゆえに、「何見て作りゃいーんだ?」「果たしてMARK FARNER のメッセンジャーってどうなってたんだ?」っていうんで、考えてみたら誰にも作れないんですね。
で、ならば。たぶん世界に一人くらい“バカな挑戦者”が居てもいーかな。と思いまして、ここに至りました。
幸運な事に、私には20年以上かけて収集してきたコレクション(参考写真や資料)が有りますし、メッセンジャーをいじるのも4回目。ああ。私がやらねば誰がヤル!?誰かがやらねばっ!などと、もう恍惚状態に陥りまして。(←バカです)
もしかしたら、私の暴走行為が道しるべとなり、後に続いてくださる“暴走機関士”が登場するかもしれない。
ここに掲載した私のメッセンジャーを見本にすれば、「MARK仕様の謎」は解明され、もしかしたらどこかの誰かが2台め、3台めを製作し、もしかしたらどこかメーカーがMARK FARNER氏と提携して復刻モデルを、もしかしたらどこかのお金持ちがMUSICRAFT社を再興して再びメッセンジャーを世に送り出してくれるかもしれないっ!(←バカです)

でも、そんな夢を本気で考えてまして、できるだけ詳しく。
見えないトコまで正確に。作り上げたのが、この The Mark MOD メッセンジャーです。

そして作業開始です。ベース(犠牲?昇華?)となるのは、赤茶色です。
パーツを外して裸にするとこうなります。

 

先ずはマスキング。の前に、MARKがその強烈なストロークで塗装を削り取ったヒジ部分から見える「下地のサンバースト」を再現しておきます。全部やるのは手間なんでヒジ部分だけです。
更に。リアピックアップをGibsonに交換する際の手順が、MARK師匠の場合、オリジナル・ピックアップを載せたまま塗装して、その後約2年御愛用されて、来日直前にだいぶズレた位置にGibsonを取り付けた。という流れですので、Gibsonのワキからオリジナル・リアピックアップを外した跡(下地の栗色)が少し見えるんですね。
で、その部分もリアルに再現する為に、リアピックアップ部分を栗色に塗っておきます。

 

で。マスキング。
写真ではFホールをマスキングしていますが、これは誤り。MARK師匠はおかまいなしにFホールのバインディングも塗りつぶしています。私はFホール内のシリアル番号が書いてある丸いステッカーがペンキで潰れるのを恐れてこのようにマスキングしたのですが、考えてみたら最終的にFホールはテープでふざさがれてしまいますので、もう丸いステッカーは拝めないんですね。(写真に残しておけばよかった。) マヌケです。

ボディ周囲のバインディングもマスキングしていますが、これも誤り。これも塗りつぶすのが正解です。デビュー当時に出演されたPLAYBOYというTV番組ではバインディングが塗りつぶされた「塗りたて」のメッセンジャーがドアップで拝めます。後のライヴ写真はボロボロのバインディングが白く見えますので、ハゲちゃったのか、そのほうがカッコイイと思われてガリガリ剥がされたのか。私は後者だと思っています。全周、一応まんべんなく剥げていますので。で、私のマスキングはボロボロに貼り付けてあります。後で剥ぐ手間を省略しようと。不精者なので。。。正しい手順は塗りつぶしてから剥ぐ。です。

さて、そんな不精者&マヌケな私が、ここだけは緻密に、正確に、完璧に、作業したのが、先に述べたヒジ部分のハゲ。と、FUZZスイッチ周辺のハゲ。です。

塗装後に剥ぐのはあまりにも困難ですので、このようにあらかじめマスキングしました。
もう日本地図を書いてカッターで切り抜いて、周囲の島々や、湾や半島の形状まで正確に。っていうくらいの再現具合です。

「MARKのメッセンジャーのハゲはこうだ。」って言える出来です。
仕上がりが楽しみ。(←この時点ではけっこう楽観的です)

で、

先ずは黒。そしてアズキ色に塗装します。

意外と中央部がアズキ色だという事が知られていませんが、アズキ色なんです。

紫と茶色の中間。

おしるこの色。

どうして全部黒を塗るか。というと、緑色のペンキが薄い部分が何箇所かありまして、薄く塗られている所は“暗い”んですね。影のように。で。下地は黒です。(オリジナル・サンバーストの黒部分が透けているのかな?とも考えましたが、全体的に影があるので、全体的に塗らなければそうならないんです。)
あんまり自信の無い仮説なのですが、もしかしたら当初の計画では、この「黒〜アズキ色」のサンバーストにしようか。と、お考えになられたのカモしれませんよ。ちょっとカッコイイです。地味なんで却下して緑を塗った。とか。
で。ついでにボディサイドも全周、黒塗りです。これはオリジナルサンバーストが周囲は黒ですので当然です。ここで先のバインディング部のボロボロマスキングが生きてきます。
ボディサイドの鮮明な写真が無いのですが、特長的なハゲが2箇所あります。ピックアップセレクタースイッチのすぐ下と、やはりヒジ部分です。この2箇所は木目地が出ていますので塗装が剥げたのではなく、ボディサイドの化粧板がカケたのでしょう。
メッセンジャーのボディサイドは合板なんですね。割れやすいし、カケやすいんです。
で、この2箇所はオリジナル赤茶色が露出して木目のイメージになるように、最初からマスキングしてあったワケです。
余談ですが、先日のグリーンのメッセンジャーを久々に布で拭いていたら、ボディサイドのササクレ(←合板なんでササクレが出るんです!)に、布が引っ掛かり、バリバリっと表面の化粧板を数センチハギ取ってしまいました。恐ろしいギターです。むやみに磨いてはなりませぬ。(破片回収できたので木工ボンドで簡単に修復しましたが、恐らくMARK師匠は破片が回収できなかったのでしょう。私の場合も、“粉”になってしまった1センチほどは再生できずカケたままです。)

で。

いよいよ緑色に塗装です。
MEL's ブループレベの時も悩んだのが、「ステージ照明が当たっている色と、塗装色は異なる」という点です。ビデオで見たブループレベはもっと紫色っぽいイメージに思っていたのが、いろいろな写真で検証すると「青」なんですね。ステージ照明が「赤い」んですね。 で、問題の「緑色」。
ダークグリーンの印象なのですが、最終的には先のTV番組のドアップ。で判断しました。

塗りたての緑色。のちに日本で暴風雨にさらされて、変色するのでしょう。

キミドリ色とのサンバースト加減が、素人の私には難しかった!!(←もう、この辺で楽観的な気分は吹っ飛んでます。やっべえ。みたいな。。。) ご覧ください。

この辺が私の限界。。。。

乾くのを待って、マスキングを剥がし、ブリッジを載せてみました。
例のヒジ部分と、FUZZスイッチ部分の出来は我ながらアッパレです。
ボロボロのバインディングもまあまあの出来です。ご覧ください。
これがMARKカラーです。(のハズ。)

 

 

〈 ボディサイドの表面化粧板がカケて剥がれたイメージ 〉


ページの先頭へ▲

ピックガード製作

ひと息ついて、塗装が乾くまで文字通り息抜きとなる別工程です。

前オーナーによって、強烈に弾き込まれたこのメッセンジャー。ピックガード表面は強烈に削り取られております。

MARK師匠のピックガードは、ここまでボロくないので、キレイなピックガードを自作で作る事にしました。

ところがメッセンジャーで使われている「5プライ」の板材料を見つけるのには困難を極めました。結局、GibsonES-335用のピックガードを入手しまして、そこからギリギリのサイズで削り出したのですが、息抜きどころかヤスリ片手にエライ手間でした。上がオリジナル。下が自作レプリカです。(ネジ穴がまだ開いてません)

ちなみにオリジナルのメッセンッジャーでは、ピックガードの下に直径10ミリのゴム足が3個接着されており、ボディトップからピックガードが約8ミリ浮いた状態にセットされています。

MARK師匠はGibsonピックアップを取り付けた際に、このゴム足をハギ取って、ボディから浮かせずにピックガードをネジ止めしています。ボディがアーチドトップですのでピックガードの下端は浮いて見えますがマチガイなくゴム足はハギ取ってます。なぜならば、Gibsonピックアップを取り付けるためにピックガードのリア部分をノコギリで削らなければならず、その作業でゴム足が一個犠牲になるんですね。
切断線上にゴム足が居座っているんです。

