第一回 WEST サミット

Written by Eiji Farner

世の中、いろんなマニアの方が居ます。
ギターマニア、スネアマニア、ヴィンテージ・キーボードマニア、
フェイバリットミュージシャンナリキリマニア(笑)、etc, etc,.....

そしてコレは、2012年1月に都内某所で行われたディストーション・ベースアンプマニアの集会レポートです。
ヒト呼んで、WESTサミット。
先ずは、この光景を御覧ください。

オタクだらけのこの日本に於いて。
「ほう。このくらいの数のアンプなら、オレも持ってるよ。」と思った方も居らっしゃるでしょう。
が、しかし。
よぉーく、御覧ください。

WESTです。(笑)

使ってる人に会ったことないし、売ってないし、持ってる人もあまりいませんが、何故かここにはいっぱいあります。
なぜなら、ここは暴走機関車サイト、Grand Funk Manaic。(笑)

 

当サイトでは、WESTを並べて鳴らすことはさほど珍しくない(というか日常)なのですが、今回わざわざサミットと称する“宴”を開催したのは、スペシャルゲストに御参席頂いたからに他なりません。

試奏してくださったのは、ナント!
世界最強ハードロックベーシスト、TIMチョ こと 鳴瀬 喜博氏なのです!

2011年に結成されたTIMチョ& 宴ROCKSで、圧巻のディストーションハードロックベースを炸裂させる鳴瀬氏に、グランドファンクのメルシャッカー本人が、'70年代の全盛期にステージで使った本人使用機の改造WESTを弾いてもらったら、いったいどんな音がでるのだろう。

ね。タマランでしょ。
寝られませんよ。前日。(笑)
遠足の前の日の小学生気分ですよ!

当サイトとスペシャルリンクしている、鳴瀬氏の敬愛するティムボガートを奉るサイト「ティムボガート・マニアック」

そこに、同じく当サイトとスペシャルリンクしている「マウンテン・マニアック」を率いる厚見玲衣さんも参加されて、遂に!

グランドファンク、マウンテン、ティムボガートという超オタク(←マニアックと読む)サイトのコラボレーションが実現したワケです!

  

余談ですが、厚見さんが所有するヴィンテージSUNNアンプを先ごろ鳴瀬氏のバースディライヴに提供したエピソードを綴った機材レポートをティムボガート・マニアックに掲載しましたので、そちらも並行して読んで頂くと、この怒涛のコラボレーションの意味が御理解頂けると思います。

http://atumic-rooster.org/maniacs/tim-bogert/gear/sunn/

そして、それを読んで頂けば、必ずひとつの疑問符に辿り着くことでしょう。
キーボーディストである厚見さんまでが何故、ベースアンプを所有しているのか。

ムフ。

その説明の為には先ず、世界3大ディストーションベーシスト について語らねばなりませんっ。

世の中にはいろいろな「3大○○」があります。

'70年代の3大ギタリストと言えば、Eクラプトン、Jベック、Jペイジ。
'60年代の3大子供の好きなものと言えば、巨人・大鵬・卵焼き。
御三家とか3人娘とか日本三景とか、Wikipedia を見ればいくらでも出てくるんだけど、世界3大ディストーションベーシストに関する文献は、このGrand Funk Manaic にしか載っていませんっ。

☆ 世界3大ディストーションベーシスト

  • ヴァニラ・ファッジ〜カクタス〜BBA期の、ティムボガート先生。
  • 69年〜71年のグランドファンク・レイルロードの、メル・シャッカー先生。
  • 68年〜72年のマウンテンの、フェリックス・パッパラルディ先生。

彼らは皆、巨大なアンプをフルボリュームで鳴らす事で得られる、凄まじいサウンドをもって世界の音楽史を変えてしまいました。
聴く者だけでなく、弾いている本人までもが具合が悪くなるであろう凄まじいLOWレンジを伴った強烈な歪みは、60年代末期〜70年代初期の数年間ではありましたが確実に地球を揺さぶり、後に人々はこの時代を「ハードロック黄金期」と呼ぶようになったのでした。(←私見)

