9/18 のライヴを10倍楽しんで頂くためのコラム

≪前説≫

ボクは自称・グランドファンク研究家なもので、ライヴとなると研究結果をいろいろ発表したくってしたくって仕方ないのですが(笑)、それをステージ上で演奏でちゃんと表現できているという自負はちっとも持てないし、 カト言ってMCをもっと長くして説明するには時間も話術も足りない。。。(笑)

で。ハタと。いーこと思いついてしまいました!

テーマはグランドファンクって決まっているんですから、前もって、このサイトを見てくださっている皆さんに、お伝えしちゃえばいーんじゃん。と。

あったまいいー。

で。初のココロミで、こんなコラムを書いてみました。
タイトル見て、御興味のありそうな処だけ読んで頂ければ充分です。
全部読んでしまうと。。。。きっとボクと同じ Caught in the act 症候群にかかってしまうでしょうから!

 

≪こんどのライヴのセットリスト暴露≫

今回のどファンク・マニアックのライヴは、Caught in the act (邦題 ツアー'75 ) をやります。
この大好きなライヴ盤の曲を 「アタマから、順番通り」 にやります!
ですので、Caught in the act を予習して来て頂けますと、「どんだけ本家GFRって凄えんだ!」っていう(?)発見があると思います。(笑)

私事ですが、今からちょうど30年前。ドラムのドンイチ君がLPレコードを買ってきて、その時から「いつかこの素晴らしいアルバムを全曲演奏できるバンドをやりたいね」って、まあガキ2人の夢見た妄想みたいなモンだったんですが、遂に。という想いがあります。

今まで “ どファンク・マニアック ” は、伝家の宝刀・メッセンジャーギターの持つ神通力サウンドを生かして、GFR初期の名作「LIVE ALBUM」を中心にセットリストを組んできましたのでね。
まあ何曲か Caught 〜 の曲も交えてましたが、メッセンジャーの持つ神通力に頼らずに、Caught〜 だけでセットリストを組む力はボクには無かったワケです。
なぜならバンド結成当初は、ふたりとも演奏しながら歌うなんて全く出来なかったですし、キーボードも弾いたことないし、だいたいにしてグランドファンク歌えるワケないし、演奏もすごい難しいしで、まあ最初からちょっと諦めていたんですね。

2人でここに来るまで30年かかりましたが、よし、やってみようって話になって。
なので今回は30年間の想いをたっっっっっぷり込めて。。。。。。ドンイチ君はドラムを叩きます。(笑)

ボクはね、ひたすら必死。(笑)

 

≪Caught in the act の機材≫

オタクサイトのオタクバンドですから。
先ずは使用楽器について、今回は前もって説明しておきますね。
いつもいちばんウケるMCネタなんですが、今回は演奏に必死なんで。(笑)

しゃべりませんよ。(の、つもり)

Caught〜で使われているギターは Gibson L-5S です。
当時世界一の高級ブランドメーカーのGibson社製の、しかも最高級モデルです。
当時の日本では、庶民には絶対に買えない、皆が憧れた超高級品のレスポールが、27万円。
(貨幣価値は今の5倍くらいカナ)

そんな時代に、L-5S はナント47万円でした。

しかもマークファーナー尊師のL-5SはGibson工場に招かれ、
50年前から保管されていた特別な木材でネックを作ってもらったという逸話つき。

メッセンジャーというガレージメーカー製のベニア板で出来たギターと比べれば、ナンタル出世!

 

L-5Sの音はCaught〜そのもの!と、言いたいトコですが、実は秘密兵器が無いとアノ音になりません。

尊師は、Mu-Tron社のフェイズシフターを、ずーっとかけっぱなしにしています。
このMu-Tronフェイザーは、音が太くなるのです。そしてソロを弾くと、笛というか鈴というか、独特の輝きを放ちます。
バッキングでのリズムギターも独特のウネリを発揮するし、とにかくこれぞCaught〜の、マストアイテムです。

テナワケで。
今回のライヴは、このL-5SMu-Tron のヴィンテージコンビで行きます。(本番までに壊れなければ)

 

