Dennis Bellinger Collection
第二章

S. D. Curlee " the Dennis Mod "

エスディ・カーリーと読みます。
という説明が必要なくらい、知られていません。(涙)
詳しくは、コチラ のオタク度満載な説明をご覧ください。
で、ソチラを読み終えた方だけが、ここから始まる説明を楽しく読むことができます。(笑)
つまり、アッチが“第一章”で、コッチが“第二章” な、ワケです。

タヌキみたいなボディシェイプだったSDカーリーですが、どうです。ホレこの通り。

どこから見てもまるっきしデニスデス。

タヌキが、あるハズないS.D.カーリーのストラトシェイプ・ベースに化けました。ってカンジです。
御本人もさぞかし驚かれていることでしょう。
もし当サイトを見ていてくださってイレバですが。

ここで、「ん?ストラトぢゃなくて、プレベだろ。」と思ってしまった方。
残念っ。
コレ、ストラトシェイプなんです。
重ねてみましょう。ホレ、このトーリ。


ちょっとズレてるでしょ。


で、ストラトとだとぴったり。

SDカーリーにストラトシェイプが存在しない(ハズ)という説明は、
既に“第一章”で語り尽くしましたが、「無ければ作ろうグランドファンク」です。

分厚いマホガニーの板が、このカッチョいいベースに変身する様をご覧ください。

  

どうです。

一度はオリジナル・ボディとウリふたつのダークチェリーに塗り上げながら、
デニス氏の数少ないカラー写真を見たら、こりゃもうちょっとオレンジ(フェスタレッド?)っぽいぞ。
と、塗り替えたという制作者のコダワりぶり。


ブリッジもバダスなんぢゃねーかと、
一度は置いてみたものの、


やっぱちょっと違うなと、
元のブリッジに戻し。

紆余曲折、やってみないとよく分からないのがグランドファンクです。(笑)
80年代なのに検証できる写真が無い、この神秘性!
プレベでいーぢゃん。と思ってしまった方。
甘いっ。
こんなにも違います。

この写真、ナット(ゼロ・フレット)の位置を合わせて並べました。

ピックアップの位置が、パっと見だとプレベと同じように見えますが、ブリッジの位置が、こんなにも違う。
こんなにもブリッジがネック寄りなのです。
ピックアップの位置はリア。
とも言えるくらいブリッジに近いのです。

と、エラソーに解説しながら、この撮影時に、アレ? 24フレットなのか。と気づいたボク。(笑)
細かく見ているようで、実は見てないんだな。と実感。。。
だってポジションマーク、無いんだもん。(サイドだけ)

サテ。

“第一章”にて、デニス氏のGFR楽曲に対するアプローチの素晴らしさを、知ったかの如く滔々と述べましたが、プレイとサウンドについて少し加えさせて頂きます。(ちなみにこれも筆者の主観ですよ。)

1982年の来日公演を体験された方(ボクも)の、誰もが、あ。違う。メルではない。って感じたのは、オープニングから3曲目のパラノイドのイントロだったのではないでしょうか。
あ、ちなみに後日FMラジオで編集・放送された音源は2曲目のロックンロール・ソウルがカットされていたので、巷に出回っているブートレグでは2曲目がパラノイドですね。トリオでのロックンロール・ソウルは名演だったのに、カットするなんてセンスねえな。(笑)

あう、逸れた。

で、その3曲目の、パラノイドのイントロどアタマのスネアの「タタンッ」に合わせて、デニス氏がグリスをしたんです。

「グォゥンッ」って。
で、あっ、違う!って。

説明が下手だな。(笑)
えー、メルは、「ぶォゥンッ」なんです。

なんでかっていうと、メルのベース弦はツルンとしたフラットワウンドで、デニス氏はフツーのザラザラなラウンドワウンド弦なんですね。
どっちもボーンって鳴りますが、歪ませたときの差はデカイんですね。

フラットワウンドは、「ば行」。
ラウンドワウンドは、「が行」。

バビブベボーん。と、ガギグゲゴーん。(←かなり上手く説明できているつもり。)

で、「ぶォゥンッ」ってやる所が、「グォゥンッ」だったワケ。
その瞬間に、ああ、ほんとうにGFRはベーシストが交代してしまって、ついにGFRも“ラウンドワウンドの音”になってしまったのかぁ〜。と。