ソロだけを歪ませる“飛び道具”としてではなく、全編歪んだ音のままで“音楽”を奏でる。
この3人の前では、時々ちっこいエフェクターをポチっと踏んで、“LOWの無い歪み”に御満悦の自称ディストーションベーシスト達は皆、裸足で逃げ出すしかないのです。(←私見)

その“本物の歪んだ低音”を得る為には。

これまで研究に研究を重ね至ったひとつの結論が、
巨大なトランスを搭載した“本物”のベースアンプが無ければならない。

という事でした。
なので、ハードロック・キーボーディストである厚見玲衣氏は、“本物”のSUNNを世界中を探して手に入れたワケです。

どのくらい研究したかっていうと、当サイト Grand Funk Manaic と、 Mountain Manaic に、その全てが記されています。
そして、この2大ディストーションベース研究サイトを経て、辿り着いたもうひとつの結論。

強烈なベーシストによる強烈なプレイが伴わなければ、“本物”にはなり得ない。

ムフ。バレましたね。
2011年11月13日に発進した、Tim Bogert Manaic こそが、その“もうひとつの真理”を立証する場でもあるのです。

もはや本家本人をも超えた世界最強のティムボガート・スタイル・ディストーションベース・プレイヤー(←私見にあらず!)であるTIMチョこと鳴瀬喜博氏による“本物”のディストーションベース。

歪んでもLOWが失われることのないアンプサウンドと、ディストーションべーシスト(具合が悪くなりそうなくらいの爆重サウンドを耐えられるベーシストともいう)が “対” となることで、21世紀の現代に蘇り、前述の世界3大論を証明するに至ったのは、TIMチョ&宴ROCKSのライブを体験した誰もが知っています。

今から30年後の未来で、人々は語り継ぐでしょう。

ハードロックの黄金期は、1960年代末期〜1970年代初期だけではない。
2011年に突然日本で蘇ったのは世界中の誰もが知っている。
と。

おっと。逸れた。

つまり、これは、そういう神通力を持って、時空を超えるサウンドを放つアンプを集めての“宴”の記録なのです。


 

持ち込んだ機材は、このトーリ。

この集会がグランドファンク狂にとってはタマラナイものであったことは御察しのトーリ。(笑)

そして、ジャズベースの後ろにドスンと鎮座する黒いWESTのヘッドアンプこそ、
WEST最大の出力を誇る200Wタイプの“FILLMORE”です。

今回のエントリーしたアンプの中で最もデカイ音で歪み、

Gibsonのピックアップを搭載したナイロン弦のヴィンテージJAZZ BASSを突っ込むと、

グランドファンクの名盤「LIVE ALBUM」で聴ける史上最強のアノ音が、

そのまんま出ます。

その上に鎮座する、Fender BASSMAN AMP はシルバーフェイスと呼ばれる歪まないイメージの外観ですが、どっこいこの年代のシルバーフェイスは、トテツモナク歪むのです。ギターをつないでも充分にドライヴするのでギター用アンプの名機としても知られていますが、もちろんベースを歪ませるのもバッチリ。

ベース側のヴォリュームを絞れば Fenderらしいクリーンサウンドも得られるのし、出力も50Wなので(と言っても、聴覚上は爆音)、この日持ち込んだアンプの中ではとても良識的(?)なアンプです。

 

黒いWESTの下のキャビネットは、普段ボクがライヴでギター用に使っている15インチの JBL D130F スピーカーを2台搭載したキャビネットです。

ぬわぁんと!
マークファーナー尊師が日本公演で御使用された“使用済み”スピーカーです!

