MELLOTRON M400S
written by Eiji Farner
メロトロンです。
グランドファンクのクレイグフロスト氏が名盤Caught in the act の中の
歴史的名演
「Closer To Home」で、
フルートやストリングスの音を
織り成したのと
おんなじ白のM400Sです。
この美しいメロトロン。
またしても、ぬ・わ・ん・と。
当グランドファンク博物館(←自称。ちなみに我が家のこと)に、
寄贈して頂いてしまいました!
長年、取り憑かれたようにグランドファンクの楽器を探求してきましたが、
入手不可能と断言していた楽器がいくつかあり、
その最高峰がメロトロンでした。
それが。このトーリ。
ハモンドオルガンL-112とレスリースピーカー147を
無償で頂いてしまうという“奇蹟”によって、
もはや完全に使い果たしたと思われていた「運」が、
まだ残っていましたっ!
頂いたハモンドL-112
で、このメロトロン。
すでに公開されている「メロトロンマニアック」の
追加記事でレポートした、
あの「モトカノトロン」です。
メロトロンの第一人者、厚見玲衣氏が現在所有している
最高のコンディションを誇る3台のメロトロン
(Mark IIが1台、白のM400Sと黒のM400Sが各1台)
これらを手に入れるより以前、いちばん最初に愛情を注がれていたのが、
この「モトカノトロン」なのです。
厚見さんと別れた後、厚見さんの御友人宅に身を寄せ、
更にその方の御友人宅に預けられるという波乱の人生を歩み、
終の住処と思われたその御友人宅で静かに余生を送っていたのですが、
こんどはオーナーさんが九州へ引っ越すことになったので、
これを機に老後の介護をGrand Funk Manaic で承る事となったのです。
まずは引っ越しの画からご覧ください!
乗用車の後部座席に鎮座するモトカノトロン。(笑)
し・か・も。
運転手はぬわんと、元カレ・厚見玲衣さん御本人なのです。
ココロナシか、モトカノトロンも久々の外出、
しかも元カレとのドライヴということで嬉しそうです。
我が家(自称:グランドファンク博物館)に向かう道中、
都内幹線道路を走る光景は強烈なインパクトでした。
「あっ!あの車、後部座席に。。。白いメロトロン積んでる!」
って誰が見ても分かるという。(笑)
とにかく目立つ!
もうね。並走する車中からその光景を見て、
ずーっと笑っいっぱなしでした。
だってさ。
かつて愛し合った2人が。
微妙な空気でお互い無言で、ドライヴしてるんですよっ。くっくっく。
で。無事ウチまで送り届けて頂きまして、元カレ・厚見さんが帰られた
次の瞬間!
先ずはいきなり丸裸にっ。(笑)
で、入念に入念に、ピカピカに。
鍵盤の左右のブロックは右が使用前、左が磨き上げ後。
上カバーは右半分が磨き上げ後。
すっかり若返って綺麗になったので、いよいよ電源ON。
ちゃあんと鳴ります。
エエ声。。。
って、ん?鍵盤いっこ置きに音が出ない!
どうやらどこか断線しているようなので、こんどは緊急手術です。
どうやら、このテープヘッドの上側一列の音が出ない。。。
という事は、上側ヘッドの配線が切れているにチガイナイ!
って、バラしてみたら、
上下全てのテープヘッドは直列に配線されていて、
この推理はハズレ。
(おかげでヘッドユニットの分解掃除ができたんで良かったケド)
トナルト一部分だけ音が出ないのはゲせない。
部分的に音は出るんで内部の信号回路は生きてるし、
いったい何故だ?と、
あれこれイジっているうちに、
鍵盤ユニット裏側の
「テープをヘッドに押し付ける装置」の
取り付け枠が変形しているのを発見。
メロトロンは鍵盤が沈むとテープを押して、
ヘッドにテープが押し付けられることで
音が出る構造なのですが、
ズラリと並んだテープヘッドは上下2列なので、
「上列」と「下列」では“ヘッドとテープの距離”が、わずかに違うのです。
何も調整しなければ、わずかにテープとの距離が近い上列ヘッドは
鍵盤を軽く押しただけで発音して、下列ヘッドは鍵盤を深く押さないと
発音しないワケです。
なんとなくイメージ出来ますでしょ。
なので、鍵盤のタッチを均一にする為に、いっこ置きに鍵盤の裏側に
付いている
装置を調整しなければならないのが
メロトロンの宿命なのです。
そこんトコの調整がずいぶんおかしな事になっていた為に、
タッチが違うどころか、鍵盤をグッと押しても
上側ヘッドにテープが触れてくれず、
鍵盤いっこ置きに音が出てくれなかったワケです。
恐らく、脱がせたときに、荒っぽかったのが原因か。。。(反省っ)
脱がせた鍵盤ユニットは、ポイってしちゃダメという事です。
そーっと、やさしくソファの上に。ね。
御縁あって、このグランドファンク博物館にやってきた
このモトカノトロン。
2度とこのような失礼の無きよう、丁寧に丁寧に扱い、
大切にメンテナンスさせて頂きます!
そして、この信じられないような復縁話をもちかけてくださった
オーナーのKousukeさん、
ほんとうにありがとうございました!
厚見玲衣さんに教わりながら全く知識の無かったキーボードに興味を持ち、
その厚見さんの機材を取材することで当サイトには
クレイグフロスト・コーナーを
設立する事が出来たのは
皆さんの知る処です。
そのクレイグコーナーの最初期に登場した黒いノヴァトロンの
取材レポートで、
「これだけはレアすぎて、所有することが無理!」
って、断言していたボクは、
あの時ぜんぜん分かっちゃいなかったワケですね。
これは無理って決めつけているのは、出来ない言い訳を
自分に言い聞かせて居ただけで、
グランドファンクがモタラしてくれる壮大なる“奇蹟”を
イメージ出来ないで居たダケの過去の自分を省みつつ。。。
でもやっぱり。
コレが自分の部屋に鎮座するなんて、
フツー思わないでしょ!
と、毎晩このメロトロンをウットリ眺めては思うワケです。(笑)
≪後書≫
で。いよいよこれで。
運も縁も使い果たしたにチガイナイ。って思うでしょ。
(実際ボクも思ったんだけど)
この後にもまだ、暴走機関車の旅は続くんですよ。
続きは、コチラ→“ファルフィッサマニアック”
http://grandfunk-maniac.org/farfisa/farfisa.htm
当サイト掲載順は、Hammond L-112 → FARFISA → メロトロンでしたが、
出会い順は、L-112 → メロトロン → FARFISA だったのです。
本物の楽器、本物の音楽が持つ特別な“なにか”は、
この世界に、ほんとうに存在します。
Written by Eiji Farner
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