 この時期のマークファーナー尊師のアンプはFender のBandmaster Reverb と、Dual Showman という2台のヘッドをWEST製スピーカーキャビネットで鳴らしています。
恐らく、Bandmaster Reverb は歪んだサウンド用、Dual Showman はクリーンサウンド用だったのではないかと推測しています。
Dual Showman の方が出力が大きいぶん余裕があるので、2台を同じ音量で使えば Dual Showman は歪まないのです。
尊師は、歪んだ音を得る為にペダル類(エフェクター)を使用しないので、Closer To Home のクリーンサウンドと、Rock'n Roll Soul や Locomotion のクランチサウンドは2台の極上アンプを「最高の音」にセッティングしておき、それらを切り替えていたようです。
スピーカーキャビネットや、キーボード用のアンプを WEST社から提供してもらっていた恩があるので、Fenderアンプはステージ上の目立たない場所に置かれているのがミソなので、ボクも使うアンプを隠そうと思っています。(どこからも提供受けてないけど。)
なぜなら、今回はBandmaster Reverb ヘッドと JBLスピーカーキャビネットを車に積みきれないという理由で持ち込めないからです。

自家用飛行機を持っていたGFRのようにはいきません。(笑)

せめてワゴン車買えよ。と野次が飛んできそうですが、「ワゴン車もってる友達募集中!一緒にバンドしませんか!」と野次り返したいっ。(笑)
で。アンプをフルセットで持ち込めない代わりに、今回はデカいオルガンを持ち込みます。

ボクがオルガンで弾ける曲は、Footstompin’ Music 一曲しかない(しかもアヤウイ)っていうのはすでに有名なんですが。

オタクは見た目重視。なんで(笑)、KORG BX-3 (2段鍵盤) を持ち込みます。
マークファーナー尊師は、勿論 Hammond B-3 (2段鍵盤) です。
が、持ってないし。 持てないし。(約200kg)

 

で、ベースは凄いですよ。
アンプは当時、メルシャッカー先生が使っていた WESTアンプ(本物。本人使用品。当時から特別なメル仕様にモディファイされている。)を所有していますので、これを使うしかないでしょう!(当日までに壊れなければ)

 

ベースは Gibson Ripper が、Caught in the act で聴ける「バンドの音」そのものなので、
Ripper で行きます。(壊れなければ)

 

と、ここまで車に積むと、ドラムが積めないので、う〜ん、ドラムをどうするかは悩み中。
ちなみドンブリュワー先生は24インチのバスドラを基本としたレッドスパークルカラーの Ludwig です。

 

≪知ってると面白さ倍増の Caught in the act うんちく≫

邦題の通り、1975年の全米ツアーのステージをマルっと収録したアルバムです。
これは日本だけの不思議な現象なのですが、いくつかの誹謗(デマ)にも曝されたアルバムです。
その中でもマコトシヤカに、このネット時代の21世紀になっても、まだしつこく言われている代表的2つのデマにスポットを当ててみましょう。

(1)ほとんどスタジオで録り直ししたツギハギだらけのライヴ盤だから、これだけまとまっている。
(2)70年発売の名盤LIVE ALBUM の面影は無く、大人しい、ヒットソング狙いのバンドになった。

はい。どちらも、ブー。不正解です。
検証すれば分かるデマなので、面白いのでボクの検証結果を披露します。

(1)に関しては、タシカニ。あまりにもまとまっていて、あまりにも完璧ではあります。
そ・れ・が。Grand Funk Railroad というバンドなんです!(笑)
最も簡単な証明手段は、この時期のコンサートを観客が録音した音源(いわゆる海賊版)を聴く機会があれば、一発です。
例えば、75年の来日公演。東京と名古屋の録音を聴いたことがありますが、ハッキリ言って「Caught in the act そのまんま」と言えるような完璧な演奏なのです。しかも迫力はもっと凄い。
つまり、Caught〜 というアルバムは、ある日のライヴを録音して、ほとんどそのままで発売した。というモノなのです。
(収録曲によって録音された会場が異なるので、ツアー中のベストテイクを選出しているが、いわゆるスタジオ差し替えは行っていない。)

グランドファンクってね。
ハズレのコンサート音源が無いんですよ。何年も必死に探しているんですが見つからない。(笑)