JBL D130F

隣に鎮座する、鳴瀬さん愛用の Electro-Voice 15×2 キャビネット(詳細はコチラを参照)と比較の為に持ち込んだのですが、D130Fはギター用なので、極限まで歪ませたディストーションベースサウンドでの過酷な状況での比較テストでは、ベース専用のエレボイに全く歯が立ちませんでした。
キャビ箱のサイズや奥行き、スピーカーの後ろ側の音を放出する効率などなど、改めて低音域の放出条件の重要性を学ぶこととなりました。
(ギター用としてはトンデモナク低音が出るんだけどね。)
つまり、グランドファンクのメル シャッカーは、JBL D130F ではなく、ベース用のD140Fを使っていたのだという事がこれで立証されたワケです。(笑)

ムフ。いろいろ分かってきたぞ。。。

その鳴瀬さんエレボイキャビの上に鎮座する青いWESTのヘッドアンプこそ、今回の目玉。(←表現、古いな〜)
グランドファンクのメル・シャッカーが、’74年〜実際にステージで使っていた「本人使用機」、改造WESTです。

Grand Funk RR
Built by Sonny Meeker

アンプビルダー 故Sonny Meeker氏の手によってグランドファンクの為にモディファイが施されたこのアンプは、黒いWESTと同じ“FILLMORE”からトランスや真空管を移植したオリジナルシャーシを、恐らく、伝説の嵐の後楽園球場で使った特注サイズの縦長のキャビネットに搭載した、正にスペシャルなWESTなのです。

それを。

鳴瀬喜博氏が。(じーん。。。)

メル仕様の、改造JAZZ BASSをつないで。。。

ブモー! って。(爆)

と、ここで、この日参列した参加者は皆が気付いたのです。

ちょっと待て。
大出力の Gibson のヴィンテージピックアップを搭載したJAZZ BASSをつなぐと。。。。
どのアンプでナニを弾いてもブモーぢゃねーか! と。

まるで、搾乳を待ち焦がれて牛舎で雄叫びを上げる雌牛の叫びが如く。。。

ブモー!

ボク的には、同じブモーの中にも、芯のあるブモー、クリアなブモー、太いブモー、搾乳を待つブモーと、ちゃんと違いがあって、その明確なキャラクターの違いに酔いしれていたのですが、ここで多数決で「普通のベースで試そう」という話になって。(笑)

 

で。登場したのは、コレ。

これは厚見さんが最近入手した特注ベースで、とてもユニークなピックアップレイアウトになっています。
このスペシャルなベースを見た瞬間に「普通のベースで」というセリフが既にかすんでいることに、ボクだけは気付いていたのですが、ブモーな耳になっている多くの参加者が、

「おお、普通だ。」 と。(爆)

で。更に「よし、普通のアンプにつないでみよう。」と、スタジオにあったEBSのアンプにつないだら、

「おお!普通だ!」って。(笑)

いやいやいやいや。

「それじゃまるで、WEST が普通じゃないみたいぢゃないですか〜っ!」
って叫ぶボクに。

「いや、ぜんぜん普通。じゃないよ。」
と、鳴瀬さんから最大級の 褒め言葉 を頂いて。(笑)

ディストーションベースサウンドが爆音で鳴っている時間よりも、たくさんの笑い声ばかりが響き渡るスタジオで、至福の体験をさせて頂いた夜になりました。

お世話になった リンキースタジオ西荻窪 さん、たくさんの事を教えてくださった鳴瀬さん、

ほんとうにありがとうございました!

ちなみに、冒頭の集合写真に写っている、右から2番目の赤いストラップが付いたベースが鳴瀬さんのVestaxべースで、これもまた素晴らしいベースでした。

至福の時間はあっという間に過ぎて、全てのアンプの試奏を終えた鳴瀬さんが、この第一回WESTサミットを締めくくるべく、小さな声でこうつぶやいたのをボクは聞き逃しませんでした。

「いやぁ〜、みんなホントにクレイジーだよな〜。
ようし、とりあえずコレを買おっと。」

ちょちょちょちょ!
ちょっと待ってくださいっ!それ、厚見さんが持ってきた Big Muff ですよね!
総重量 200kg ものアンプとキャビをこれだけ用意して、そりゃないっすよ〜!

「あ。。。いやいや、こここれはさぁ、さっき試したら、なかなかいいんで、仕事で使えるなって。。。。」

ほいじゃ、まるでWEST は、“仕事” では使えないとでも。。。。って。あれ?

使えませんね。ボクが考えても。(笑)

鳴瀬さんが弾いたら、凄まじすぎて!ね。

 

Written by Eiji Farner

 

 

 

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