で、当初私はゴム足の位置を引越しさせりしたたのですが、よく見ると浮いてない。「全部取っちまえ。」が、正解です。MARK師匠のピックの握り方はグーですので、小指をピックガードに置かないんですね。なのでピックガードが浮いている必要が無いんで「この際、低い方がいいじゃん。」と、お考えになられたのではないでしょうか。「ナシ」という選択肢もあったでしょうが、Gibsonピックアップ形状に合せてピックガードを苦労して切断したワケで、トナルト意地でも付けたいでしょうし。四角い穴も隠れるし、なにより有った方がカッコイイし。


ページの先頭へ▲

血 管

塗装が乾いたトコで、次に重要な“血管”を描かなければなりません。

この“血管”の正しい位置の確認作業が今回の一番難解な部分でした。

MARKがフリーハンドで描いたものです。

しかもご存知の通りテープがベタベタと貼り付けられていて、果たしてテープの下はどうなっているのか。。。。

ここで私の「切り抜きコレクション」の出番です。あらゆる写真と画像を結集し総力をあげて検証して導き出した答え。

それがここに描き上げたの“血管”です。

塗料のにじみ具合とか再現できない部分はあるのですが、
ほぼ“完璧”である。と自信をもって言えます。

MARKのメッセンジャーの“血管”は、「こうなっています。」

これで世界中のGFRファンの方が、手持ちのメッセンジャーをMARK仕様に塗る事が容易に出来るようになったワケです。

(自負してます。アホです。)

 

 


ページの先頭へ▲

ピックアップ組み込み

いよいよパーツ組み込みです。問題はGibsonのピックアップ搭載です。
先ず特筆すべきはその取り付け位置です。レスポールなどのリアとは異なり、かなりセンター寄りに取り付けられています。さすがアウトサイダーMARK FARNERです。エスカッションを使わず、ナントボディに直付けです。
トナルト当然ピックアップの“耳”がジャマになるワケですが、恐るべしMARK FARNER。ナント四角い穴をボディトップに開けて“耳”を沈めてしまっています。そして穴はナント!銀色のガムテープでふさいであります。なんてコンビニエントな作業方法でしょう。私の推理ではおそらく後で時間が出来たらソレナリにふさごうと考えていらしたのではないかな。と。ところが御披露目となった後楽園で大量の雨水をかぶり、どう考えてもコノ穴から、雨水は内部にジャブジャブ入っちゃったハズで、この、四角い穴開けちゃえ+ガムテープでいいや。っていう師匠の野生的御判断が、愛器に引導を渡すハメになっちゃったのではないかな。と。ギターを水浸しにするシチュエーションはよもや考えていらっしゃらなかったのでしょう。で。私自身も悩むワケです。ガムテープで見えない四角い穴までフルコピーする必要はあるのか?と。答えはもちろんYes,です。
で。こうなっちゃいました。

実は手持ちのGibsonピックアップの中に80年代の“耳”が真横に出たタイプ(裏面が基盤のヤツ)が有りまして、「おー。これなら穴開けずにネジでトップに付けられて、もっとコンビニエントじゃん。」と、実は当初、ソレを付けて配線も済ませたのですが、なんかカバーのタタズマイがイマイチ違うんですね。

で、カバーだけ取り替えようと外してたら、80年代ってカバー内に両面テープが貼ってあって外れてくれないんですね。
で、チカラ技で外したら。コイルが切れてしまいました。。。つまりチャンと四角い穴を開けろ。という「お告げ」なワケです。80年代モノは、裏面が基盤なので裏面がほぼフラットで、その点もコンビニエントだったのですが、チャンとしたGibsonピックアップは“耳”だけでなく、ポールピースも裏側にかなり出っ張っているんですね。
で、トップに直付けするのに裏側のポールピース出っ張りをグラインダーで削ろうかと考えた(←MARK的発想)のですが、なぜかこのピックアップ周りに関しては「手抜き」のニオイがぷんぷんします(恐らくツアー中で道具も時間もなかったのでしょう。)ので、四角い穴も開けちゃったんだし、ポールピースを沈める穴も開けちまえ。と、6個の穴をボディトップに開けてしまいました。正確に位置合せをして、正確な穴径で開けまして。ポールピースは一度緩めて裏面をフラットにして、ボディトップにピックアップを密着させて、ポールピースを締め込んで行ったら。アラま。偶然にも丁寧に開けた6個の穴にポールピースがネジ込まれて、ボディトップにピックアップをネジ止めしたかのように、強力に取り付いてしまいました!

ナント、コンビニエントな出来事でしょう。(後で考えてみたら、ParkerFly の耳なしディマジオも、コレと同じ取り付け方法でした。)耳を四角い穴に沈めたまではよかったのですが、いったいドコにネジ止めしてるんだろう?もしやボディバックの板まで届く、ながいネジで貫通させてるのかな?などと考えつつ、ま、とりあえず付けてみりゃ、なんか方法が見えてくるだろうな(←こういうトコロは行き当たりばったりで着手しちゃう性格)とやってみたのですが、たぶんコノ取り付け方法がビンゴです。

たぶんMARK師匠も行き当たりばったりで四角い穴明けしちゃって・・・結果オーライ。だったのではなかろうか。と、ひとりほくそえんでいるワケです。ヤッパおんなじにヤラないと味わえない醍醐味があります。


ページの先頭へ▲

テープ貼り

最後の仕上げ。マスキングテープ貼りです。主に参考とした写真はコレ。

これらをルーペで見ながら、同じ位置に、同じ形状のチギりクチで、同じようにシワを真似て、徹底的にコダわって貼り付けていきます。

もう時間と根気のみ。

マスキングテープは日本で手に入る市販品の横幅だと、これと同じになりませんよ。
アメリカ規格なのでしょうか、日本のテープ幅より狭いんです。なのでテープの幅をカッターで切って狭くしてから、チギりクチを再現しなければなりません。
デビュー当時の画像では「貼りたてホヤホヤ」のキレイな状態でしたが、後楽園で濡らしてますので、参考写真ではまるでテープを貼ってから塗装したかのように見えるます。
なので、あんまり真新しいマスキングテープだとイマイチです。
私はいつか訪れるであろう「この日」のために、10年前のオールドのマスキングテープをKeepしていまして、コレが良いカンジに黄ばんでくれています。


右が風化したオールド・テープ

以前にSohn氏のサンバーストにも、この秘蔵のオールドテープを貼ってあげちゃいましたので、いよいよ今回で在庫ぎれとなります。

かなり黄ばんでいるのですが、それでも貼ってみると真新しい印象に見えますので、最後は雨水フィニッシュをしなければならないのだろうか。などと悩んでいます。

このテープ位置やチギりクチも、形状確認できる資料は少なく、先の“血管”同様に我ながらご満悦なワケです。
これもほぼ“完璧”である。と自信をもって言えます。

MARKのメッセンジャーの“テープ”は、
「こうなっています。」

 

これで世界中のGFRファンの方が、手持ちのメッセンジャーをMARK仕様にする事が容易に出来るようになったワケです。

(自負してます。期待してます。ほんとアホです。)


ページの先頭へ▲

ガムテープ貼り

こんなにも苦労して“血管”と“テープ”を再現しておきながら。ナント後楽園ではべったりと銀色のガムテープを貼ってしまっています。
トホホ。。。貼りたくないケド貼るしかないワケです。
先の四角い穴を隠したついでに、Volumeツマミの傍にピックポケットを作られたのですね。ぐっすん.。
ポケットはピック2枚分。ピックはFenderミディアムのべっ甲です。
このピックも今では手に入らないのですが、もちろん「この日」のために15年前にたくさん買い置きしておいたワケです。

  

現在ではPAEVEYのティアドロップ型べっ甲色ミディアムピックをご愛用されていますが、当時からご愛用ピックの仕様も色も一貫されていたんだなぁ。
そういえばオールドフェンダーピックに一番近いのがPEAVEYピックだなぁ。などと納得しつつ夜は更けていきます。(話がそれました。)で。銀ガムテープですが、恐ろしい事に白いカールコードをも、ガムテープで固定してしまっています。いやはや。なんちゅー事すんの。。。楽屋通用口で出番待ちのMARK師匠が片手にカールコードの束を抱えている写真にはワケがあったのですね。カールコード付きギターなんですね。メッセンジャーは。

ついでにカールコードネタですが、MARK氏は80年代末にソロ復活された時期にも白いカールコードを愛用されています。今ではVOX社をはじめ各社からいろいろ色のカールコードが発売されていますが、この時期はほとんど売られておらず入手困難だったの事が思い出されます。
89年の渋谷公会堂公演を見た後、「ワイアレスやモンスターケーブルの時代にカールコードとは。よっぽどカールコードにコダワリがあるんだな。」などとボヤきながら探し回ったものです。MARK師匠はステージ中を動き回れるように約2メートルしかないカールコードをつなぎ合せてペダルボードからの行動半径を稼いでらしています。