どんな有名なバンドでも、機材トラブル、メンバーの体調、会場の問題、メンバー間の不仲 etc, って、ツアーには付きモノなハズなんですが、それがない。

プロフェッショナルなんですね。

アメリカというショービジネスの国で、全米No,1ヒットを連発しての巨大なプロダクションで、一年中、大規模なコンサートを転戦しているのですから、70年代の日本で、その意味が分かる人は少なかったのではないでしょうか。
分からない事を認めない、知らない事を「こんなのできっこない」と決めつけて、自分のステータスを守ろうとした日本人が残念なことにメディアに居たのですね。
それが今も無責任にデマとして残っているのですから、それだけ70年代はメディアの影響力が強かった(情報源は少なかった)という事ですし、多くの方が信じきってしまったということはそれだけ皆、純粋だったということですね。
おっと、逸れた。
デマを信じてしまった心理をちょっと庇うと、裏付けるポイントがあったんですよ。
当時のレコードで、3曲目 Closer To Home の途中で波の音が流れた後のギターソロのバックでメロトロンによるオーケストラの音程がいきなりズレるんです。
「ここで切り貼りしてる!」って、言い張ってた人に何人も会いました。(笑)
残念っ!メロトロンという楽器は、いきなり和音を弾くと中のモーターの回転がストールして、音程がズレるのです。
つまり、生々しく、そのままライヴ盤として、音程が狂ったのを直さずに発売したワケです。「メロトロン使ってまっせ!」と。
(ちなみにボクもこのストールして音程ズレるメロトロンの特長を知ったのは数年前ですけどね。みんな知らなかったワケです。)

この Closer To Home の音程ズレは、後のリマスターCDでは直してあります。
レコードはグググって落ちますのでビックリしますよ。

そういえば、波の音を指して「ライヴなのに波の音があるワケない。スタジオで手心を加えてる!」って言い張ってた人にも会ったことあります。
今では当たり前の効果音を重ねる演出ですが、昭和の日本には早すぎたようです。(笑)

書ききれないんですが、これだけでも充分にデマ(1)を論破できてると思うんですが、如何でしょう。

 

そしてデマ(2)ですが、
たぶん、小さい音で聴いてませんか?と言いたい。(笑)
Caught〜 というアルバムは、小さい音で聴くと、歌、ギター、シンバル、オルガンの上のほうだけが、よーく聞こえるんですね。
タシカニ、そのまとまりのある聴きやすさは、LIVE ALBUM('70) の凶悪なまでに暴れる低音と比べれば大人しくなったように“勘違い”されます。
が。それは、勘違い。
ちょっと大きい音で Caught〜 を聴くと。。。都会の住宅事情じゃ耐えられませんよ。あまりにも低音がデカくて。(笑)
隣の家の人が。(爆)
ようするに、ベースの音域が今の常識(?)からすると、低すぎるのです。(そこがカッコイイ!)
小っちゃい音、小っちゃいスピーカーでは再生しきれないくらい低い位置に、巨大なベースサウンドが潜んでいるのです。

なので、CDよりも、周波数特性のレンジが広いアナログレコードで聴くほうが俄然、近所迷惑です。(笑)

これはボク自身の感じる処なのですが、耳障りの良いデジタルリマスターCDに、耳が飼い慣らされてしまい、“本物の”ベースサウンドが聞こえにくくなっているように感じます。前述の「歌、ギター、シンバル、オルガンの上のほうだけがよく聞こえる」などと感じてしまう時点で、ボクの耳はハードロックの本質から遠ざかってしまっているワケです。
Caught〜 を毎日毎日、欠かさずに聴き続けることで、ボクはいつもそのトリックに気付かされ、慌ててヴォリュームをググっと上げるワケです。
すると、とんでもないド迫力の爆音で、とんでもない勢いで演奏している画が見えてくるのです。この30年間、毎日。
もしボクと同じ景色が見えてこないならば。。。聴いてる音が、ちっちゃすぎですヨ。(笑)
'75年の来日公演もトンデモナイ音のデカさだったという話は有名ですしね。

もうひとつ、前述の情報量の少ない70年代の日本でのGFRイメージが、余りにも「嵐の後楽園球場」で完璧に再現されたLIVE ALBUM('70)のイメージであった為に、5年間の急成長(前述の通り、毎日のように演っているワケで、)の、“途中の過程” を全く知らないワケですから、そりゃもう全く別のバンドのように感じられたのは仕方ない事だとも思います。
5年間の使用機材の進化によってサウンドイメージが激変したという点もGFRの場合は特別なモノがあります。なにせ5年前はベニア製のギターだったのですから。(笑)

