HAMMOND L-112 & Leslie 147
written by Eiji Farner
ハモンドオルガンの名機、L-112 です。
マークファーナー尊師とクレイグフロスト氏が使用していた有名な B-3 よりも、ひと回り小さなスピネットタイプと呼ばれるこのオルガンは、ハードロックファンにとっては、ELPのキースエマーソンが使用していた事でも有名です。
鍵盤の配置デザインや各部の仕様はB-3とは異なりますが、真空管アンプを内蔵した“本物の”トーンホイール音源機構を持つ“本物のハモンドオルガン”なワケで、気分はもはやマークファーナーなのであります!(笑)
この、どこから見ても美しいハモンドオルガン。
またしても、ぬ・わ・ん・と。
いただいてしまいました!
長年、取り憑かれたようにグランドファンク系の楽器を探求してきましたが、
住宅事情から所有不可能と断言していた楽器がいくつかあり、
その最大サイズの楽器こそがハモンドオルガンでした。
それが。このトーリ。
し・か・も、
これまた、家の中ではひときわ巨大なレスリースピーカー付き。
繰り返しますが、このレスリースピーカーも
ぬ・わ・ん・と。
いただいてしまいました!
2011年の暮、「最近はすっかりグランドファンク系機材も揃ってしまって、さすがに新しい機材が増えませんねぇ。」と、親しい友人から声をかけられた矢先に、相方のDonichi氏が住宅事情諸々で30年間あきらめ続けていた、ドンブリュワーと同じヴィンテージのLudwig Drum Set を入手するという奇蹟が起きました。
現代は楽器情報飽食時代ですから、ヴィンテージドラムを手に入れた事の今更ナニが奇蹟なの?って思われる方も居らっしゃるでしょうから、その説明となる感動エピソードはコチラを読んで頂くとして。
幸運に導かれるがままにエイヤっと諸事情諸々カエリ見ずに捕獲に奔走した様は、さすがー暴走機関士サイトの管理人。(笑)
で、この時にですね、
「ほほう。住宅事情っつーのは、自分に言い聞かせる大義名分としては、こうも簡単に覆せるものなのか。」と。密かに感心していたら。。。このハモンドです。(笑)
Donichi氏の手に入れたLudwig Drum Setは、我々にとっては30年待った「あきらめかけていた夢」でしたので、ささやかながらこの奇蹟(入手)を祝うVintage Ludwig サミットなる祭典を開催したのが2012年1月末でした。
で、そのレポートの中で、
“この暴走機関車サイトはまだまだ止まりませんよ!”
なんちって、調子に乗って高らかに宣言しちゃったのですが。。。ぬわんと!!!!!
サミットの翌々日(←実話!たったの2日後)、一本の電話がかかってきたのです。
電話をくださったのは、いつもお世話になっている友達(先輩)からで、いつものよーに、相手の用件をロクに聞かずに、早速こちらの近況を報告です。(笑)
「一昨日ですね、Donichi君がヴィンテージLudwig手に入れたのを祝して、
山ほどLudwigコレクションをスタジオ持ち込んだんですよ!
圧巻でしたよ!音も最高でしたし!」
「おお、相変わらず楽器マニアだねぇ。ほいじゃハモンド、もらってくれる?」
「は?」
「ハモンド。」
「は? は、は、は、はもんど? って、オルガンの?」って。(笑)
もうね、「欲しいです!」って即答しちゃった直後に、ハッと気づいて「あ、やっぱりちょっと待ってください。我が家の住宅事情を確認させてください!」って保留しまして。
なぜなら、今まで実物を見てきた厚見玲衣さんのC3や、B3は、我が家の廊下をまったく通れないサイズだということを思い出したからです。
厚見玲衣さんのHammond C3
で。よくよくお話を伺うと、今回頂いたお話が、B3よりは奥行きの小さい“L型”との事なので、
慌てて本棚からハモンドオルガンの資料を引っ張り出して確認です。
えーっと、L型の奥行きは。。。。23インチね。っつーことは、58.5センチか。
お、それなら通るんじゃないか?
などと浮かれつつ、廊下の幅の寸法を測ってみたら。。。アレ?けっこう狭いぞ。。。
って、
59センチ!
その差わずか5ミリ!