かく言う私も今ではすっかりカールコード派なのですが、ナニがそこまでカールコードがいいのか。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが「動き回ってて誤ってコードを踏んでもジャックから抜ける心配がない」んですね。
つまり動かないギタリストにとってはただのハイ落ちしやすくハンダがちぎれやすい時代遅れの産物なのですが、動くギタリストにはコレは便利なんです。ジミ・ヘンドリックス尊師やMARK師匠のようにワイルドなパフォーマンスを信条とするギタリストが皆カールコードなのには理由があったワケです。ちなみにジミヘンはペダル&マイクスタンドからそんなに離れませんが、MARK師匠はステージの隅々まで走り回るので、カールコードにカールコードをつなぎ合わせて延長する必要があったんでしょう。延長した先は普通のコードでいーぢゃないか。って思うんですけど、ここにも師匠のコダワリが垣間見えるワケです。(ちなみにMARK師匠は90年代にワイアレスを導入されます。)

またまた完全にガムテープから話題が逸脱しました。 で。元に戻って。銀ガムテープを貼っていて気付いたのですが、MARK師匠のメッセンジャーの場合、カールコードのプラグを差し込んであるアウトプット・ジャックの位置はFUZZスイッチの近くなんです。私のジャックはノブの近くです。
メッセンジャーにはステレオアウト仕様のモノが多数存在し、ステレオ仕様のエクストラ・ジャックは、FUZZスイッチの近くに増設されます。つまりMARK師匠のメッセンジャーはステレオ仕様だったワケです。当然ノブの近くにも使っていないジャックが開いているハズで、プラグを固定している銀ガムテープが、ノブの方までやたらなが く貼られているのにはワケがあったんですね。使っていないジャックも塞ぐためになが〜く貼ったのでしょう。ジャックの位置も変えなければならないのか。。。トナルト、やっぱりMARKのメッセンジャーのFUZZは「後付け」 の、可能性がガゼン高まるワケです。FUZZスイッチ周辺がやたらガリガリにハゲているのも、この部分を付けたり、外したり、FUZZを付けたり、ステレオ配線を外したり、いろいろイジった痕跡にも見えるワケです。(←私の推理)
ちなみにFUZZスイッチは、レスポールのピックアップセレクターと同じ物が使われていて、センターOFF、下に倒すとON、上に倒そうとすると内部にツッカエ棒がしてあって、上には倒れない。という優れた構造です。このセレクタースイッチ構造をご存知の方は、どうやってFUZZのON-OFFに使うんだ?と疑問を持たれる事でしょう。どうなっているか。というと、トンデモないアブナイ方法で“採用”しています。まあ、たしかにこれでも切り替わるわな。という。恐れ入ります。普通のフットスイッチやピンスイッチのようにA-B回路切り替えできるスイッチならば簡単なのに、ステレオアウト切り替え用には適しているこのスイッチ。たぶん、在庫がたくさんあった。とか、元々付いていたステレオアウト用スイッチを意地になって使った。とか、なにか執念のようなモノを感じずにはいられません。で、試業錯誤を繰り返したあげく、スイッチ周辺の塗装はガリガリになっちゃった。と。(またまたどんどんガムテープから話題が逸脱してますね。なんとか軌道修正せねばっ・・・)

メッセンジャーのFUZZについては、MARK師匠御自身も「FUZZは後から自分で付けたんだったけな?」と語られり、「メーカーに頼んだんだっけな?」と語られたり、記憶があやふやなご様子なのですが、本編の最後にFUZZについての新事実を記述致しましたので、全てを総合判断すると、「ステレオジャックをつぶして、MUSICRAFT社のなんらかのサポートを得てFUZZを後付けした。で、スイッチは流用した。」っていうのが、銀ガムテープが教えてくれた答え。のような気がしています。(ムリヤリ話題を戻したカンジですね。。。)
サテ、その銀ガムテープ。シワまで忠実に真似て貼りました。貼ってみたら、いつも写真で見る見慣れた風情になりまして、ヤッパ貼った方がカッコイイや。と、ご満悦です。


ページの先頭へ▲

完 成

ん?おぉ!出来てる。コレで完成です。
完成後、Ludwigドラムセットに立てかけて、しばし眺める事約30分。放心状態というか、感無量というか、ニヤケたり泣きそうになったり、そういう気持ちにさせられるオーラが、ちゃんと出ているタタズマイに大満足の出来となりました。

 

 


 

ページの先頭へ▲

MARK's メッセンジャーの生涯。

ハワイ公演で一旦終了したツアーの後、数ヵ月後に「戦争をやめよう」ツアーが始まるのですが、そこでも当初メッセンジャーを使用されていたようです。このツアーからMARK師匠はクチヒゲをタクワエられるのですが、クチヒゲでメッセンジャーを弾く写真が発掘されています。明らかに後楽園〜ハワイ大学以降の写真です。(まもなく白いSGに持ち替えられるのですが。)

1971年末頃に短い現役生活(たったの2年)を終えたメッセンジャーですが、その後はMARK師匠の手により、更なる大改造が行われております。引退してもなお御愛着があられたのでしょう。
もしかしたら現役復帰を目指されたのかもしれませんね。ビグスビーアームを取り付け、フロントもGibsonに交換し、ピックアップカバーを外したリアの位置も付け直ししてあります。コントロールツマミも2個増設され、ツマミは6個になっています。

変わり果てたお姿となったメッセンジャーは後にミシガンの博物館「地元の自慢品コーナー」に寄付された後、現在はオハイオ州クリーヴランドにあるロックンロール・ホール・オブ・フェイムに展示されているとの事です。

私は現在のメッセンジャーの情報を、ミシガン博物館展示時代にミシガンまで見に行った(!)Sohn氏から頂いた資料や当時のGFRホームページに掲載されていた画像で遂に知り得ることができたのですが、今では数年前に発刊されたMARK師匠の自伝の裏表紙で、その“お姿”を拝見することができます。

いつの日か、必ず。クリーヴランドを訪れて、メッセンジャーをこの目で見ようと決心しています。


ページの先頭へ▲

日本のメッセンジャー事情。

私がグリーンのメッセンジャーを手に入れる以前に、メッセンジャーが日本で売られていたという情報は得られませんでした。

雑誌の中古楽器広告にメッセンジャーが載ったのは私の知る限りでは私のグリーンが始めてだと思っています。(グリーンがPLAYER誌広告に載った1ヶ月前には既に私が購入してましたので、Sold Out として掲載されていました。)当時はインターネットなどは無い時代ですので、グリーンに至るまで20年位、探し回っていたことになります。

グリーンを購入した以降、日本でも数本が売られていたのを知っています。2本目は13年位前に下北沢で売られていたFホールの無い珍しいナチュラル(ピックガードがウッドでした)に始まり、PLAYER誌でも紹介された渋谷で売られていた赤茶の左用と、右用。

PLAYER誌の個人売買コーナーで売られていたのが、ミュージシャンの方が購入されたという素晴らしいコンディションの赤茶、最近ではフロントピックアップが交換されたGuitarsMarketさんの赤茶や、やはりピックアップがP-90に交換されたナチュラルが御茶ノ水で売られていました。この他にもアメリカで3〜4本が売りに出た事があり、約10台くらいが「流通」したのを確認してきました。15年で10台とすると、1年半に1本くらいのペースで「発掘」されているワケで、これを多いと感じるか少ないと感じるか。

必死に2本目のメッセンジャーを捜し求め続けての15年間でしたのでやはり多くはないと感じています。
Sohn氏所有の2台も含めると、この日本に有るメッセンジャーの数は意外と多い事に驚きます。