ネット時代になって容易に見れるようになった映像が、もしも70年代に日本に入ってきていれば、その印象は大きく変わっていた事でしょう。
72年のPhoenix ツアー(正に70年LIVE ALBUMと、75年Caught〜の良いところを足して2で割ったイメージのライヴ映像)や、74年のShinin'Onツアー(有名なVELENOアルミギターを使っている映像。75年を荒削りにした、正に72年Phoenixツアーと75年Caught〜の中間イメージのライヴ映像)を見れば、GFRが方向変換などせずに常にハードロックバンドとして進化している事が分かります。
全盛期でありながらマネージメントとの裁判沙汰によって、これらの映像がファンの目に触れる機会が奪われ、バンドの進化過程を日本では誰も知る事が出来なかったことは、GFRの悲しむべき宿命だったと言えます。

つ・ま・り。
Caught in the act という、進化し続けて辿り着いた、
全盛期のグランドファンクのライヴ盤は、ほんとうに凄い!
と、ボクは言いたいワケです。

おかげでコピーするの、すんごい大変なんですが。(爆)

 

≪ここからは、Caught in the act の曲をオタク目線で1曲ずつ解説≫

Footstonpin' Music

左右のチャンネルに一台ずつ、マークファーナーとクレイグフロストが弾くハモンドオルガンを配した歴史に残るツインオルガンの名演。
右がクレイグ、左がマークです。イントロでの息がビタっと合った2台のオルガンによるユニゾンリフに、誰もがいきなりノックアウトされてしまいます。
歌が入るところからはクレイグがクラビネットをパーカッシヴに弾いています。歪んだピアノのような音がそれです。その後ろではマークのオルガンがビタっとシンクロしてメチャかっこいい。
このクラビ+オルガンの組み合わせによるパーカッシヴアレンジが聴けるのは、このアルバムだけです。サビに行く手前のコード進行が上昇していって最後に炸裂する、ツカッカー、ツカッカー!で興奮はピークに達します。
その直後、サビの「チューウ、チューウウ」の所から、再びツインオルガン炸裂です。ここからは両者がレスリースピーカーの回転を早くしているので、左でグルグル、右でグルグル、凄いことになっています。
音が頭の真ん中で鳴ってしまうヘッドフォンステレオで聴くと、残念ながらその凄さが半減してしまいます。
できれば左右のスピーカーを1メートル以上離してセットした音響機器で聴くのをお薦めします。
部屋の空気が左右でグルグル回るのでこの名演の真価がより感じ取れると思います。正に音の “3D” です。(体験しなきゃもったいない!)

キーボーディストの居ない どファンク・マニアックでは、残念ながらボクがオルガンを一人でヨチヨチ弾くので、この3Dツインオルガンの醍醐味は再現できません。
そこでオルガンを弾く左手でベースラインをなぞって、ベースとオルガンのユニゾンによるツインベースで前述のCaught in the actの世界観である「重低音」を表現しようと狙っています。

うまくいくか、3Dベース。(笑)
モッカ練習中!

 

Rock'n Roll Soul

スタジオ盤とは全く別アレンジとなった世界最高の名演!
進化し続けたグランドファンクの「完成形」といえる完璧なる編曲力(アイデア)がてんこ盛りの曲です。
例えば、機関車をイメージさせるイントロ部分。
ドンが「チキチーカシャカシャ、チキチーカシャカシャ、」ってまるで蒸気機関のような機械音を担い、
マークは、「ジョコ ジョコ ジョコ ジョコ」 って線路を爆走する機関車の突進音を担い、
メルは、「シュッポッ、シュッポッ」 って、リズムとしては“裏”になる蒸気の吹き上げる音を担い、
それらが“音楽”になるように、クレイグが和音を奏でています。
その“機関車”に馬乗りになって、まるで今の時代のラップのように、煽るマークの歌とコーラスの掛け合いはまるでご機嫌な運転士と乗客のやりとりのようであり、
あげく汽笛をピィーって鳴らすかのように、「この曲の名前は、ロックンロールソウルだぜ!」って、ギターで雄叫びをあげるという。

ね。
まるで開拓史映画のシーンを見ているようでしょ。

他にも、例えば終始へヴィな 8ビートを叩くドラムと、チャカチャカと 16ビートを刻むギターの間を、時にはへヴィな 8、時にはグルーヴィな 16 で行ったり来たりするベースが、この曲を、ある時は「へヴィな16ビート」、ある時は「グルーヴィな 8ビート」の曲に聞かせています。
実はトンデモなく計算されたベースラインというか、そこらじゅう凄いアイデアだらけのアレンジなのです。
とても全部は説明できないし、説明できたからといって演奏できるとは限らず、つまりモッカ練習中!

