The Greco ME-700“Mark Farner Model”

1970年代に“The Greco”ブランドで、日本で作られたメッセンジャー。
歴史上でも世界中でも唯一の「マーク・ファーナー・モデル」 として発売された、日本の“誇り”。
ご覧の通り、このギターは70年代の国産ギターとしては奇跡とも言えるフルオリジナル・スペックです。
前オーナー様が、いかに大切にされてきたのかを窺い知れます。
驚愕すべきは、その生音です。ナント、アメリカ製とウリふたつ。例えるならば、“USAフェンダー”と、“フェンダーJAPAN”です。
おまけにウッドのネックはアメリカ製アルミネックよりも暖かくて弾きやすい!
もともとメッセンジャーは一本一本のバラツキが顕著なギターですので、これはまさしく“メッセンジャーJAPAN” と言っても過言ではありません。
アメリカ製のメッセンジャーを捜し求めて、この20年間に約10本のメッセンジャーに触れる機会に恵まれた私が、日本製に関しては13年前にたったの一度だけしか触れた事がないのですから、ある意味ではアメリカ製よりもレアなメッセンジャーギターなワケです。
これは当時、絶大な人気を誇った最高のロックバンドのリードギタリストが世界で唯一使っていた入手不可能なギターを、日本の技術で製作し、多くの日本のファンの願いを実現させてくれたという、素晴らしいメーカーと強烈なファンの想いによって製品化されたギターです。
13年前の私は、既にアメリカ製を所有していたので、このギターの本当の価値、意味、その素晴らしさに気付いておらず、みすみす買い逃してしまいました。。。。
そして、長い年月が過ぎ、奇跡はまたしても突然おとずれたのです。

ある日一通のメールがこのサイトに届きました。
私が感動で震えてしまった、そのメールを披露させて頂きます。

 

HPを偶然拝見し、自然と涙が溢れ止まりませんでした

私は1959年生まれで最初はCCRのファンでした。

風邪をひいて高熱を出し当時の子供達が親に「パイナップルが食べてみたい・・」と甘えるノリで「CCR のLPが欲しい」と親に頼みました。

優しかった母はCCRと間違えてGFR(ベスト・オブ・グランドファンクだったと思います)を買って来ました。 泣きましたね私は。

ジョン・フォガティーの声が聞けると思ったのに GFR? CCRじゃなくてGFR? 誰だそりゃ

しょうがなくターンテーブルに載せ針を落とすといきなり・・・・・以来30年以上彼等のとりこです。

もし良かったらわたしのグレコ MF MODELを貰って欲しいのです。  

確かにこのギターは私の宝物です、でもこのギターも喜ぶ気がして・・・・

使われないまま何年もホッタラカシにされている位ならばいっそ本当に大切に扱って貰える方が所有していた方が。

なななんという事でしょう!

このフルオリジナル、ワンオーナーのメッセンジャーは、ナント、このGRAND FUNK MANIAC サイトに、寄付して頂いたのです!!
タダです!こんな事って!
そしてこの一通のメールが与えてくれたもうひとつの宝物は、強烈な暴走機関士(大先輩)との出会いでした。

言葉では言い表せない気持ちでいっぱいです。
何かに例えるならば Got This Thing On The Move のイントロ一発目の、アノ音に、永遠に包まれているような。。。(なんじゃそりゃ)


さてここからは、おそらく世界で唯一の「The Greco ME-700」のディティール検証です。

Head

ヘッドロゴは本家メッセンジャーがデカール貼りにもかかわらず、こちらは丁寧なシェル・インレイ彫りです。
本家はアルミネックですので当然トラスロッドが無く、ネックの反りはハンマーでブッ叩いて直すのですが、こちらの美しいタイガーストライプの浮き出たメイプルネックにはトラスロッドが仕込まれていて大変コンビニエントです。
本家には無いトラスロッドカバーが3本の小さなネジで取り付けられていますが、このカバーはノコギリとヤスリで削り出したハンドメイド物です。
トラスロッドカバーを少しずつ削って、できるだけ小さくしようと苦慮された様子(ファンの満足感への配慮)がうかがい知れてとても好感が持てます。

PickUp

フルコピーと言えるピックアップカバーに製作者の意地を感じます。このピックアップとブリッジはリッケンバッカーのコピーモデル用を流用したようですが、このピックアップカバーには脱帽です。
驚いたのは本家同様に、ピックアップとブリッジがボディトップに置いてあるダケ(ネジ2本で動かないように固定)という点までが忠実に再現されている事です。お陰でこのギターは、生音までが本家とそっくりな音がします!ほんとうにスゴイ。
本家メッセンジャーの最初期には、このギターと同じようにエスカッション風の金属枠が付いたピックアップの物が実在し、それは当時のメッセンジャー社のカタログに掲載されていました。
メッセンジャーの4個のツマミレイアウトには、ひし形に配置されたもの(MARKのもソレです)と、正方形に配置されたものがありますが、そのカタログのメッセンジャーは正方形に配置されていましたので、このギター製作は、そのカタログに掲載されているメッセンジャーと同じ仕様の一台を見本にされたのに違いないっ!と、これはアメリカのメッセンジャー研究家エリック氏の見解です。
実は私は『グレコのコピーモデルはピックアップ周辺が違うんだよな〜。』などとアナドっていたのですが、チャンとこういうメッセンジャーも存在していて、これは本当に忠実にコピーされた逸品。ということがエリック氏のアドバイスでわかったワケです。

日本の技術バンザイ!