ページの先頭へ▲

メッセンジャーのチョイス。

前述のメッセンジャー事情を踏まえ、なかなか2本目のGETに至らなかったのにはワケがあります。
先ずは高価である事 !!!!。素晴らしいGibsonやFenderのギターがチョイスできる金額でありながら、実物はえらいチープなビザールギターです。
「メッセンジャーが売りに出た。」と聞く度に、すぐにその楽器屋さんに伺うのですが、店員さんは決まって『皆さん見るだけ、触るだけで、購入はしてくれない。』と嘆いていらっしゃる。つまりそれだけ購入をチュウチョするチープなギター(それなのに高額)だという事です。
実は雑誌広告に掲載されたメッセンジャー達は、意外にも長期間、店頭で売れ残っていたケースが多いのです。手に入れるチャンス自体は何度もあったワケです。
で。私の場合、グリーンを持っていますので、次に入手するならば、出来る限りMARK師匠のお持ちのメッセンジャーに仕様の近いもの!出来れば限りなく近いもの!という贅沢な欲望が有りまして、今回に至るまで約10台ものメッセンジャーを見送り続けてきたワケです。(ホントはお金もなかったし。。。)更には当サイト掲載の通り、先ずはMARK師匠のギター遍歴を全て収集し、最近ではMEL&DONの使用機材をも収集しよう。などとバカな考えを優先してきた事もあり、『贅沢な欲望』は最後の最後。くらいの気持ちでのんびり構えて居たワケです。
で。昨年、遂に念願だったLudwigのドラムセットを手に入れ(←許される住宅事情となったワケです)、更に今年に入り MEL's Collection が一応の完結となりましたので、そろそろ『最後の欲望』かな・・・などと考えていた矢先に飛び込んできたのが今回のメッセンジャーでした。


ページの先頭へ▲

メッセンジャーの仕様。

ほとんど一本一本の仕様が異なるトコがガレージメーカーMUSICRAFT社の良いトコ?です。
主に異なるのは、ツマミの配置がひし形の場合と正方形の2パターンが有り、ピックアップの取り付け位置に至ってはフロントがネック寄りだったり、リアがブリッジ寄りだったりで、Fホールの有無やステレオアウト用スイッチの有無、ブリッジ仕様などキリがありません。ツマミやブリッジカバーが欠損・交換されているモノも多いです。

私のグリーンは、これはもう“試作品”といえるほど仕様が“特例”ですので、なんとしてもオリジナルパーツ欠損の無い「MARK仕様」が欲しいワケです。

今までに「コレだ!」と思ったのはミュージシャンの方が所有しているPLAYER個人売買品の一本です。(←もし写真付きで売られていたら絶対買ってました!が、あのコーナーは文字だけですから。。。後にPLAYER誌面で知るワケです。「しまったー!」 と。)数年前に発刊されたビザールギターという本に掲載されていた写真の一本も「コレだ!」と思いましたので、恐らく両者は同じ物ではなかろうか。と。つまりMARK仕様のベースになる『基本仕様』(←勝手にこう名づけております)は、ビザールギター掲載&ミュージシャンさん所有&今回の私のコレ。なワケです。

フルオリジナルパーツ、ツマミ配置がひし形で、適度に(指一本くらい)ピックアップがネック&ブリッジから離れていて、オリジナルのブリッジでカバーが欠損してなくて、FAZZスイッチが付いている。んです。
ちなみにMARK師匠のベースとなった一本は、実はサンバーストです。この色となると日本にはSohn氏所有の一本だけではないでしょうか。4年位前にアメリカで50万円位(だったけ?)で売られてましたが。今回に関しては「究極のMARK仕様。リフィニッシュ!」が前提ですので赤茶でOKなワケです。
サンバーストを待っていたらジイサンになってしまうし。

今回は徹底的にメッセンジャーをばらして、調査しました。
先日のWESTアンプに続いて、おそらく世界初。
というか世界中で唯一であろう「メッセンジャーの秘密」大公開致します。

これを読めば、あなたもメッセンジャー博士です。世界中の何処に行っても「おお!日本人はなんてメッセンジャーに詳しいんだ。」って感心されるとおもいますよ!(←ヤッパ私バカですかね。)

この情報過多のインターネット時代でも、世界中のどこにも詳しい資料は無いギターですから。
ならば公開しちゃおう。

これを読んで頂いてもっともっとメッセンジャーの面白さ、MARK FARNERの凄さ、GFRの素晴らしさが再認識されたらいーな。との願いが籠められています。


ページの先頭へ▲

アルミネックの事情。

前オーナーによって、強烈に弾き込まれたこのメッセンジャー。
ローポジションは指板がスキャロップ化するほどエグられております。
ローポジションのストロークでの鳴りの素晴らしい事!

ネックのエッジも強烈に削られておりますので、この補修過程で、メッセンジャーのネック断面というか、黒い塗装の下に潜む特殊事情が解明されました。

ヘッド先端ネックヒール部まで。ネックの形をしたワンピースアルミの“芯”に、まんべんなく白いパテを塗って、そのパテを削って、ネック形状を作る。という手法で作られています。

ヘッドの表板のみウッドの板が貼り付けてあります。横から見ると、アルミネックの上にブ厚いウッドの指板が貼り付けてありますので、つまりネックを握った時の「ネック厚み」は、アルミ厚+指板厚なワケです。そして指板厚より高さの高いナットがアルミに貼り付けてあり、ナット高さより約 2mm 薄いヘッド板がアルミに貼り付けてあるワケです。

このネック。
設計時のアルミ幅が狭過ぎたんですね。でも型は出来っちゃったんですね。

恐らく。で。これじゃー狭すぎる。ってんで“普通の幅の”指板を貼り付けて、両サイドをパテで肉盛りしてあるんですね。メッセンジャーは、アルミなのに何故かネックグリップが一本一本異なるんです。ネックが太いメッセンジャーが以外と多いのですが、単純にパテを盛りすぎた。んですね。

ところが中には例外もありまして、実は私のグリーンのネックがやたら細すぎる。のです。よく見ると指板をアルミ部分の幅に合わせて削ってあるのです。恐らく最初はそうやって量産化しようと考えたのでしょう。ほとんどパテを使用してないから細いのです。ところがコノ形状だと、ネック幅がやたら狭くて1弦と6弦が落ちやすい。んですな。実は私のグリーンの Messenger は、弦を落とさないように弾くのが大変。という困ったギターなのです。←パラノイドのハモリを弾くと必ず6弦が落ちてしまうんです。これじゃイカン、加工もアルミ部分を削るのは硬くて大変!っていうんで、サクッと削れる「パテ」を採用して、「加工し易く&弦落ち改善」を図ったのでしょう。(私のグリーンが試作品。という仮説ははこの辺から推察したものです。「苦し紛れの手作りネック」以外にも、試行錯誤してムリヤリ作った箇所が多数ありますので。)で。今回はネックのエッジに補修しなければキビシイと判断されるパテ欠け部分がありましたので、補修ついでにネックシェイプを調整しちゃったりしてます。 パテ盛りすぎ部分を削って、エッジをスリム化してるワケです。左はネックの断面がわかるボロボロにハゲた部分の写真です。右はパテ埋めで補修している写真です。

ちなみにMARK師匠のメッセンジャーも1弦側のエッジ塗装が削れて、白いパテが露出しています。こうなるとアルミ&パテ&塗装の3層で仕上げられているネックですので、異なる各層のツナギメは凸凹となり「引っかかり」となります。ネックの仕上げやキズに神経質な方には向きませんね。MARK師匠はかなりアバウトだったのでしょう。というか、あの勢いで多少の凸凹は弾き倒しちゃうワケですな。さっすがです。


ページの先頭へ▲

DeArmondのピックアップ。

メッセンジャーのピックアップはDeArmond製と言われています。

 

↑で。はずして、ばらしてみました。↑

これまたコンビニエントなマウント方法で、ボディトップにザグリはありません。ネジ2本でダイレクトマウントです。

ネジを外すと全てバラバラになってしまう、とっても便利な設計です。

高さ調整はできません。当然フロントとリアで高さが異なるのですが、ここでも座布団が敷かれていて、フロントとリアでは座布団の厚みが異なります。
座布団は黒いゴム製で、フロントとリアで外形もまちまちですので、型で抜いたのではなく切り出したようです。よく見るとワイアーを通す穴を開け直してあり、穴はひょーたん型です。かなりザツです。

白いのは薄いプラスチック板です。ただただ見た目が良い。という理由でこの板が外から見えるように挟まれているワケで、設計理念が垣間見えます。

見た目もカッコイイし、結果論としてあのカッチョイイ音なワケで、文句ねえだろ。と。

とても好感が持てます。↑裏面に製造日(出荷日?)のスタンプ「JUL,10, 1967」がありましたので、6ヶ月で倒産したと言われているMUSICRAFT社は、1967年に有った会社で、ほぼ全てのメッセンジャーは1967年製である。という事が判明しました。もしかしたらDeArmond社の製造or出荷スタンプかもしれませんが。ま。どっちでもいいですね。音は最高ですので。