GFRがラウンドワウンド・サウンドになったことにより、フラットワウンドのアメリカンハードロックは絶滅し、以降、飽食の90年代になるまで、楽器屋にフラットワウンドは品揃えされなくなり、(今でも売れてないみたいだけど。) スナワチ、この一発のグリスによって、ひとつの時代は終焉を迎えたといっても過言ではないのです。ボク的には。(笑) ←注:反論受け付けてませんっ。

かつて、レッド・ツェッペリンというハードロック・サウンドのバイブルとなる最強のバンドが王者として君臨した時代、その凄まじき極上のバンドサウンドを台無しにすべく、当時の最先端ベースをバンドに持ち込んで、極上のフェンダーベース・サウンドと共にロックサウンドの神通力を失ってしまったジョンジー大先生(筆者のフェバリットベースシストです。誤解なく。)の、あの、「あちゃー」的なガッカリ感にも似た、新しいモノへの期待と不安。受け入れがたい己のエゴとが入り交じったカンジ。とでも申しましょうか。ボクテキには。←注:ここでも反論受け付けてませんっ。(笑)
(ちなみにジョンジー先生のジャズベもフラットワウンドですね。ジャズベにいまどきのラウンドワウンド張ってZEPしちゃダメですよね。)

おっと。また逸れた。

で、かくして、グランドファンクにも、フツーの、ラウンドワウンド・サウンドが導入されたワケです。
そういや、マーク尊師もフツーのストラトぢゃん!
今、気が付いた。(爆)
そういや、アンプもPEAVEYだし、オルガンもKORG BX-3か!

なぁんだ。みんながフツーの楽器になったんだ。。。
と、思った方。
今読んでるココ、S.D.カーリーのページですよ。お忘れなく。(笑)

あれ?何の話だっけ。
あ、そうそう。ラウンドワウンドでした。

“第一章”で語りました「キックとのユニゾン」に於いて、この、ガギグゲゴーん。な、デニス・サウンドがソリッドなコンビネーションを生み出し、GFRに新たなサウンド・スタイルをモタラシタという事なのです。

ここで、「80年代のヘヴィロックって、他のバンドもだいたいそうだろ。」と思われた方。
イタタタタ。
うーん、反論できないぢゃないですか。。。(爆)

がしかし、ここはグランドファンク・マニアック、デニスの部屋。
ここではデニス氏が最強なのです。(笑)
気を取り直して冒頭の話題を思い出してください。
時代を動かしてしまった「グォゥンッ」っていう、一発のグリス。

何が凄いって、これですね。メルと同じニュアンスなんですよ。
ふーん。。。ぢゃありませんよっ。メルの弦は、いくらこすっても指が痛くならないツルツルのフラットワウンドですよ。

デニス氏は、ギザギザでザラザラのラウンドワウンドですよ。
指、ギザいてえでしょ。

つーか。
ラウンドワウンドでフラットのニュアンスって事は、たぶん抜いてないでしょ。
弦を押さえる力を。
ラウンドワウンドでグリスするベーシストは星の数ほど居ても、普通はウォンッって、一瞬でしょ。
こするときは力抜くでしょ。

グッと弦を握ったままで、ネック先端から付け根エンドまで、フルにこすらないと「グォゥンッ」ってならないんですよ。
たぶん、これがギザいってえんで、バンド全員の機材がフツー化してる中で、少しでもこする距離が短いショートスケールのS.D.カーリーにしたんぢゃなかろーか。とか。。。う〜ん。。。我ながら名推理だな。

パラノイドのイントロ直後には、摩擦熱でヒリヒリの指先を、こっそり後ろ向いてフーフーって冷ますことができるE弦解放のロングトーンがあるから、ショートスケールでなら俺にだって出来る!と思った方。(いないか。)

甘いっ!

いちばんグリスが凄い曲、忘れてませんか。
そうです。 Inside Lookin' Out の、ギターソロのバック。
何食わぬ顔して「グォゥンッ」「グォゥンッ」の連発です!
(すみません。実は何食わぬ顔だったか、表情まで見てませんでしたが。たぶんそうにチガイナイ。)
もちろんここではフーフー冷ます“間”などありません。

どうです。凄いでしょう。
デニス・ベリンガー!