おもわず「うっ!」って声が出てしまいました。(笑)
通るぞ、もらえるぞ!っていう嬉しさと、もしも本に記載されてる寸法が間違っていたり、なにか出っ張り部分があったりでもしたら玄関に置きっぱなしにするしかないぞ!っていう畏怖の念とが入り混じっての「うっ!」です。
で。早速、電話翌日にそのハモンドに会いに(寸法測定に)行って、このL-112と御対面したワケです。
で、恐る恐る、奥行き寸法を測ると。。。。実物は、ばっちり58.5センチ!
ようし通る!
5ミリも余裕ある!(←も。ですよ。)
廊下さえ通れば、部屋のドアはブチ壊してもいーや。(笑)
という安易な判断の元、その場で即答です。
「いただきますっ」
まるで晩御飯をゴチになるかのよーなセリフですが、御飯じゃないですよっ。
ハモンドオルガンを「いただきます」なんて言う未来が待っているなんて、このサイトをスタートした当時は考えもしませんでした!
と、同時にハタと我に返り、
「あのぉ、気持ち程度しか御礼が出来ませんが、おいくらで。。。。」と切り出すと、「お金は要りませんよ。そのかわり引っ越す事情があるので、できるだけ早く持って行ってね。」
ですと!
「あ、そっちの大きい木箱も一緒に。」
って、
レスリー147も“オマケ”みたいに付けてくださって。
食後に「みかんもどーぞ」みたいなカンジで。(爆!)
「あ、はい、いただきます。」って。
すっかり感覚麻痺してて、もはやごはんですよ。
で。諸々の受け入れ準備の為に1週間だけ猶予を頂き、慌てて家の片づけです。
鎮座していたプロジェクター式超大型テレビ(ヴィンテージ)を処分です。
テレビはコレ。メッセンジャーの後ろのヤツ。薄型じゃなくて厚型!
横幅が110センチで、これまたちょうどハモンドオルガンの横幅と見事に一致!
まるで、神様がここに置けとばかりに。(笑)
レスリー147の置き場所は、デカくて古いオーディオラックを処分して確保です。
同時進行で、夜な夜なハモンドに会いに行って、各部の掃除をさせてもらい、レンタカー借りて、翌週末にはいよいよ運搬とアイナリ。
レスリーの中を掃除してくれているDonichi氏
重さは約100kgですので、大人2人で運ぶにはかなり重いのですが、なにせ廊下の幅ピッタリという状況下での搬入ですので仮に人数が居たとしても声援を送るくらいしか手出しできません。
で、懸念していた部屋の入口(廊下つき当たりの曲がり角)は、ドアを取り外して、掟破りの横倒し(真似しちゃ駄目よ)で無事通過。
(寸法差1ミリ!切り替えし回数約30回!)
で。このトーリ、オルガンもレスリーも、なんとか部屋に収まりました。
Ludwigサミットから、ここまでたったの2週間です!
廊下幅5ミリの寸法差で「通る!」って判断したものの、もしも計算違いで部屋に入れる事が出来なかったら、返品しに行くワケにも行かないし、他に保管場所のアテもないし、ほんとうに途方に暮れていたことでしょう。
手伝ってくれたDonichi氏と、味方してくれたハードロックの神様に大感謝です。
ちなみに。
もしもこの話が“B型”“C型”であれば、前述の資料によると奥行き寸法が73センチもありますので、部屋に搬入するスベが全くなく、お断りするしかなかったワケです。
それどころか資料本によればL型の後継モデル“T型”(L型の回路の一部を真空管ではなくトランジスタに変更)であったとしても、奥行はL型よりも5センチも大きくなっていて、これまた我が家の廊下を通れなかったのです。
仮に小型C3と呼ばれる“M型”だったとしても、やはり6センチも大きく、同じスピネットタイプでも“E型”となると8センチも大きい。
つまりこの分厚い資料本によれば、何十種類ものトーンホイール音源のハモンドオルガンの中で、“L型”こそが最も奥行きが小さく、唯一、我が家の廊下を通過するサイズだったワケです。
もはや廊下の幅に合わせてデザインされたと言っても
過言ではありませんっ。
それほどまでにグランドファンク博物館(我が家)に、
唯一無二のピッタリサイズなのです。
数あるハモンドの中で、
その“L型”を、くださるというお話を
頂いたワケで、
これってまさしく“奇蹟”ですよね。
(ハモンドオルガンをくださるというダケでも十分“奇蹟”ですけど)
カクシテ。我が家に“本物”のハモンドがやって来ました。
東日本大震災〜“Egg Manの奇蹟”から、ちょうど11ヶ月が経過していた2月11日でした。
“絶対”に所有することは無理!とあきらめていたけれど、欲しくて欲しくて仕方なかったグランドファンク機材の最大且つ最重量の機材が、こうしてボクの部屋に鎮座しています。
背面パネルを外した画
この日の11ヶ月前に生き残れたボクの身の上には、次から次へとほんとうに不思議な出来事が起きて、数々の信じられないようなエピソードをこのサイト上で、“Egg Man の奇蹟”としてレポートしてきましたが、振り返ってみれば楽器の購入は意識的に控えての1年でした。
それなのに、控えていたのにっ、ま・さ・か。
我が家にハモンドがやって来るとは!!!!