ページの先頭へ▲

ボディの材質。

謎に包まれたメッセンジャーのウッドマテリアル。誰も知りません。どこにも資料がありません。誰かが削ってみなければ、誰かが公開しなければ、このまま永遠の謎です。先にボディサイドは合板。と述べましたが、ナント。

トップもバックも合板でした。いわゆるベニア板ですな。
あっはっは。

メーカー資料にも記載されないワケです。私自身も例の Gibsonピックアップ取り付け「四角い穴」開け作業をしてて衝撃を受けました。

普通のカッターでも切削可能な、なんと加工しやすいコンビニエントな材質チョイス。下穴なしでダイレクトに木ネジが締め付けられるので、作業が早い早い。力も要らないし。

しかしアナどってはいけません。今回犠牲となった《赤茶》や私の宝《グリーン》は、なにやら高級家具のような木目をあしらった合板を採用しているし、Sohn氏所有の《サンバースト》となると、ツルンとした木目の無い板になりますので、材料費が安いから合板。なのではなく、見た目重視で慎重にチョイスされたのだと思われます。

しかも。これもサウンドは文句なく最っ高。ですので木材のネームバリューやスペックを超越したトコに、メッセンジャーとMARK FARNERの良さがあるワケです。


ページの先頭へ▲

オリジナルのブリッジとブリッジカバー

というワケで、これも当然ネジ 2本で手軽にボディトップに固定されています。

JAZZに使われるような古いアーチドトップ・ギターの中にはウッドマテリアルのブリッジを「置くだけ」のモノも有りますので、たった5ミリのネジ2本とはいえ、ネジ止めされているんですから問題ナシです。

バラされた写真はどこにも無いので、これも本邦初公開かな?台座の板から2本のスタッドスクリューが立っていて、メッセンジャーの特長的な大きなワッシャをからめてからブリッジを置きます。

このワッシャで弦高調整が弦を張ったまま簡単にできるのです。この大きなワッシャはゼマイティスでも絶賛されている優れた機能なのですが、こちらは市販品のワッシャを使っているトコがより庶民的でいいんです。

レスポールではその加工精度の高さからポロリと落ちてイライラするブリッジも、2本のスタッドとブリッジの2個の穴位置が微妙に寸法が狂っていてくれているお陰で「エイヤ」っと、押し込まなければ入ってくれません。つまりブリッジは「落ちない」んですね。
非常に優れていて爽快感を得られます。

で、その上にムスタングのソレのようなブリッジカバーが付くのですが、これも同じ設計理念により、穴位置が微妙で落ちません。このブリッジカバーを紛失したメッセンジャーが非常に多く、今回はこの部品も欠損していなかった事が誉(ホマレ)です。なぜならMARKはこのブリッジカバーを常時付けていますのでこのカバーは重要なのです。つまり弾くときに弦をブリッジ部でミュートでしない(できなかった)んですね。

初期のワイルドな、かき鳴らすような、個性的な16ビート・カッティングの秘密は、ここにあるワケです。重要でしょ。で、一応、このカバーを止める六角ナットが最後にスタッドに取り付けられて、全てを固定するんですが、そうなると弦の交換ごとにナットを外さなければならず、MARKもナットは使っていなかったようです。ブリッジ駒は白いプラスチック製で出来ています。もっのすごく雑な溝切りで、やたらサスティーンのない弦があったりして愕然とします。

ま、あんまり神経質なコトを言っているようでは乗りこなせない暴れ馬なワケで、サスティーンはこすって出せ。と。(Vibrato練習しろ。と。)


ページの先頭へ▲

オリジナルのノブ。

これです。数字が “ 9 ” までしか刻印されていません。

つまりフルにした状態を「フルテン」とは言えないのです。『フルナイン』 もしくは 『フリキリ』 と言わなければなりません。

単純に10が書いてないダケですので、絞りきった位置を 1 にすると 9 を越えてフリキるワケです。

私はそれじゃ分かりにくいので『フルナイン』にしてあります。つまり 「シボリキリ to フルナイン設定」なワケです。

「1 to フリキリ」の方が、なにやら美学を感じますんで、そのうちそうするかもしれません。
ちなみに、ブリッジに近い位置のノブがVolumeで、その下がToneです。あんまり効きません。FUZZスイッチに近いノブがFUZZの歪み調整で、ブリッジから一番遠くのノブがFUZZの音量調整。みたいです。

このFUZZ音量調整ノブは、FUZZをOFFにしていても効いちゃうんです。変なんです。絞ると音が出なくなります。さっぱりわかりませんがそうなっています。あ。そうそう。そうなんです。このメッセンッジャー、ナント!オリジナルFUZZ回路が付いているんです!何年間も「メッセンジャーのオリジナルFUZZなんて無いんじゃないの?」と疑い続けてきた私がひっくり返る程おどろいた、“FUZZ付きメッセンジャー”なんです。
最終章はそのFUZZについてです。あとちょっとで、あなたもメッセンジャー博士です。私自身が書き疲れたので、読み疲れられた事でしょう。(全部読んでくださった方、居てくださるのカナ?) すみません。がんばって読んでください。


ページの先頭へ▲

オリジナルのMUSICRAFT社製“ FUZZ ”。

これがMUSICRAFT社製、MESSENGER オリジナル FUZZ 回路です。ボディサイドの板にネジ止めされているのを引きずりだした画です。

グリーンのメッセンジャーで出した回答は、「 HEATHKIT製のFUZZを内臓したにチガイナイ。」でしたが、この通りMUSICRAFT製のFUZZが存在したワケで、ならばもしや同じでは。と比較しましたところ、やはりMUSICRAFT製FUZZは、HEATHKITのコピーでした。基盤サイズは収納スペースの都合上小型化されていますが、回路もパーツも同じ(たぶん)です。アルミ製の電池ホルダーも全く同じ、そのものズバリです。

やっぱり単3形乾電池×1本使用です。が。出音がちょっと違います。MUSICRAFTの方が音がデカイというか、フルテン(←ナインです)にすると、もうブチキレてしまって音程もへったくれもないブチブチ状態となります。で、全く使いものにならない(もちろんGFRサウンドとは程遠い)ので、歪み調整ツマミを7くらいに絞ると。。。ありゃま。アノ音です!絞った分、音量も下がりますので、デカかった音がちょうど、いつものHEATHKITの音量になるワケです。

HEATHKITは2台所有していまして、他にも2台が当サイトにありますので、4台を比較すると、一台一台微妙に違うんですが、音量だけは、このメッセンジャーのようにデカくなりません。ナゼがメッセンジャーFUZZは、HEATHKITの1.5倍くらいの音量になるので、やっぱり何かが違うのでしょう。

で。歪みを7に絞って使っています。更に驚くべき発見は電池との相性です。いつもHEATHKITには寿命の長いアルカリ電池を入れており、最近は先ごろ発売されたオキシライド電池(アルカリ電池より長寿命)なるものを使って少しでも音量を稼ごうなどとジミな改良を図ってきたのですが、このメッセンジャー。オキシライド電池を使うとギターの形をしたラジオになります。FM放送がガンガン入ります。ギターを弾いてもサチュレーションを起したトランジスタの悲鳴とノイズゲートでブツブツ切ったようなエキセントリックなサウンドが飛び出し、誰もが 『おう。壊れた。』 って勘違いする状態に陥ります。私自身、オキシライド電池を外すまで「壊れた」と思いましたから。オキシライド電池は豆電球のフィラメントを切ってしまうパワーがあるので懐中電灯には使わないほうがいいらしいのですが、メッセンジャーにも使えません。考えてみたら1967年にオキシライドどころかアルカリ電池も無かったと思うので、つまり普通の安いマンガン電池でなきゃーダメなんですね。

よく見るFUZZのインプレッションで「ブチキレて音程がなくなる」とかって記事がありますが、もしかしたら古〜いFUZZにアルカリ電池を入れるなどというナンセンスな状態で試奏してんじゃなかろうか。その時代に無い電池で設計されてるワケないんだから、チープな電池で試さないと当時のサウンドは体験できないワケで、当時そんなブチキレて音程も吹っ飛んでる状態のエフェクターが売れるワケないし、チープな電池を使えば、カッコイイあの時代の音が出る。っていうのが真実なんじゃなかろうか。と。で、今回、思い知ったワケです。