 

Closer To Home

パーカッシヴなオルガンによるイントロも、このアルバムだけで聴ける名演です。
そして、そこに絡むマークファーナーのギターアルペジオのかっこよさ!
これも多くのコピーバンドが、“小さい音で聴いてコピーした証拠に”、ギターアルペジオのべースライン(4弦開放)を聞き取れず、2弦3弦のメロディしか弾いてない人ばっかり見ますが、ボクはちゃんと大きい音でコピーしてるんで(笑) ベースラインも弾きますよ。難しいんだけど。
このアルペジオのベースラインは、印象的なメル・シャッカーの弾くフレーズの、メルがピッキングしている音(アクセント)には、“全部”シンクロさせてます。
つまりメルとのコンビネーションになっていて、ギターでもベースラインを弾かなければ、あのへヴィなグルーヴは出ないんです。

よく考えたな〜。

トイウ事は、つまりベーシストも、どの音にピッキングを入れて、どの音はピッキングを入れずにフィンガリングで弾くかを「指定」されているという事で、一聴するとラフにジャムを始めたようなイメージながら、実は完璧にアクセントが計算(作曲)され尽くしているっていうのが、Caught in the act のグランドファンクなのです。
このアルペジオひとつとっても誰も考えつかないアイデア(弾き方)で、楽曲にさりげなく且つ強烈な印象を与えていて、マークファーナーの素晴らしさは、キチンとコピーするほどに圧倒されるのです。(まだまだボクも出来てないのですが。)
なのでこのイントロは、まさしく “名演” なのです。

がっ!

ギターとオルガンを一人二役でボクが担う どファンク・マニアックでは、オルガン弾きながらこのアルペジオを同時には弾けないのが、モッカ最大の悩み。(爆死!)
だってオルガンって、指を離したらブツって音が止まっちゃうんで。鍵盤押さえたまま、ギター弾けないんもーん。(笑)
サテ、どっちを取るか。。。。手は2本しかないので、足でオルガン弾いて、歯でギターを弾くか。。。(ウソ)

ドラムもすごい。この曲は見たことも聞いたこともないパターンを叩いているんですよ。これまたちゃんとコピーしている人に会った事がない。(笑)
普通に 「ドッドタ、ドッドタ、」ってシンプルなエイトビートを叩いているようでは、Closer To Home にはなりません!
「ドッドタ、ったったドド、たドッド」 って叩くのが正解なのです。(しかも前述のオルガンのイントロから全て!)
コレ読んでくださっているドラマーの方は、少なからずショックを受けているハズでしょ。(笑) もっと言うと、「そんなワケねーよ。アホか。」くらいに思ってるかな。(笑)
そのくらい、世界に一曲しかない、オンリーワン、常識外れな、独特のビートなのです。
そして。このギクシャクしたリズムパターンで、あのスウィング感とグイグイ行くグルーヴを出せるのは、世界に一人だけなのです。
普通のエイトビートで演奏したほうが、圧倒的に無難なのです。
つい先日、アメリカで見たマークファーナーのコンサートでバックを勤めていたドラマーも普通のエイトビートで叩いていたくらい。
( 「君、エイトでいいよ」って感じかな。)

どファンク・マニアックのドンイチ君は、意地でも尊敬するドンブリュワー通りに叩くと宣言してますので、お楽しみに。

 

こんなカンジで、どのパートも解読困難な個性があって、しかも技術的にもすごい難しいんですがね、ちっとも難しそうに見えないトコがグランドファンクのコピーに人生を賭した者だけが味わうジレンマというか。(笑)
でも、大好きな曲が出来るようになるという喜びもまたヒトシオなんです。

Closer To Home のもうひとつの聴きドコロが、言わずと知れたメロトロンによるストリングスとフルートのオーケストレーション部分です。
クレイグフロスト役の居ない どファンク・マニアック では、この部分が泣きドコロです。(爆)
メロトロンも持ってないし。(←フツーは無い)
あの、「ラレファー ソファレシラー」だけの為にメロトロンを持ってきて弾いてくれる人、募集中です。(笑)