やっぱり“未来”には“絶対”なんてモノは無くって、
こうして来てみないと分からないモンなんですね。
サテ。このハモンドと、レスリー。
1970年代に、CHIBO &ザ・ベイサイド・ストリート・バンドetc,で御活躍され、数年前に他界されたミッキー早川さんの愛機を御家族から譲り受けたものでして、恐らく1970年代に輸入されたワンオーナー物です。
ワンオーナー物と推測した根拠は、せめてもの御礼にと閉鎖される早川さんのスタジオを片付けさせて頂いていたら、コレが出てきたからです。
なんと、昭和40年代の日本語の「取扱い説明書」です。
今読むと、内容もツッコミドコロ満載ですし、印刷技術も写植文字を並べて作業していた時代らしく、小さいカタカナ文字=ァィゥェォャュョが印刷所に無かったようで、おかしなイントネエシヨンになっていたり。(笑)
ヴインテエジキイボオドに精通されている厚見玲衣さんが、
「この説明書こそ、最もレアな一品!」と仰るほど
希少価値があります。(笑)
つまり、このオルガンは、正規輸入代理店が輸入した、由緒あるHammond L-112 という事です。
早川さんのレコーディングスタジオに常設され、ライヴの際には持ち出されていたというこのハモンドは、レスリー147にダイレクトに接続できるようモディファイされており、そのサウンドは“強烈”に歪みます。
これは早川さんのスタジオのステッカー。
剥がさずに、このまま大切に。
御縁あって、このグランドファンク博物館に
寄付して頂けることとなりました。
早川さん、有り難う御座いました!大切にします!
そして、この信じられないような縁談話をご紹介くださった
仲人の
MURAIさん、
ほんとうにありがとうございました!
http://island-studio.com/
厚見さんに教わりながら全く知識の無かったキーボードに興味を持ち、その厚見さんの機材を取材することで当サイトにはクレイグフロスト・コーナーを設立する事が出来たのは皆さんの知る処です。
そのクレイグコーナーの最初に登場したHAMMOND C-3 オルガンの取材レポートで、「これだけはデカすぎて、所有することが無理!」って、断言していたボクは、あの時ぜんぜん分かっちゃいなかったワケですね。
これは無理って決めつけているのは、出来ない言い訳を自分に言い聞かせて居ただけで、グランドファンクがモタラしてくれる壮大なる“奇蹟”をイメージ出来ないで居たダケの過去の自分を省みつつ。。。
「でもやっぱり。コレもらえるなんて、フツー思わないでしょ!」
と、毎晩この美しいハモンドを眺めては思うワケです。(笑)
≪ 後書 ≫
で。これで。
運も縁も使い果たしたにチガイナイ。って思うでしょ。
(実際ボクも思ったんだけど)
この後にもまだ、暴走機関車の旅は続くんですよ。
公開が前後しちゃいましたが、続きは、コチラ→“Johnnyの奇蹟”
本物の楽器、本物の音楽が持つ特別な“なにか”は、
この世界に、ほんとうに存在します。
Written by Eiji Farner
― Special Link ―
“HAMMOND MANIACS”
ハモンド・メイニアックス
ボクに多大な影響と知識を与えてくださった
厚見玲衣さんのモディファイされたHammond C3 はコチラ
http://atumic-rooster.org/maniacs/craig/Hammond.htm
クレイグフロストのように透明アクリル製の筐体に移植した
川村ケンさんのHammond C3 はコチラ。
http://park8.wakwak.com/~kawamurakenbow/kurage.html
エマーソンマニアック、Voyager さんの
衝撃的Portable vintage British C-3はコチラ。
http://www.water-bug.net/voyager/pc3.htm
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