ちなみに MARK御用達のThomas社のCrybabyですが、こいつもONにするとラジオが聞けます。スタジオ版の『パラノイド』のイントロに導入されているラジオノイズのアイデアは、サンプリングした音ネタを後から挿入したのではなく、あれはイントロの頭からFUZZがONの曲なので、スイッチをONにしてCrybabyをスタンバイしてたら偶然ラジオが混線してきて、「こりゃおもしろいぜ」とそのまま録音テープを回し始めて、で、弾き始めた。のではなかろうか。と。私の家で再現出来ますから。しばらくラジオを聴いてからパラノイドを弾き出す。コーフンしますよぉ。ラジオは演歌だったりしますが。

ああ。また逸れてますね。 FUZZです。FUZZ。つまり、音量が小さいのでフルテンでしか使えないHEATHKITよりも、メッセンジャーのFUZZの方がフレキシブルにいろんな音が作れるワケです。

トナルト。もしやアノ、『ギミーシェルター』の音も作れちゃったりするのかいな。と、試したところ。ありゃま。いいカンジの音が出ちゃいます。今度はFUZZの歪みをフルにして、FUZZの音量を絞るのです。さっきまでは7&9、今度は9&7です。実はふざけて「逆にしたらどうなのよ」と試してみたダケなのですが、「あれ。けっこうイイカンジで、これもアリだな。BigMuffみたいで。。。ん?BigMuff?えー !? マジで?」 ってな具合で発見されたんです。

Micro-Frets時代は、確実にペダルエフェクターを使用して、あのディストーションサウンドを得ているので、アメリカンバンドとかナニカ使っているハズなんですが、メッセンジャー時代のギミーシェルターって、果たしてどうなのよ。という自問自答の答えまでが、ナントここにあったワケです。
いそいでHEATHKITで9&7設定を試してみましたが、こちらはやっぱり音が小さくなりすぎて使えません。つまりギミーシェルターはメッセンジャーのFUZZでなければっ。というワケです。回路的にはほとんど同じでも、やっぱり何かが違うんでしょう。このFUZZを手に入れた事が、今回の一番の収穫。と、神に心から感謝しています。アンプとの相性も神経質なFUZZで、感謝の念がトビそうになるくらい使いにくいんですが。。。。


ページの先頭へ▲

メッセンジャーのニオイ。

はっきり言ってクサイです。ニオイのしないメッセンジャーと出会った事がありません。
なんのニオイか。というと、アメリカのカビのニオイです。日本のカビのニオイって印象ないんですが、アメリカのカビは独特のニオイがあります。
WESTを輸入したときも、Raodmasterを輸入したときも、同じニオイがしました。で、「ああ、アメリカのニオイ。」と、勝手に思っています。
で。「これは本物」と判断するワケです。どのくらいクサイか。というと部屋がそのニオイに支配されるくらいクサイです。
メッセンジャーという芳香剤ですな。今回はペンキのニオイと相まって、そのカグワしい香りに2週間程ノックアウトされました。
黄な粉みたいなカビなんですね。日本のカビは黒とか深緑でしょ。なので、Fホールから綿棒とか突っ込んで出来るだけカビ落としをしてやるのが最初の儀式となります。
で。メッセンジャーの体質が日本の気候に合ってくるとニオイが消えるんですね。
つまり、体臭のニオうメッセンジャーは来日したてなんですね。日本語が通じません。私のグリーンはニオイませんし日本語ぺらぺらです。
ちなみにケースに入れたままで大切に保管していると、何年経ってもニオイは消えません。
恐らく。アメリカの物置きガレージからふる〜いギターとかアンプが発掘されるんですよ。「なんだっけ、コレ?本で調べても載ってないぞ。」と。で、クサイんで、置いとけないんで、売っちまおう。と。。。だって、もしメッセンジャーやWESTを愛用していたのなら、カビ。生えないモン。
貴重なGibsonのES-335のオールドがカビだらけでクッサイ。なんて有り得ないですからね。(Fenderアンプとかはありそうですね。)


ページの先頭へ▲

メッセンジャーのウェイト。

はっきり言ってメチャ重いです。レスポールより重いセミアコ。
先ずアルミネックが重い。VELENOでもそうなのですが、MARK師匠がブルースハープを吹いている画で、ネックが下がっているの画をご覧になられた方も居らっしゃるでしょう。
メッセンジャーの場合、ノン・カッタウェイ(ホーンが無い)なので、VELENO以上に思いっきりヘッドが下がります。スベリの良いストラップだとイッキに床まで行っちゃいますので要注意です。(お陰でグリーンのメッセンジャーの3弦ペグはヒン曲がってしまいました。)

メッセンジャーのストラップピンがホーン(無いけど)の下側に設置されている理由も、この構造欠陥(個性と呼びましょう)の対策のためでしょう。
で、更なる対策として、この重いネックとバランスを取ろうとしたのか、ボディも重くなっているワケです。
ボディの中の、いわゆる「セミアコのセンターブロック」がアルミ製なんですね。これも本邦初公開で知られていませんが、アルミのセンターブロックは無垢の角柱ではなく、板厚=約 1センチのコの字型です。Fホールや裏蓋から覗くと角柱に見えるのですがボディトップにピックアップ取り付け穴を開けると上からの景色を拝む事ができます。つまりトップ側から見ると、上を向いたコの字の端面(1センチ厚)の板が2本通っているように見えるワケです。
で、そのアルミブロックは、これまたコの字型の木枠に収納されていますので、裏蓋から覗くとアルミが「黒」いように見えるのですが、見えているのは黒く塗られた木です。アルミは着色なしのアルミ色です。で、仮説ですが。私が思うにはアルミネックには独特なサウンドと加工上のメリットがあり、その意味も分かるのですが、センターブロックがアルミである理由が「変」だな。と。木のセンターブロックがちゃんと有るし、ピックアップもブリッジもトップ板表面にネジ止めなので、サウンド的影響は望めないカナと。

つまりアルミブロックはボディとネックのウェイトバランスを取る為に、木のセンターブロック内側に収納された。のかな。。。と。。。で、この2重構造のセンターブロックが重い。ネックも重い。ついでの分厚いテールピースも重い。ギターはうんと重いワケです。軽いギター=良い音。という定説は、メッセンジャーに通用しません。重いけど最っ高に良い音です!


ページの先頭へ▲

後 記

お疲れ様でした。本編終了です。これを最後まで読んでくださった方、ほんとうにありがとうございます。

もしもこれでメッセンジャーに興味を持って頂ければ、ほんとうにウレシイです。この記事が誰かの何かの役に立つことができたなら、私は尊敬する RandyさんやSohnさんに少しだけ近づけるかもしれません。これでもうメッセンジャーは謎のギターではなくなりました。歴史に残る“銘器”として、こんどは皆さんによって語り継がれていくことを願っています。

 

Great Thanks ! MUSICRAFT INC, and MARK FARNER !!
and Mr.Randy, friend Sohn, and Ed Misenti, and Manabu F.,
and all my friends,andGRAND FUNK RAILROAD !!

 

 

《 注意 》
ここに掲載したメッセンジャーは、私の個人的なコレクションです。
そのデザイン、イメージは全てMARK FARNER 氏のものです。
MARK FARNER 氏 と GRAND FUNK RAILROAD のイメージや名前を無断で営利目的に利用しないで下さい。
(万一のトラブルが生じた場合、当サイトは一切の責任を負いません。)
《 CAUTION 》
This Messenger Guitar is personal collection.
This is not a business purpose.
The design, and all the Images belong to Mr. MARK FARNER.
Nobody can use the image and a name of
Mr. MARK FARNER and GRAND FUNK RAILROAD for business without permission.
(When a trouble occurred, this site does not take responsibility for all.)
Please understand the purpose that a FAN enjoys.