ちなみにボクはこの曲の持つ、この部分で魅せる芸術性の素晴らしさに、30年間感動し続けています。
砂浜に押し寄せるさざ波の音、カモメの鳴き声。。。音楽的には、小学校で最初に習う ドミソと レファラ の和音(コード)をシンプルに行ったり来たり繰り返すことで、まるで波が押したり引いたりするかのような印象を与えています。
そして夜明け前の砂浜から海に向かって、望郷の想いを込めて、I'm getting Closer to home!と叫んだ後の、ギターソロになる直前だけ、コード進行が一瞬変わるんです。お気づきでしたか。
まるで、水平線から太陽が一気に昇ってくるような響きを感じませんか。
次の瞬間、ギターソロが始まると、ズンズンズンと、まるで太陽の下、大海原を突き進むようなリズムになるでしょ。
やがて夕暮れになり、水平線に沈もうとする巨大な太陽に照らされて、海面に出来た黄金に輝く航路が船の行き先を指し示す。乗組員全員の「I'm getting Closer to home」の大合唱に合わせて、船はその黄金の航路を家路へとグイグイと進む。。。みたいなカンジ。

これはボクの妄想なんですが、Rock'n Roll Soul のイントロで、スタジオ盤では未完成だった蒸気機関車の突進するカンジを見事に表現したように、Closer To Home ではスタジオ盤で表現しようとした世界観を、より完璧に、まるで絵画を見ているかのように完成させているとさえ思えるのです。
なぜならスタジオ盤には、一瞬だけコード進行が変わる、あの「日の出」のシーンが無いんです。
(恐らく、これはクレイグフロスト氏のアイデアではないでしょうか。)
なので、ボクは Caught in the act は本当に素晴らしい!って思うんです。
ここだけで聴ける Closer To Home のアレンジは、グランドファンクの音楽センス・芸術性を見事に表現していると思っています。
「GFRはコード進行がシンプルでコピーも簡単」などと思われているのはトンデモナイ誤認識なのです。こうして解説されれば誰もが気付くのに、あまりもさりげなく完璧に曲に溶け込んでいるがために理論的に気付かれていない。(多くのコピーバンドがシンプルなコードの繰り返しで気付かずに演奏している!)これって、ほんとうにモッタイナイ。(笑)

なので、コード進行間違えないよーに、モッカ練習中であります。
メロトロン無しのボクらの演奏で太陽は顔出せるか。(笑)

 

Heartbraker

いまさら解説するまでもない超・有名曲ですが、これまた知られてないのはドラムの難しさです。
有名なサビ部分。上半身は、「バーン、タンタン、バーン、タンタン」って、3拍子で暴れていますが、下半身は、
「どどすこすこすこ、どどすこすこすこ」って、某お笑いタレントの流行語のアレなのです。(ホントだよ)

しかも、まだしっとりと、ラブ注入して歌っているのに、ドラムだけ先走って、「どどすこすこすこ」って始めちゃうのは、あまり知られていません。

あのネタ。Heartbraker で閃いたのかな?
そこがちゃんとコピーできているドラマーに会った事がない。(笑)
あまりにも歌のメロディラインが有名すぎて、みんな歌に釣られてウットリ演奏してしまうようですが、ドンブリュワー先生は歌など聞かずに暴走するのです。
あ、チガウな。歌を、自分のフィーリングに引っ張って行ってしまう。ってカンジか。「もう我慢できん〜っ!」ってカンジね。

この曲はギターのヴォリュームコントロールも凄い凝っていて、例えば、歌の一番最初のトコの「ズゥーウーン、チャッ!」っていう部分も、下げておいた音量を少しずつ上げてェ、「チャッ!」ってしてるので、歌いながらなので忙しいというか繊細というか難しいんです。これもコピーバンドの皆さんはしないけど、マーク尊師はなさってます。
で、そんな苦労などお構いなしに「どどすこすこ」っておっ始めるブッキラボーなドラムとのコントラストが、この曲の最大の魅力なんです。
で。最後はドラムに全部持っていかれてドドドド〜って。
繊細に弾いてたギターも「わかったよ!ならやってやるぜ!」って。(笑)
結局、そうなってしまうのが初期グランドファンクの曲の面白さでもあるワケで、ギターやベースの音色がバリバリに歪んでいた「LIVE ALBUM」も、この Caught in the act も、そこんトコの精神は何も変わっていなくて、故に、この曲は名曲なのです。

 

Some Kind Of Wonderful

これはコピーバンドにとっては一番難しい曲です。
これが歌えるハードロックバンドって、グランドファンク以外にあるかな?ってくらい、誰にも真似できない強烈な歌唱力。
常々、ボクは「いちばん歌の上手いロックギタリストはマークファーナーであり、いちばんギターの上手いヴォーカリストはマークファーナーだ!」って申しておりますが、この歌が唄えるギタリストって思い浮かびません。
ヴォーカリスト・マークファーナーの素晴らしさが炸裂しています。
もちろん、ドンブリュワーのヴォーカリストぶりも素晴らしい!