世界中のテクニカルなベーシストが、彼のグリスの前では裸足で逃げ出します。
そして、何よりもボクをコーフンさせるのは、「子供の頃から、ボクにとってのグランドファンクの印象って、メルの「ぶォゥンッ」っていうエキゾーストサウンド。」 なモンで、
これは勝手な妄想なんですが、たぶんデニス氏にとっても、「グリス=GFRのイメージ」っていうこだわりはあったのではないかなぁ。なぁんて思えてならないのです。
わかってるなぁ〜。
間違いなく、強烈なグランドファンクの大ファンだったに間違いありませんっ!(と、断定)

あ。せっかくなんで、もう少し、デニス仕様S.D.カーリーを見てください。
裏のネックジョイント部は、オリジナルがどうなっているか資料が何も無いので、たぶんこうだろう。と。

こんなに丁寧な仕事、してないだろう。とか思いつつ。

参考資料写真を見ると、ストラトシェイプでありながら、テレキャスターみたいにボディ外周のエッジが立っているように見えるので、そこら辺もこだわりつつ。

この角度でストラトと並べるとエッジの違いがわかりますでしょ。

今回いちばん苦労したのは、この色です。

参考にしたカラー写真(What's Funk裏ジャケ)は、ハレーション気味の写真なんで、やたらオレンジっぽく見えます。

ところが。マホガニーの木目が透けて見えるシースルー・フェスタレッド(オレンジ)をオーダーしたら、オレンジって、マホガニーに塗ると赤く発色してしまって、狙いより赤茶になっちゃうんですね。

なのでオレンジをリクエストしたのですが、このトーリ、どちらかというと赤茶色。

でも、他に参考にしたS.D.カーリーの色って、どちらかというと赤茶色なのです。なので、この赤茶色は、まるでファクトリーオリジナルのようにリアルなのです。
で。ボク的には大満足で、記念に写真をパチリと撮ったら、ちょっと光を当てすぎて、ハレーション気味になってしまい。(笑)
そしたら、なんと、What's Funk裏ジャケとウリふたつのオレンジになってしまって。

ねえ。
ナント。これで正解だったワケ。

この、ウルトラ面倒な塗装と、ワケワカランボディ製作に最後まで付き合わされてしまった(?)のは、いつもお世話になっている山崎ギター工房(YGK)さん。

今ごろ、コレ読んで、びっくりしてるだろうな。。。
ハレーション気味に写真を撮ったらオレンジに写るけど、一見するとシースルーレッド。
という特殊技術を持ったギター工房って。。。(客が特殊?)

しかも今回は、
「ネックを持ち込むんで、そのネックに合わせて赤いプレベのボディ作ってください。」

「 お安い御用!」
という会話から始まっていますので、発注詐称紙一重にもかかわらず(笑)。

ボク的には、ぎりセーフということで、ありがとうございますっ!
(グランドファンクだって忘れてた。。。のね。)

そしてサポートしてくれたKogureさんいつもありがとう!

余っちゃったタヌキ型ボディね。
捨てちゃうのはもったいないし、といってもコレに合うネックは売って無いし。(笑)
ボディ持ち込むんで、そのボディに合わせて・・・って、もう通用しないし。(爆)
なので、こんなふうに再利用しました。エコです。


これ、かっこいいでしょ。

コントロール部分のキャビティ穴が、ちょうどコップ立てになって、意外にも“便利” だったりします。
名づけて、

「デニ椅子・ベンリんがー」

あーあ。やっちゃった。。。
こんなダヂャレネタの為にがんばったのか。。。山崎さんは。。。
(しかも作った方ぢゃなくて、余った方じゃん)

つーか。お前、GFR、ちゃんとリスペクトしてんのか? 
とかいうクレーム来そうですが、受け付けてませんからっ。(笑)

それと。念のため申し上げますと、YGKに「ネック持ち込むんで・・・」って相談する場合、
SDカーリーならば、ちゃんと正直に申し出るようにましょう。
ま、「あのぉ、ネックを・・・」って言いかけたダケで、
「まさかSDカーリーですか?」って、必ず質問されると思いますが。(爆)

Hello Mr. Dennis Bellinger !
You are my favorite Bass player.
I don't forget the performance that you did in Japan 1982.
DOMO ARIGATO !!

and 
Special Thanks,
Yamazaki-san of Guitar production "YGK"
My friend, Kogure-san
The best of American Rock Bass maker, S.D.Curlee !

BACKHOME