 

メッセンジャー博士Mr.エリック氏から
世界中のメッセンジャーファンの為に「当サイトで公開してくれ」と
『メッセンジャーのカタログ』提供して頂きました。
どうぞご覧下さい。

Eric Bloom Collection

 

もう一人の暴走機関士
Ogawa氏の The MESSENGER

Ogawa Collection

 


 

ページの先頭へ▲

追伸:ガムテープの追求。

先日、里帰りで日本に帰ってきたアメリカに住む兄が、完成したこの MESSENGER of The“Real” Mark Farner MODを見て一言。

「この銀色のテープは、なんだ?」
「これはマークのが、こうなっているんだよ。」
「いや、そんなハズはない。こんなに材質のシッカリしたガムテープはアメリカには無い。このテープは日本製だろう。アメリカのガムテープは、もっとペラッペラなんだぞ。」

「え〜」

「よし、俺がプレゼントしてやろう。」

で、兄が帰国後これが送られてきました。

というワケで、これがアメリカで売られているペラッペラのガムテープです。兄弟でアホです。
(トワイエ、マークのメッセンジャーの写真を見ると、たしかにペラッペラっぽい。)


ページの先頭へ▲

爆音!ベーシスト&ドラマー対策

見ての通りです。
指版削って、フレット打ち替えて、新品同様に!
削ってみてわかったことですが、指板の材質はハラカンダでした。
けっこう良いもの使っているんですね〜

爆音!ベーシスト&ドラマー対策です。
良く鳴るようになったようで・・・


ページの先頭へ▲

Guitar Player Magazine

 

衝撃資料写真の追加です。
Guitar Player Magazineに掲載されたメッセンジャーに関する記事です。

なんとネックは“抜ける”んですね。

記事の内容は、このギターのオーナーKen Settle氏が、グランドファンクの大々ファンで、何年もかけて謎のギターの正体を暴き、遂に手に入れるまでの熱いエピソードが記されており、ギターの仕様とかはあんまり書いてません(笑)。
そのエピソードがあまりにもどこかで聞いた事があるよな内容でしたので、

『ああ、やっぱり世界中に強烈なファンの方がたくさんいらっしゃるんだ!』
と、感動ひとしおです。


ページの先頭へ▲

ピックアップの寿命

ピックアップが酷使したせいで、一個壊れました。
つまり、あんまり長持ちしないギターなんですね。
MARK師匠は、そーゆーギターを後楽園球場で雨ざらしにしちゃって、使えなくなっちゃったんですね。
ピックアップが自然に壊れるのも初体験でした。(ハウリングが鳴りっぱなし。)
で、しょうがないのでリアから外した余ってるPUをフロントに載せ換えたら、フルテンにしてもほとんどハウらなくなりました。

ははぁん。そうか!

たぶんマーク師匠のフロントPUも、酷使しすぎてお亡くなりになったんではなかろーか。
で、リアから移植した。

だから使わないリアにハンバッキングを付けた! に、チガイナイ!

フロントしか使わないのに、なんでリア交換???と思ってたんですが、た・ぶ・ん、フロントが自然に壊れて、ハウリっぱなしになって。で。使ってないリアPUをフロントに移植して、空いたリアに大きめのハンバッキングを目隠しのために載せた。

ライヴアルバムの In Need のハーモニカの後。ギター弾き始める瞬間に「カキン」って、SW切り替える音がします。
SWをリア側に倒すと、音が出ないようになってるんですね。(←コレ、ハーモニカ吹くとき、すごい便利です)
メッセンジャーはマスターVol×1個なんで、ははぁん。リア配線してないな。と。

などと、いつものよーに妄想に駆られながら、夜は更けていきます。。。。。


ページの先頭へ▲

ネジを3本はずしたら。。。

指版削って、フレット打ち替えたにもかかわらず、あまりにも弾きにくい。(最近、とても良いレスポール弾いちゃったもんで。。。)
上のGuitar Player Magazineで、ネックが抜けることも判明したんで、習いたてのネックリシェイプデモと思い立ち、恐る恐るネジを3本外してみましたところ、すぽっ。って。 抜けてしまいました。

で、衝撃写真館はこちらです。

「おおー!」ってカンジでしょ。
やっぱりネジ3本で止まってるダケでした。(笑) 恐るべし。

  

で。穴です。
穴の中がどうなってるのか、知りたくなるのが男心とゆーもんです。
こーなってます。
カビてますな。。。。


削ってる最中


削り上がり

で。で。で。たぶん世界中で誰もやらなかった、メッセンジャーのネック・グリップの変更で御座います。

テカ、ホンの数ヶ月の使用(酷使?)で、もう塗装ボロボロ。。。
アルミネックの形状調整が粘土パテなんですよ!
そのパテが剥離しはじめてデコボコになってしまったので、腐ったパテ削り落として、ついでにガリガリ削って弾きやすいネックグリップにしようと。

がっっっ。 アルミ硬いっす。。
疲れました。(黒塗りする気力が沸かない。。。)
写真の指板のバインディングがアルミネックから明らかにハミ出てるでしょ。(わかりますかね?)
ネック幅より、指板の幅の方が広いんです。

で、この段差(設計ミス)にパテを塗りたくって、黒塗りしてごまかすワケです。

「社長、パテはまずいです。」という社員は居なかったんでしょう。。。。

で、ネックできました。

ギター製作の師匠から、「急がば回れ。塗装は、じっくり作業しましょう。」とメールが届いた時点で、すでにグルグル回ってました。

乾くまで待てない性格なんです。塗装向きではないらしい。

で。なんとか出来たんですが、磨きすぎて、ネックだけやたらぴかぴかです。
べコベコ、ボロボロでしたので、すごい弾きやすくなったんですが、凸凹の感触で、今、何フレット押さえてるって見なくてもわかったのが、指板見ないと分らなくなってしまいました。

ライヴ直前、大丈夫なのか、俺?なはは。 で。なぜか、すんごい鳴るようになりました。
ネックの抜き差し行為が、ギターを良く鳴くようにさせるらしいです。

今日から、オ・ト・ナ。 ムフ。

Keep it Shinin' On !!


ページの先頭へ▲

笑劇のFUZZ回路 Part 1

ライヴ直前、ネックのメンテやらアンプのメンテやらしつつーの、久々に真面目にギターの練習などもしていたら、どーにもこーにも “FUZZ” が、言う事を聞いてくれない。。。というか制御不能。

ブチブチって、ブチ切れてしまい、「いやいやここは音を伸ばしたいんですけど。。。」などと、ギターに祈りつつ弾くワケです。もっとツライのが、早いパッセージのフレーズ弾いてると、勝手にミュートが入るので、完全にピッキングミスしてるのか、もの凄い身勝手なリズム感で弾いてるのか。としか聞こえない。。。

強烈なリズムカッティングを誇るMARK師匠が、名作LIVE ALBUMでのAre You Readyのソロが、早弾きぢゃないのに、なんかピッキングがアヤウイ“間”に聞こえるのは、そーゆー理由があるんです。

メッセンジャーのFUZZを使えば普通に弾いてもMARK節になる。ムフ。などとほくそえんでいたのも束の間、ヤッパ私程度のテクではブチブチなヘタクソにしか聞こえないと気付き、焦るワケです。(上手くないので、上手く見せようなどとは思わないのですが、ブチブチだな。コイツ。と思われるのもなんか悲しい。。。)

で、いろいろいじってたら。わかっちゃった。
というか、わらっちゃった。
FUZZの音量を 7、2 にすると、バッチリ。ブチ切れる一歩手前の、アノ音になる!

がっ!
前述の通り、FUZZの音量を下げると、FUZZをOFFにした時のノーマル音の音量も下がってしまうのです。

つ・ま・り、FUZZスイッチONと同時に、7、2 に瞬時にツマミをコントロールして・・・・って出切るワケない!!!!!(7、4だとブチ切れてしまい、 7、0だとショボくなるの。)

スイッチを手でONにするのって以外と大変なんですよ。
フットスイッチ考え付いた人、エライです。

デジタルリマスターの On Time のボーナストラックにしつこく、何度も入ってるアレ(イントロ)は、あのタイミングで弾きながら、FUZZスイッチを切るのを何度も何度も練習している。っていう音源なんです。ナンダコレ。って私も最初は思いました。っていうか、MARK師匠以外の誰か(メル?)が、スイッチを切ってくれているんだと、ずーっと思っていました。あのボーナストラックで、「あっ!弾きながらスイッチ切ってるんだ。すっげえ。」って。(あ。完全に逸れてます。いつも通り。)

で。で。で。

なんとか配線を変えて、ノーマル時にFUZZの音量ツマミをバイパスしたいな。
と、配線をいじることにしました。

で。大笑い。

Musicraft社様。僕のメッセンジャー、配線、間違ってますよ。
黄色い線はFUZZツマミじゃなくてスイッチにつなぐんでしょ。(爆)
で。問題解決。

7、2にツマミをセットしておいて、スイッチONにすれば、セットした音が出るし、OFFにすれば、ノーマルの音がちゃんと出る。やったぞ、これはナント凄い便利!(←って、コレ、普通じゃん!)

いやはや。

普通じゃないのがメッセンジャー。。。。ってか、すっげえメーカーだな。
MARK師匠も直したのかな?って、まさか僕のだけ????