できるのかっ? どファンク・マニアック!(笑)

 

Shinin' On

トンデモないアイデア満載の、アルバム中おそらくいちばん演奏の難しい曲です。
イントロで炸裂するエコーを使ったヤマビコ部分を曲のテンポに合わせるというアイデアは、今の時代では珍しくない「効果」ですが、誰よりも早くこれを“発明” して、おまけにハーモニクスで星が降ってくるとうか、ブワって宇宙が広がるイメージというか、「効果」ではなく、強烈な印象のイントロを「作曲」してしまうマークファーナー尊師のセンスたるや!
「効果」ではないと称する理由は、歌が始まってもエコーを“切らない”からです。
かけっぱなし。
なぜなら、「作曲」だからです。
作曲者はドンブリュワーとなっていますが、恐らく歌詞を書いてそこにメロディを付けたのがドンであって、曲を決定付ける強烈な印象のアレンジは誰がどう考えてもマーク尊師のアイデアによるものでしょう。
アイデアは最高なのですが、歌っているとリズムがコンガラがって、迷子になりそうなので演奏は本当に難しい曲です。
なんでコンガラがるかっていると、各パートの演奏がすごい凝っているからです。
ギターを弾かない方に、どう難しいのかを説明するのは、もっと難しい(笑)んですけど、「へえ〜」って思ってもらいたくて(笑) 基本パターンを漫画にしてみました。
1小節=4拍=ワン ツー スリー フォーを、 xx xx xx xx として、2小節。
弦をヒットする部分を H として、こうなります。
xx xH  xx Hx  xH xx  Hx xx  
わかります? 2拍ごとに弦をヒットする位置が、ちょっとずつ前にズレていくんです。
おかげでピッキング(ストローク)のアップダウンが毎回 “交互” になるモンで、それだけでも集中力を欠くと次はどっちだか分からなくなる。
アップダウンを間違えてもいけないし、リズムが狂ってもいけないし、しかもこのややこしいギターとはまったく “間合いの違う歌”(ひー!) を歌わなきゃいけないし、だいたいにしてもともと集中力ないし。(爆)

ベースはもっと難しいんですよ。
HH HH xx Hx  xH xH  HH HH
このトーリ。なんとギターとは違うんです。
ギターは、ヒットする位置で説明しましたが、ベースはどちらかというと「全部を弾いて、x のトコだけ抜く」っていうイメージです。
これもちゃんとコピーできてる人に会ったことがない。(笑)

2人が違うことを弾いて、その組み合わせでひとつのグルーヴにしているのです。
これぞ Caught in the act に於ける、グランドファンクの真骨頂です!
Closer To Home のイントロアルペジオで解説したアイデアが、楽曲として完成形となったのがこの曲とも言えますね。
もし2人が同じことを弾くんだったら、一人が歌ってるときに相方がサポート(ガイド)になるんで演奏はウンと簡単になるんですが、(普通はそうします) それでは表現の範囲に “枷” をかけることになります。
グランドファンクの曲作りが、出来る範囲・歌える範囲で作っているのではなく、常により高い演奏力をつけようと努力を惜しまず、尚且つ“ 楽曲ありき ”であることが、この曲のトンデモない難しさを知れば知るほどに感じます。
「各自、しっかり!」という激が聞こえてきそうで、ついつい演奏がストイックになりがちです。(笑)
しかも容赦なくテンポに合わせて、ヤマビコが輪唱のように追っかけてくるので、(輪唱=カエルのウタがぁ〜って追いかけて重なるアレね) 頭がコンガラガるったらありゃしない。(泣)

これを黙って下向いて演奏してれば間違えないんですが、コーラスやら歌いながら、常に顔を上げて弾くワケですから、こんなの誰にも出来ませんよ。尊師達以外はっ!
つまり歌わずに「グランドファンクなら弾けるぜ」とか言ってちゃ、補助輪ついてる自転車で「乗れるぜ」って言ってるのと一緒って事なのです。(笑)
まあ、ボク達がちゃんと乗れているかどーかはサテオキ。(自爆!)