Out Put

で、リッケンバッカー用の流用なので、ステレオアウトもこの通り完璧です。MONO/STEREOの文字までが親切に刻印されていて、本家の行き当たりばったりなモノ作りとは一味違う、非常に日本的な丁寧なモノ作りがされています。
ちなみにこの大きなテールピースはエンドピン部の部品に引っ掛けてあるダケで、弦を外すとボトリと落ちます。
本家では落ちない部品が突然落ちて足の甲を直撃する光景を製作者の方にイメージして頂きたいっ!というか、痛さと 『壊れた!』 と思い込んだ衝撃に襲われたワケです。これは落ちない方がいいっっっ!

ま。そんな足の痛みを帳消しにしてくれる木工技術の素晴らしさ、マテリアルの良さ(本家はベニア合板=風化して割れるし、浮くし。)が、この写真でご確認頂けるのではないでしょうか。

Set Neck

このギターは、ミント状態で大切に保管されてきた特別に素晴らしいギターですので、尚のこと、ある意味で本家よりも優れた部分に気付く事が出来て感動を与えてくれます。
その象徴的な場所はネックのジョイント部と言えます。ご覧の通り丁寧なセットネックで、完全にボディから突き出たネックの強度を考慮して、本家よりも1フレット分だけボディにネックが入り込んでいます。しかし最小限に仕上げられたネックヒールの美しい仕上げのお陰で、本家と持ち替えても1フレット分入り込んでいるのに全く気付かずに弾くことができます。

ネック形状も、本家の製作者が『他のギターを弾けなくしてやる。わっはっは!』とでも考えてたにチガイナイと思えるような、すんごいクセのある形状なのに対して、このギターは、いわゆる『普通のネック』です。レスポールやストラトから持ち替えて、“心の準備”無しで、すぐに違和感なく弾けるネック。です。

長年メッセンジャーを愛用(格闘?)してきた私には、これは 『ありえない、夢のような贅沢な』 メッセンジャーです。普通に弾けて、あの音が出て、あの“画”になる、つまり、より多くの日本のグランドファンク・ファンの為に、ほんとうに丁寧に、気配りして作られた、素晴らしいギターなワケです。

ありがとう! 木暮さん。

大切に大切に、弾きまくらせて頂きます!



メッセンジャー博士Mr.エリック氏から、
世界中のメッセンジャーファンの為に「当サイトで公開してくれ」と
『メッセンジャーのカタログ』提供して頂きました。
このThe Greco ME-700“Mark Farner Model”は、
このカタログを元に製作をされたことが分る貴重な資料です。
どうぞご覧下さい。

Eric Bloom Collection


Kogureさんから頂いた時点で欠落していたブリッジカバーを、GrecoMasterのTamanoさんから頂いてしまいました。
これも入手困難な貴重な部品なのに。大感謝です。

恐らく、Kogure少年が布団の中で抱いて寝た状態はこーゆー顔だったんではなかろうか?。

などと思いにフケつつ、やっぱり初期のGFRは、カバー付きノーミュートでカキ鳴らさなきゃなー。

などと幸せな気分に浸っています。みなさん、ありがとう!





― 追記

Written by Eiji Farner
2015.02.02


Japanese guitar designer maestro
rest in sweet peace...

1970年代に国産エレキギターの礎を築いた奈良史樹さん御逝去の報に接し、
心から哀悼の意を捧げます。

当サイトに於きましては、ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、
青春時代にグレコギターから多くの“夢”を授かった者のひとりとして、
心からご冥福をお祈りいたします。

GRAND FUNK MANIAC Eiji Farner

 

To: <info@grandfunk-maniac.org>
Sent: Saturday, April 06, 2013 11:58 AM

初めてお便りします。池部楽器渋谷店の高橋マネージャーから、ご存知ですか?「グランドファンクマニアック」サイトというメールをいただき早速アクセスしました。
おお!おお! ワタシは当時グレコで商品開発と広報、貿易を担当していました。 またPlayer Magazineの立ち上げにも関わり、黎明期のプレイヤーマガジンで出版業務にも手をつけていました。 さらには、後楽園球場でフェンスをつかみ、雷雨に打たれた世代です(笑)
あらためて、 http://grandfunk-maniac.org/mark/Greco_ME700.htm
を拝見し、懐かしさだけでなく、エイジ・ファーナーさんの活動に感動しました。 当時3人バンドであの迫力は・・・CreamかGFRだけでした(もっとあるかもしれないけど)
GRFはほんと、凄かった。
Greco ME700はユーザーのリクエストで製作がはじまり、それがプロジェクトシリースというカテゴリーで取り扱われるようになり、やがてレギュラー化していきます。 ギターにまつわるエピソードはたくさんあります。 WESTのアンプに関しても(特約店契約をしにLansing Michiganまで行きました)あります。 でも、最大の想い出は・・・ 当時北海道にいたGFRマニアの高校生(名前は失念)から毎日とどくGFRに関する質問手紙の回答にあたふたしていたことです。 GFRの音楽、機材、服装から髪型まで多岐にわたる質問でした。
先日のライブは見逃しましたが、次回はフェンスを揺すりに参上しますね。

奈良史樹   

これは奈良さんから頂き、当サイトでお預りしていた皆さんへのメッセージです。





2月15日(日曜日) 四ッ谷アウトブレイク
REMEMBER THE MAESTRO of design
“MEMORIAL CONCERT”

for Mr,Fumiki Nara
ボク達のグレコギター感謝祭!





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