ん?これでミスピッキングの言い訳が利かなくなちゃった?やっちゃったか、俺?

弾きにくいんですよ〜。ホントホント。


ページの先頭へ▲

笑劇のFUZZ回路 Part 2

でもって、ライヴ本番だったワケですが、Inside Looking Out のチョーキング&FUZZスイッチ「ON!」の大事な場面で、やっぱり息継ぎしやがった!

チョーキング詰まったみたいで。チクショーっ!

もう、悔しくてしばし悶々としまして、こりゃ毎回「息継ぎしないでね」って祈りながらチョーキングするわけにいかねーぞ。ってか、MARK師匠が祈ってるように思えないぞ。と。

で、気付いたら学生時代、電気系の学科だったんですね。私。
ならば電池だ。
電池が怪しい。3年勉強したんで、だいたいの場合、犯人は電池だ。(なんだそりゃ?)
と、回路をもう一度見直してみたら、ヤッパ変だよ。Musicraft社。

スイッチが2接点で、片方の接点がFUZZの信号が「割り込んでくる」線で、もう片方が電池のON-OFFなんですよ。

んっ?
これって、ONにしてから電気が回路に流れるんぢゃねーの?
回路の隅々に電気が行き渡るのに1秒くらい、かかってんぢゃねーの?
で。

とりあえず直してみたら。。。。。あれま。
息継ぎしないでFUZZサウンドが立ち上がるぢゃあーりませんか!
気持ちはわかる。
電気のスイッチはこまめに切れとデンコちゃんも言ってた。。。。がっ!

「乾電池は東京電力と関係ねえだろ!」

かくして、私のメッセンジャーは遂に、InsideLookingOutのチョーキングで息継ぎしなくなりました。
今後、詰まったら、単に弾き損じた。という事で、これは意地でもミスれません。

わっはっは。


ページの先頭へ▲

笑劇のFUZZ回路 Part 3

でもって、ライヴも済んじゃったし、でも誰かに聞いてもらいたし、と、友達のスタジオを訪ねまして、そこにあったデジタルアンプ?(PODとかいうトマトみたいなデザインの箱)につないだら。

「なんかOFFなのにFUZZが遠くのほーで混ざって聞こえるよ(笑)」

って言われまして。がちょーん。

つまり、メッセンジャーのFUZZの配線(ファクトリーオリジナル)っていうのは、全っ然、間違ってるんです。

全っ然、根本的に配線が間違ってるんです!
どーゆー社員を雇ってるんだ!
メーカーが間違えてて、40年後にユーザーが自分で気付いて、直す。

やっぱ凄いメーカーです。。。
で。ついに「普通のON-OFF」ができるようになったワケです。
普通に電池を回路につないで、FUZZ信号が割り込むんぢゃなくて、切り替わるように配線しまして。

って、フツーじゃん!それ。
じゃ、今まではなんだったんだ?

そしたらナント、FUZZの音がデカクなって(FUZZ音量も6くらいに絞らなきゃならないくらい)、しかもやたらヌケるようになっちゃいまして、良いFUZZなんじゃん。これ。

いやあ、いい。
いいぞ。メッセンジャー。深すぎて、誰にもワケわかんねーぞ。ってカンジで、大笑いしました。

なぜ潰れたんだあああぁぁぁぁ〜!


ページの先頭へ▲

The Star Spandgled Banner Pin

今から15年前(1994年)

トアル雑誌に、一枚の衝撃的な写真が掲載されました。

それが、コレ。

Photo:Vintage Guitar Magazine

そして、それまでに唯一、

「資料」として持っていた写真がコレ。

 

この2枚の写真で、はっきりと、このイメージをつかみ取ったのです。

「ナニか、ヒシガタのバッジが付いているが、いったいなんだろう?」と、

虫眼鏡を使ったり、なぜか太陽光に透かして見たり(←実話・阿呆)

いろいろ苦労していたのが、やっと判明したのは、15年前に一番上の衝撃写真が手に入った瞬間だったワケです。

「星条旗のピンバッジか!風になびいてヒシガタなのか!」 と。

で、その日から、夢枕に立つピンバッジを探すこと、15年。(←実話)

15年といえば、母をたずねたマルコも成人男性となり、下手するとマザコン呼ばわりされてしまうほどの長い年月です。
で。もはや、おじさんになってしまったマルコは、遂に見つけたのです!

ドンズバです。


おおっ!これだっ。

と、コーフンして5個も買い占めてしまいしたが、これを読んでいる貴方が、この画像を見ても全くコーフンしていないのは分かっています。
なぁんだ、先日の布団乾燥機に続く、ガッカリ・ネタ。かよ。と。

がしかし。おじさんが5個も買う程にコーフンするには、涙なしには語れない永い旅路の歴史があるからなのです。
ま。グランドファンクが好きで、ピンバッジ・コレクターでもある。という方は、ボクも含め、世の中そうそう居ないでしょう。
ピンバッジ好きなアメリカ人にならば居るかもしれませんが、この島国日本では、ボクも含め、グランドファンクだけが好きな人が多いハズ。

( え?ピンコレクターの方が多いの?)

で。ピンバッジというのは、その筋のマニアには奥の深い世界“ らしく ”、専門店に行くと、トンデモない量のピンバッジがズラリ(なんて形容詞が当てはまらないくらいウジャウジャ)と並んでいて、その中からオメアテのピンを探し出すなんて、まず素人サンには到底出来ない世界なのです。
そこに、自称&周囲から、「オオザッパの鏡」と呼ばれるような、まったく根気の無い暴走機関士が挑むワケです。

忘れもしない。長野オリンピック。

世界中からピンバッジのトレード目当てに人々が集う、ピンバッジ界最大のイベントと聞き、多くのピンバッジ屋が出没すると聞き、寒いのキライなのに、たった一つの星条旗ピンバッジを探し求めて、善光寺に祈り。

みなさん、知っていますか?

オリンピックに集う、ピンバッジ・マニアは、帽子とかバッグにピンをつけて「どうだい」とアピールしたいんで、メッセンジャーに貼り付けるくらい「ちっちゃな」ピンは、興味ねえ。んですよ!

「ピンバッジ、お好きなんですか」
何度も声をかけられ、
「いいえ。グランドファンクが好きなんです。」と答え続けること15年。
「星条旗のピンを探しているのですが。。。」
「星条旗かい? いいのがあるよ。どうだい。立派だろう。」
「あのぉ、もっと、ちっちゃいのを探してるんです。。。」(なぜか声も小さくなり)
「え?どうして? これでいいぢゃん。」
「。。。。。」 (←心の中で、「ピックよりデケエだろが!」と孤独に叫び。)

 

コレがそれ。

ねえ。これは違うよねえ。。。

なのに、このトーリ。

店のおじさんが余りにも一生懸命に星条旗を探してくれたので

「いらねーよ!」って言えずに購入してしまったんですね。

写真を撮りながら「あれ?なんで買っちゃったんだ? これじゃタダの星条旗ピン・コレクターじゃん。」
と、自責の念にサイナまれ枕を濡らしたこの日の心情が全くピントの合っていないぞんざいな写真からもニジミ出てますでしょ。

ムフ。
ムフムフ。
そ・れ・が。ですよっ。
なんと5個ですよ。5個。

「コレ、探してたヤツぢゃない?」 って、いとも簡単にその瞬間は訪れ。
ロサンゼルスでもサンフランシスコでも長野でもなく、東急ハンズ渋谷店で。(爆)

で、全部、買占めようとしたら、「子供みたいな事しないっ」 と叱られ、泣く泣くの5個ですよ。泣く泣くの。

というワケで、まだ3個。売れ残ってるハズですよ。(笑)
こりゃGFRファンが殺到するな。ハンズ渋谷に。
だって、これが付いてないと、黒いLIVE ALBUMの、あの音は出ませんからねっ。

つい先日、NHK BS放送でも放映されたデビュー当時の Inside Lookin' Outのスタジオライヴでは、この星条旗ピンはまだ貼られてませんので、明らかにLIVE ALBUMの音とは違いましたでしょ。(一瞬とはいえ、説得力あるなぁ。。。よく読めばアホですが。)

どうです、このかっこよさ。これで完璧です。

ちなみに、今までは自作の星条旗(ピック切り抜いて、チマチマと描き)だったのですが、
永いこと世話になったので記念に並べててみました。

ほう、自作の星条旗もよく出来てたな。。。(笑)

だんだん完璧になっていくぞ。。。ムフ。

 

BACKHOME