そしてこの曲のもうひとつの凄さは、こんなにも素晴らしいアイデアに溢れた曲なのに、ひとつアイデアに頼って曲を完結させることなく、まるでプログレのように複雑なアレンジを発展させながらどんどん展開していって、しかもどんどん勢いを増すという。(爆!)
ちなみに今までは「孤独の叫び」だったんですが、今やこれが、いちばん体力を消耗する曲でもあります。

テナワケで。
コーラスどーすんだ、キーボードソロどーすんだ、出来るよーになるのかホントに! などと、喧々囂々しつつも、
どファンク・マニアック史上、最も高いハードルに今もひたすら取り組んでおります。
難しい〜!

 

The Locomotion

さっきから「ちゃんとコピーできてる人を見たことない」ってエラソーに書いてますが、カクイウ自分も30年経っても、「えっ、そうやってたのか!」って発見があるので、つまり未だにちゃんとコピーできちゃいないワケです。
更に解読が出来たからといって、真似できていないし、つまり自分達自身、まだまだコピーが完成していないという事なのです。

そんなグランドファンクの。
超・有名曲。

この曲だけは、キックがどうとか、ギターがどうとか語ることに意味はなく、ぱっと聴いて似てるか、似てないか、という。(滝涙)
各演奏パートのコピー精度を完璧にすることで似せられる曲の方が実は近づき易く、この曲のように圧倒的な歌声(もちろんボクには出ません)による強烈なインパクトが全ての曲は、ほんとうにコピーバンド泣かせなのです。
聴いた瞬間に、輝くようなエネルギーに満たされ、気持ちが晴れやかになる、正に “神々しい声 ”とさえ、ボクには感じます。

意外と知られていないのは、ギターを弾きながら歌うのが難しい曲だという事です。
チャカチャカ適当に弾いて歌うなら楽なんですけどね。(笑) マークファーナー尊師は、ガツンとビートの効いた強烈なギターを弾きながら歌っています。
これも、Caught in the act だけの弾き方で、後にソロ活動に転じてからは、これほどの難しいバッキングは弾かないようになっています。

あのキャロルキングが大ヒットさせた超有名曲のカバーですから、先ずは歌ありき。そこに最高にかっちょいいバッキングギターを考えついて、その両方をどちらもスポイルさせずに両立させようとしたハズであれば、そりゃ難しくなるワケです。
このバッキングをちゃんと弾いている人を。。。。って、キリないですね。(笑)

Some kind Of Wonderful の解説で、「ギタリストでいちばん歌が上手い、ヴォーカリストでいちばんギターが上手い」と申したのは、正にこの事で、「歌とギターを、素晴らしい(高度な)レベルで両立させているという点で、誰しもマークファーナー尊師に及ばない!」というのがボクの持論です。
神様に選ばれた“声”と高度な技術なくして両立不可能な強烈なギター、それを支える強烈なビート感。
歌いやすいバッキングを弾きながら歌って、間奏のギターソロはここぞと弾くスタイル(それはそれでトラディショナルです)に素晴らしいソロ奏者はたくさん居ますが、歌とギターがほんとうの意味で一体化することでしかできないバリエーション豊かな楽曲の良さもまた語り尽くせません。(故に唯一無二のオリジナリティを放つ!)
沸き出でる作曲や編曲という芸術的才能を、ドン、メル、クレイグという類稀な才能に溢れたメンバーによる最少編成で炸裂させている、この Caught in the act というライヴアルバムは、故に奇蹟のケミストリーで成し得た名作だとボクは思うワケです。

で、コピーバンドやるには、こりゃ一生賭けても到達できそうにないので、一生賭けて続けているという。(笑)
それに一人じゃバンドにならない。
そういう“仲間”と出合えないと出来ないですしね!

 


 

サテ。
ここまでが1枚目です。

1枚目という概念は、Caught in the act が発売された当初のレコード盤は2枚組みだったからです。
ここで、レコード針を一度上げて、Disc 2 に交換すると、更に怒涛の勢いのライヴ後半が炸裂します。
もちろん。
やりますよー、後半、更なる怒涛の「グランドファンクの世界」

ですが。

書いてるほうも疲れたので、たぶん読んでる皆さんも疲弊しきっていらっしゃるでしょう。(笑)
テナワケで。
怒涛の「後半の解説」は、後日アップします。

すっごいよー。(笑)

つづく。。。。。執筆と掲載が間に合えば。(爆!)

written by エージファーナー

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